大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「Metamessage 【言語の伝える真の意味】- トランプの嘘の暴き方」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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Metamessage 【言語の伝える真の意味】- トランプの嘘の暴き方

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科学に基づいた心理学から 2017-06-12 04:47

私の本来の専門分野Linguistics (言語学)が活躍しそうなドラマがアメリカで繰り広げられています。

トランプがどんどん自滅していくさまが見事に言語学で説明出来てしまう面白さです。

まるでプロレス解説みたいに。

 

トランプが無思慮に(すべての行動がそうですが)解雇した元FBI長官Comeyの議会での宣誓証言。

トランプのしゃべった英語が問題になっています。

“I hope you can see your way clear to letting this go, to letting Flynn go. He is a good guy. I hope you can let this go.”

 

ロシア疑惑に埋もれそうだった部下のフリンを何とか見逃せというトランプの言葉。

そこに”hope”を使ったことが、共和とトランプの言い逃れの切り札になっています。

 

単純に言うと「希望する」という意味なので、単にトランプが希望しただけで命令ではない。 従って司法妨害には当たらないという幼稚園レベルの反論です。

 

言語学者に言わせると。

トランプの使った”hope” は”Metamessage” では「やれ!」という命令になる。

 

Metamessageとは:人間が発する言葉には「話す人の立場」「相手の立場」「その場の状況」「そこまでの話しの内容」「声音」「表情」「イントネーション」など、文字だけには置き換えられない要素がすべて含まれています。 そのような要因を考慮し、声や文字で伝えられたメッセージが持つ本当の意味

 

トランプは大統領、コミーはFBI長官でトランプに不利な疑惑を調査中。

他の人物を部屋から退出させ、コミーとふたりきり。

大統領はFBI長官よりも大きな権力を持つ、つまり解雇出来る。

 

その状況での “Metamessage” は非常に強く “hope” = “order” (指示、命令)を表わしています。

コミーも「大統領の言葉を指示だと解釈したか?」との問いにためらいなく “Yes” と証言しています。

“In response to Sen. Angus King (I-Maine) asking whether the president’s words were “a directive,” Comey said, “Yes.”

 

Metamessage は卑怯な言い訳にも最適なのが困ったところです。

話しの結末がうまくいかなかった場合に「そんな意味ではなかった」「相手が勘違いした」と、自分の本来の意志を隠す言い訳に使われることが多々あります。

 

(日本の政治家が非常に頻繁に言い訳に使ってますね。「ことば足らずで誤解された。。」な〜んて。じゃぁ、ことばを足してもう一度言ってみて下さいと言いたいくらい馬鹿げた言い訳です。)

 

トランプの遺伝子を受け継いでしまい、脳の論理的解析部分が機能していない息子 Donald Trump Jr. (同じ名前でかわいそうな気もしますね)が、Linguisticsの教科書に載っていそうなそのままの言い訳をしています。

 

“Hoping and telling are two very different things.”

hope” と “tell” は意味がまったく違うんだ!と。

 

You are wrong, Dude.

権力を持つもの(トランプ)の口(おぇ!)から出た “hope” は “tell”も同じ。

 

例えば。

泥棒があなたの頭に銃を当てて “I hope you will give me your wallet.”

その場の状況では泥棒があなたの命に権力を握ってしまっています。

hope” は見事に威力を発揮、強い命令となります。

 

日本語では Metamessage はどう扱われているんでしょうか。

もともとが超レベルに曖昧に表現出来る言語なので、ほぼすべてのコミュニケーションで Metamessage を考慮しないといけないと思います。

その日本語の曖昧さを逆利用し、トランプの使う卑怯な英語の本当の意味を探ってみましょう。

 

トランプのセリフをGoogle 翻訳してみました。

“I hope you can let this go.”

「私はあなたがこれを行かせることを願っています。」

 

“let it go”の意味を間違えたGoogle はさておいて。

「私は、願っています。」なんですね、日本語では。

 

「願う」と国語辞典で調べると「こうしてほしいことを人に頼む。助力や配慮を求める。」

おや? やっぱり「指示」です、日本語でも。

 

今度はGoogle 翻訳結果の変な日本語「私はあなたがこれを行かせることを願っています。」の「願っています」の部分を「私はあなたがこれを行かせることに助力することを求めます。」に変えて、Googleに英語に翻訳してもらいました。

国語辞典の説明に従って。

 

Wow! こうなりました!

”I urge you to help me make this go.”

これは正に Obstruction of Justice (大統領の司法妨害)の明確な証拠です!


urge: to present, advocate, or demand earnestly or pressingly熱心に要求する)

【let this go: 状況を見て、状況に任せてやり過ごせるようにする】が
make this go: 無理やりやり過ごさせる】に!

 

重大発見をした気分です。 トランプの嘘を日本語と英語の分析から見破った!

 

日本で日常のように聞かれる「そんなつもりで言ったんじゃない。」「悪くとらないでほしい。」も、Metamessage の威力を完全に無視した単なる言い逃れですね。

すべての状況、「話す人の立場」「相手の立場」「その場の状況」「そこまでの話しの内容」「声音」「表情」「イントネーション」があなたの発言に現れていますよ。

 

Metamessage!!

スーパーヒーローです。

 

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