大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「Choose your gender - カナダ・アルバータ州が生徒の「性」を選ぶ権利を制度化」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大澤 眞知子

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Choose your gender - カナダ・アルバータ州が生徒の「性」を選ぶ権利を制度化

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科学に基づいた心理学から 2016-01-18 15:39

カナダ・アルバータ州の教育がまた大きく変わりました。

すべての学校の生徒が、自分の「性」を選ぶ権利を保証する制度を作りました。

 

個人はみんな異なって当たり前。

異なる個性を異なる方法で教育するのが方針のカナダ・アルバータ州。

 

その教育がまた世界のトップを走るような改革を行いました。

アルバータ州の教育制度の恩恵を、伸びる芽をふんだんに持った日本の生徒にと、私が主催する「アルバータ州小さな町での高校留学プログラム」も、大きく進化しそうです。

 

アルバータ州教育相が発表した新しい指導方針の主題は: 


Alberta students have the right to self-identify when it comes to their gender identity and gender expression.


アルバータ州の生徒は、自分の「性別」、また自分の「性」を日常生活でどのように表現するか(服装、行動、話し方など)を自分で決定する権利を有する。
アルバータ州全域の教育関係者は、その権利が守られるよう働くことを義務とする。

 

人間の脳は非常に高度な仕組みを持ちます。

染色体のXX, XY だけで「性別」を機会的に分けることは不可能です。

 

受精後2〜3週間ですでに原型が出来上がる私達の「脳」。

その発達過程において科学者も未だにすべては解明出来ない複雑な活動をする「脳」。

 

染色体がXXでありながら、自分は「男のはず」だと思っている3歳児。

思春期の体の変化や生理の開始に絶望する「男」だと思っているXXの体を持つ中学生。

 

染色体がXYでありながら、リボンやフリルの洋服が大好きな小学生。

筋肉がついていく体に絶望する「女」だと思っているXYの体を持つ高校生。

 

自分が「男」か「女」かを決定するのは、実は「脳」です。

決定する時期も個々により微妙に異なります。

その脳の決定が、実は自分の生まれた時に決められた「性別」と異なってしまうのは実は非常に自然なことなのです。

 

英語ではTransgender と呼ばれます。

日本語では未だに「障害」扱いで「性同一性障害」とか言いますね。

生まれながらの性と自分が思っている「性」への認識は同一のはずなのに、それが異なるのは「おかしい」という、いかにも「違うものは排除する」日本的な嫌な言葉です。

 

Transgender の子供・若者をどう助け、伸ばしていくかは最近のカナダ・アメリカ・ヨーロッパでは大きな動きになっています。

それに勇気付けられ、本当の自分を外に出せるようになった若者たちが続々と声を上げ始めています。

 

ただ、まだ社会には根強い偏見、先入観も残り、その排除も大きな課題となっています。

その大きな一歩としての、アルバータ州教育相の発表です。

大拍手を送りたいです。

 

具体的には5つの重要な指導方針が含まれています。

 

1.  Pick your own pronoun.

 

生徒は自分がどう呼ばれたいかの「名前」「代名詞」を自分で決めることが出来る。

教師など、教育関係者はその意志を尊重する。

 

学校の成績表などの記録には、Family Name(氏)が使われることになっていますが、普段の学校生活でのFirst Name (名)には、生徒自身が認識している「性」に合わせた名前を使う権利を認め、その権利を教育関係者すべてが尊重するようにとのことです。

 

また”he” “she” などの代名詞も、生徒本人がどちらを使ってほしいかを決めることが出来ます。

 

更に、従来の”he” “she” の代名詞で自分を認識されたくない生徒には、新しい代名詞の使用を認めます。 例えば “ze” “zir” “hir” など。 自分で代名詞を作ることも可能です。

 

呼称においても、従来の「性別」で固定化された “Mr” “Mrs” “Ms” を好まない生徒には、例えば”Mx” とか、または何も使わない選択も認めます。

 

 

2. Play for the boys or girls team.

 

学校での学習・活動内容は全員が参加出来るものにする。

「男」向けの活動、「女」向けのコースなどは作らない。

 

スポーツチームなどでは、生徒本人が認識している「性」での参加を認める。

 

保健体育の授業など、団体での授業参加に抵抗のある生徒には、特別に「個人で履修」出来る内容のものを用意する。

 

 

3. Use male or female washrooms, or neither.

 

生徒は自分の認識する「性」でのトイレを使用する権利がある。

 

また各学校は、プライバシーを守りたい生徒のために、Non-Gender (性別ではない)トイレを作ること。

そのトイレを使うにあたり、生徒は理由を申し出る必要はない。

 

Non-Gender トイレは、誰でにもアクセス出来る場所に設置し、出来れば各学校に数か所、生徒、スタッフ、訪問者にも使えるものにすること。

 

 

4. Pick the change room you prefer.

 

体育の授業などのための更衣室は、生徒自らが認識する「性」での使用が出来るものとする。

また、プライバシーを守りたい生徒には個室の使用も認める。

 

Transgender ではない生徒の中で、一緒の更衣室の使用を希望しない生徒(または親の意向)には他の部屋での着替えを認める。

 

すべての生徒の権利を守るために、学校全体としての包括的対応を行い、常に大人の目で生徒たちを見守ること。

 

 

5. Establish Gay-Straight Alliances.

 

生徒(ひとりでも)が希望した場合には、各学校は”Gay-Straight Alliance” グループを設立し、その運営を助けることを義務とする。

 

Gay-Straight Alliance: 安全な学校環境、健全な社会を作るため、LGBTQ(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・ジェンダークイア[生まれながらの性としての認識はあるが、その性についての社会的固定概念に抵抗を持つ])の権利を守る活動家を育てるグループ

 

各学校は、全生徒に、このグループを設立する権利があることを明確にし、援助体制を整えること。

アルバータ州全域の教育関係者は、常に生徒たちの多様性を尊重し、個々の生徒が多様性故に発展するよう助けることを義務とする。

 

Wow.

その一言です。

 

日本と教育界とは100年以上(もっとかな?)の開きがあるようにも思えます。

 

今年は私の「カナダプログラム」も100% フル回転に入ります。

このカナダ・アルバータ州に入って行きます。

 

 We’ll Join Alberta.


 

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