大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「BC州の高校卒業試験が大きく変わる - 日本人留学生の高校卒業が更に非現実的に」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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BC州の高校卒業試験が大きく変わる - 日本人留学生の高校卒業が更に非現実的に

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留学 大学・高校正規留学 2019-01-24 07:55

日本人高校生にとり、カナダの高校卒業資格を得ることは非常に難しい挑戦です。

「カナダ留学の実態」eBookを発表して以来、特に「卒業出来そうもないです!」「3年で卒業出来ると思ったのにもっと時間がかかります!」などのSOSが頻繁に舞い込むようになりました。

2019/2010年度、BC州の高校卒業条件を満たす州試験が大幅改定されますので、パニックSOSが来る前に情報を書いておこうと思います。

 

ご相談に接し「あれ?」と思うことがあります。

「カナダの教育制度が急に変わったので卒業が延期されました。」「来年からは卒業規定が更に難しくなると聞いたので今年中に卒業したいです、どうしたらいいですか?」など。

 

卒業に必須のEnglish 10, 11, 12授業で、カナダの同級生と同じ教室に座り、単位取得の能力があり、しかもEnglish12のとてつもなく(日本人には)難しい州の試験に合格出来る日本人高校生はわずかな人数です。

もともと日本での学習能力が高く、英語のReading/Writingを徹底的に訓練された一部の優秀な日本人高校生のみが卒業証書を手に出来るのが現実です。

 

この難しさは、カナダが公立高校に留学生受入を始めた1990年頃から全く変わっていません。

「急に制度が変わったから卒業出来ない」のではなく、「もともと卒業する能力がない」のを制度のせいにしていると思います。

「知らなかった!」と言えば情状酌量があるとでも思っていますか?

English10, 11では、もしかして先生の質が悪く、甘い評価で、お情けで合格だけはさせてくれる場合があるかも知れませんが(よくないことですけどね)、English12になるとそうはいきません。

 

どの高校もEnglish 12州試験の学校全体の成績を非常に重んじますし、すべての生徒の成績が州政府の分析対象になることを重要視しています。

留学生だからと言って、甘い扱いはありません。

逆に、授業の成績が芳しくないと最後の州試験受験をやめるよう促されることもあります。

留学生にとんでもない点数を出されると、学校全体のマイナスとなりますから。

 

さて、BC州の大きな改定点。

English 12の最後に実施していた州の試験English 12 Provincial Examに変えて、Graduation Literacy Assessment と名前のついた最終試験を受けるようになります。

(もうひとつGraduation Numeracy Assessmentもありますが、ここでは説明は割愛します。)

 

カナダの教育制度は、日本のような中央集権ではなく各州が自治権を持ち、独自に方針を決定出来ます。

そのため、高校卒業規定は州により微妙に異なり、改定も数年おきに実施されます。

卒業資格を得た高校生たちがその後の進路で、果たして十分な教育の成果を見せているかどうかを判断し制度をいじることは非常に頻繁に行われます。

ですから、日本からの高校留学生には、常に最新の情報が必要で、そのために存在するのがエージェントであるはずなのですが、実際のところは「高校卒業の不可能に近い難しさ」さえ説明を怠っているのが現状です。

 

BC州ホームページからの記載です:

The Graduation Literacy Assessments (GLA) are new provincial assessments and will be a graduation requirement at Grade 10 and Grade 12.

GLA(高校卒業資格に値する読み書き能力を計るテスト)は、10年生及び12年生を対象に行われます。

* The Grade 10 GLA will be introduced in 2019/20. 10年生には今学期から実施

* The Grade 12 GLA will be introduced in 2020/21. 12年生には来学年から実施(今年卒業予定の生徒には従来のEnglish12 Provincial テストを実施)

 

あらら、10年生からGLAの洗礼を受けることになりますね。

つまり、日本人高校生がやっとESLを経てEnglish10に上がっても、州試験に合格しないと次のレベルには行けないと。

また、エージェントの宣伝文句でもある「日本の高校の単位をカナダに移せるから卒業は簡単ですよ」も、騙せる効力が限られて来ますね。

いきなりEnglish10GLAが必修で、しかもそれが出来ないと上のクラスが取れないわけですから、あらら。

エージェントや受入School Districtは本当に正しい情報を留学希望者に出しているのか、大いなる疑念が湧いて来ました。

 

GLAはどんなテストかというと:

In Part A, after responding to a number of texts related to the essential question, students will respond to a writing prompt, such as, “To what extent do people have the power to make their community a better place in which to live?” Students will be asked to communicate their depth of insight into, or understanding of, the topic. They will support their argument with reference to the texts in the section and may also draw upon their own experiences and knowledge.

「テストの基準である必須の内容に関しての様々な種類のものを読み、答えをエッセイテーマに答える形式で書きます。 例えば「自分の住んでいるコミュニティをより良くするために、人々はどこまでの力を持っているか。」 トピックをどこまで深く理解しているか、質問の本質をどこまで深く理解出来ているかを、正しいエッセイ形式で書くことが要求されます。 受験者は自分の主張を、読んだものからの引用、または自分自身の知識・経験を使い、論理的に説明することが要求されます。」

 

これが高いレベルで出来る日本人留学生は、稀有な存在であることは確かです。

GLA12に少なくともBで合格するには、それまでの集中的な英語エッセイの特訓が欠かせませんね。

英語のエッセイは、Literacy(読み書き)レベルの一番重要な判断基準ですから。

カナダの小学生・中学生が日々学校で訓練されたエッセイ能力など全くないまま留学した日本人高校生には、スタート地点からコツコツ追いつくしか方法はありません。

 

そんな基本などやってる暇がない?

非常によく聞く高校生からのセリフです。

点数も取れないし、上のクラスにも上がれてないのに?

 

「教育制度が変わったから卒業出来なかった」を一生言い訳にすることになるのでしょうか。

 

カナダに留学中の日本人高校生のみなさん。

魔法はおきませんよ。

時間がかかっても、諦めて、カナダの同級生にコツコツ追いつくしか方法はありません。

それが嫌なら、日本に帰った方がいいですね。

何年いても時間とお金の無駄だと思います。

 

 

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