大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ大学留学中の方へ-カナダ人のフリをする亡霊にならないように」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダ大学留学中の方へ-カナダ人のフリをする亡霊にならないように

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留学 大学・高校正規留学 2022-12-22 10:02

日本から遠く離れ、世界レベルの能力をつけるためにカナダの大学留学中のみなさん。

Final examの嵐も終わり、やっとほっと息をついている頃でしょうね。

カナダの大学、凄まじく難しいと実感している頃でもあると思います。

 

でも、実際、異国で1人勉学に励むことは、単に学業の難しさよりも、もっともっと深い精神的な葛藤もありますよね。

18歳、19歳の脳には相当の挑戦だと思います。

 

こんな記事がカナダのCBCに掲載されていました。

南アフリカからの学生の葛藤を通じて、大学留学生が喘ぐ様子が見事に描かれています。

「自分だけじゃないんだ!」と元気になれるよう、引用し書いてみました。

 

南アフリカは英語を使いますので、その利点からAdetole Adelipeはカルガリー大学に入学出来ました。

日本からの留学生のように英語スコアの提出も必要ないですし、自国の高校の単位が(成績さえ基準を満たしていれば)そのまま認めれます。

その点は、日本からの大学留学生よりずいぶん前を走ってますね。

いいな〜〜。

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Adetoleの最初のショックは、気候の大きな違い。

カルガリーのあるアルバータ州は今異常な低温に見舞われています。

この寒さに慣れていない留学生には、体感温度-40度は心理的にも打撃です。

観光客なら「おもしろ〜い!」とまつげも凍る気温を楽しむ余裕もあるでしょうが、ここで当分1人で頑張らないといけない留学生には厳しい厳しい試練です。

バス停でバスを待つのも、決死の覚悟です、マジで。

 

もちろん、アルバータだけでなく、カナダは寒い国ですので今年のようにバンクーバーのあるBCにも異常な寒さが訪れ、バスも走らない、外にも出れない日を孤独に過ごす留学生には、大きな心理的重さとなります。

家族がいて、ホカホカの暖炉の前で寝そべって、温かい食事が待っていて、な〜んてことではなく、自炊して、または味気ないファーストフードを食べて。。。

 

新学期最初の月、9月はAdetoleにとって精神的疲労困憊する月でした。

とにかく「生存する」ことで必死。

毎日何度も何度も自己紹介をし直し(覚えてもらえないので)どこから来たかを説明し、自分の名前の発音を教え(無駄ですけどね)英語のアクセントが違うとわかってもらえないので自分の話し方を変え(日本人留学生も大苦労)、自己嫌悪になるほどの試練を繰り返しました。

*(日本からの留学生は、英語のアクセントというより発音の仕方が違います。特に日本人の母音は英語のNative Speakerには???です。日本語のままの母音で英語を発音してしまう方がほとんどですので、なかなかうまくわかってもらえない事が多いと思います。

が、落ち込みますよね、通じないと。)

 

カナダの学生と友達になろうと、話の輪に入る努力をしました。

でも、Tim Hortonsやホッケーや高校の話には全くついていけません。

*(幼い時から周りに存在していた社会、文化、流行などの話には、外国からの留学生はほとんどついていけません。

これも、友達作りが極めて困難な理由のひとつです。共通の話題・それにまつわる言語がないからです。)

 

Adetoleは、寂しさを紛らわせようと、共通の興味を持つ学生を探そうとしました。

アニメや陸上競技や、ボードゲームのイベントなどに行き、いくつか参加し、止めたり。

 

どのクラブに行っても、授業でも、黒人はAdetoleひとりだけ。

ある授業で、1人の学生がビジネスが人を雇用する際に移民・外国人の名前を避ける傾向を擁護しました。

英語が問題なく使えない人間を雇うとビジネスにマイナスであるため、その習慣を非難するべきではないと。

その後、手を上げたのはAdetoleだけ。

なぜ、その行為が”Systematic Oppression”になるかを説明しました。

 

*(カナダの大学の正式Degreeプログラムの授業では日本人の数は少ないです。英語力が足りなくカレッジのESLや語学学校が日本人で溢れているのと全く異なります。その中の日本人学生何%が、Adetoleのように”Systematic Oppression”について発言出来るでしょうね。差別される立場でありながら「日本人は別」と思ってませんか? カナダでの日本人の存在感が薄いのと同じ理由だと感じます。)

 

そのうち、カナダにいること自体に疲れて来たAdetole.

でも、なんとかく自分に求められている役割を果たすことには慣れて来ました。

「カナダみたいな良い国に来れて幸せだ。」と演じること。

カナダの学生の好む話題を知り話すこと、カナダの同級生が大好きなことを自分も好きなふりをすること。

そしたら、頻繁に言われるようになりました、カナダの同級生とカナダの人から。

「もうすぐ本当のカナダ人になれるね!」と。

 

Adetoleの反応? 笑っただけ。

心の中では「カナダ人みたいになるつもりはない。」と。

 

なぜ、カナダの人は外から来た移民や学生に「カナダ人みたい」になってほしいの?

なぜ、「移民や留学生」のことをもっと知ろうとしないの?

外から来た人が「何を食べるのが好き」で、「どんなイベントに行く」のか、「何を楽しむ」のかを、なぜカナダの人は知ろうとしないの?

 

今では、まるでオートマチックのスイッチみたいに行動の切り替えが出来るようになりました。

2つの人格を行ったり来たり。

キャンパスを歩く時には、「カナダに同化出来た留学生」の顔をマスクのようにONにします。

 

でも、そのたびに心が麻痺し、Adetoleを怯えさせ悩まし続ける亡霊が実は自分自身であると感じてしまいます。

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さぁ、大学留学生のみなさん、どう思いましたか、Adetoleの葛藤を。

いっぱい乗り越えて、いっぱい脳に言い聞かせて、いっぱい落ち込んで、前に進んでほしいです。

 

余談になりますが、私は1994年からカナダとは深く関わり、ビジネスを設立し、太平洋を何度往復したでしょうか。

7年前に本格的にカナダに引越し、永住権を取り、今ではアルバータ大平原のど真ん中にエコキャビンを建て住んでいます。

周辺に住む人達は、未だに日本人と中国人と韓国人とフィリピン人との区別がつきません。

でもみんなこう聞いて来ます。

「カナダ人になるために来たんだよね。」

 

「いえいえ。」と、私の長い返事が始まります。

 

長年の経験がそんな勇気をくれたんだと思います。

また、私は自分のことをカナダの”Forever Tourist”と見なしてますので、地元に溶け込むことを心配するわけでも、友達を作りたいわけでもないことが、妙な強さになっているのかも。

(お風呂のあと、マイナス気温の中を走って、髪の毛がメドゥーサみたいにカチカチになるのを毎晩楽しんでいるTouristです。)

 

大学留学生のみなさん。

たくさんの試練が続く英語での大学生活。

移民の国カナダ、多民族の国カナダだからこその苦労がたくさんたくさん待ってます。

 

「カナダ人」のフリをする亡霊にだけはならないように。

自分をよく知り、カナダの良いところを吸収し、大学というトンネルから大きな未来に進んで下さい。

 

今日も極寒(マイナス31度です)の大平原のキャビンから応援しています。

  

カナダにいらっしゃい!

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