大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「留学前に知るカナダの歴史 - 寄宿舎後から215名の遺体発見」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
カナダにいらっしゃい!

大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
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留学前に知るカナダの歴史 - 寄宿舎後から215名の遺体発見

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留学 大学・高校正規留学 2021-06-04 08:45

カナダ留学を夢見ている日本のみなさん。

カナダの歴史を知っていますか?


なぜカナダに留学したいですか?と聞いた時に一番多く返って来る答えが『自然がきれいだから』。

「自然」と「学ぶこと」とは例えば海洋生物学とか恐竜の研究や自然資源の豊富なカナダの地質学とかを学ぶ場合は別として、「留学」と「観光」をごちゃまぜにしているような気がしてしまいます。


カナダの歴史を知った上で、留学したい国かどうかを決めてほしいですね。


カナダで学ぶ=カナダの歴史を深く扱う授業に参加する

ことですから、日本を出るまでに大まかな歴史は自分で調べるべき。

カナダの中学までの授業では、カナダの歴史を相当細かく学習し、生徒は自分の考えを組み立てていきます。

高校では、それを更に深く理解する授業ですので、何も知らない日本人がいきなり留学しても「は?」と。

周りにも「何も知らないの?」と相手にされなくなっていきます。


さて、この1週間、カナダ中を揺るがせている大きな事件を知っていますか?

知らない?

じゃぁお話しましょう。

 

白人が来てカナダという国家を勝手に作るず〜っと前から、自分たちの文化も言葉も持ち暮らしていた先住民族。

コロンブスがアホな間違いをして「インド見つけた!」と騒いだせいで、以前はインディアンと呼ばれていた人たちです。


インディアンは差別する言葉ですので、今はほとんど使うことはありません

(使うと差別主義者と勘違いされるので要注意)

現在はリスペクトを表し、The First Nations people、Indigenous peoples(先住民族)などと呼ばれています。


白人が入り、Indigenous peoples の住んでいた土地が略奪され、遊牧民としての暮らしがなくなり、完全な白人の支配下に入ってしまいました。

大切に大切に共存して来たバッファローも、白人たちがただ単に毛皮がほしいだけで大量殺戮されほぼいなくなり、先住民族は暮らしの手段もなくなりました。

現在広大な農地を我がもの顔で専有している白人たちは、先住民族の土地をタダかタダ同然でもらったわけです。

その広大な農地からたくさんの大豆やカノーラ油などが日本に輸入され、みなさんの胃袋に収まっていると思います。

今度、揚出し豆腐を食べる時に、「あ〜先住民族から奪った土地で作った大豆と油かぁ」と考えてみるとカナダを少し理解出来るかも。


先住民族からすべてを奪った白人は、今度はこんな傲慢なことを始めました。

「インディアンは劣った原住民だ。白人のキリスト教文化で教育するべき。」と、先住民族の子供たちを親から強制的に引き離し、カトリックの教えで教育する寄宿舎にぶち込みました。

カナダ中に150ほど出来たResidential Schoolと呼ばれるまるで監獄のような施設のことです。


そこでは、先住民族の言葉を使うのは禁止、親にも1年に一度会わせるだけ、先住民族の誇りとするすべてのものを禁止。 ルールを守らない子供には残酷な体罰。

カトリックの教師により性的虐待は日常茶飯事。

逃げ出した子供もかなりの数にのぼったそうですが、行方不明のケースが多いとか。

Residential Schoolは、1890年から1969年まで続いていました。


1週間前、BC州内陸部にあるカムループスのResidential Schoolからなんと、215名の子供の遺体が発見されました。

これからDNA鑑定や死因の特定などがなされ、実際にResidential Schoolで一体何が行われていたかの事実が徐々に明らかになっていきます。


他にもカナダ中に150近くあるResidential Schoolにも今後捜査が広がっていくと思います。


今でも先住民族は相当の差別をされています。

白人が先住民族を見る目は汚いです。

(長くなるので1行だけにしますが、日系カナダ人が太平洋戦争中にカナダから受けた仕打ちも同じくひどく汚いです。)


このパンデミックで表面化した「白人カナダ人の有色人種への差別・嫌悪感」が、大きく社会に顔を出した事件がカムループスのResidential School215名の子供の無残な遺体発見です。


これがカナダの負の歴史です。


実は高校留学を受け入れる学区には、未だにResidential School時代のカトリック教の偏見が根底に見え隠れしています。

「親から引き離されて、わざわざカナダの高校に送られる日本の未成年たち。国は安定しているし経済も問題ない日本からなぜ? あ!問題のある子供たちなんだ! 親に見捨てられた子供たちなんだ。 やっぱりカナダの白人文化は優れているので、そこで教育してほしいと送るんだ!」

高校留学プログラムとResidential Schoolとを混同しているのかな?と思える学区も結構あります。


その結果「カナダに来るしかなかったかわいそうな子供たち」と、難民よりも下の扱いの高校留学プログラムで適当に扱われます。

高校留学生の人権などカナダ政府が認めていないのはこれもひとつの要因でしょうか。


子供を高校留学させようとしている親のみなさん。

「そうですか? 問題があるので、日本においておけないか、親も見捨てた子供ですか、あなたの子供は?」


「いやいや、英語を学ばせたいから。」と言いますか?


そうしたらまたこんなカナダの偏見に出会いますよ。

「先住民族の言葉は英語より劣るので、子供たちを強制的に英語で教育したように、日本人の子供も日本語より優れた英語での教育が必要なんだね。わかった!」と。


カナダの歴史を知ること。

これが留学を考えた後最初に学習することだと思いますけど?


そして、その歴史を更に深く知りたいと思ったら、始めて「カナダに興味があり留学したい」ということにつながります。


同じResidential Schoolから生き残った先住民族の言葉です。

「突然いなくなり、カトリックの教師からは『その子は逃げた』と言われた仲間がたくさんいる。夜になるとカトリックの神父が階段を上ってきて、ひとりづつ仲間を連れて行った。(性的虐待の証拠あり)」


表には決して出てこない、エージェントは口が避けても言わない高校留学生の末路も酷いものがあります。


学校の規則を破ったからと強制退去、警察の介入・逮捕・強制送還、ホストからのあらゆる中傷で退学などにより、ひっそりカナダから去って行ったたくさんの日本人高校生たち。

本当に何があったのかは闇の中です。


カナダ留学前にはカナダの歴史を学ぶこと。

その歴史に興味を抱いたら


カナダにいらっしゃい!

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