大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダに行けば「自分」を変えられますか?」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
カナダにいらっしゃい!

大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
Super World Club 代表
サービス:1件
Q&A:116件
コラム:1,641件
写真:1件
お気軽にお問い合わせください
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

カナダに行けば「自分」を変えられますか?

- good

科学に基づいた心理学から 2014-09-18 19:15

コラムを読み深い印象を受けたという大学生からのご相談です。

__________________________

「自分を変えたいのです。」

大学生です。大うつ病性障害、境界性人格障害の薬物治療を受けています。

主たる原因は家庭環境、そして学校の環境の問題だと感じています。

今では、自分の存在価値や生きている意味もわからず、何をしても満たされない自分の心に絶望を感じ、何もする気になれず、過食や浪費に走っています。

 

そんな時に、大澤先生の”自分を見失った子供たち”という題名の記事を拝読し、深く心に響きました。

カナダに行ったら自分や自分価値観を変えることができるのではないかと少し希望を持てるようになりました。

 

日本は個々を大切にする考えが浸透していないし、それが顕著だったのは私の家族でした。 家族や周りの支配下に常に置かれているような環境で私というものが分からないままここまで育てられてきました。 そんな環境から自由になりたいのか、今までの仮の自分とおさらばして新たな土地で新しく自分を形成したいのか、分かりませんがカナダに行きたいという思いだけが大きくなっています。

 

この今歩いているくだらないだけの人生をもう歩きたくはないのです。

このまま日本に居続けたところで何も変わらないということだけは漠然と感じています。 今通っている学校も行っても意味のないお金の無駄としか思えない授業内容で、周りの人たちも単位を取ることしか考えていません。

 

カナダに行きたいという強い思いがありますが、同時に不安でもあります。自分のこの決断は間違っているものなのか、やりたいことが何もないのにカナダに行ったところで何になるのか、この先の人生どう生きるのかという、どうしようもない思いも感じています。

結局、自分でも自分の考えがよくわかっていません。

_________________________________ 

 

深刻ですね。

深刻ですが、読んでいただいたコラム「『自分が誰で何がしたいのか』わからないまま大人になる日本」にも書いたように、これは日本の大多数の若者が抱いている絶望のような気がします。

 

では、カナダに行ったら自分を変えることが出来ますか?

 

答えは簡単ではありません。

カナダが大きなきっかけになるかどうかは、あなた次第だからです。

 

過去そして現在も多くの日本人がカナダを目指しています。

みんな「自分」を変えることが出来たでしょうか?

 

残念ながら大きなNOです。

正規に大学の学位を取得するならまだしも、短期の語学学校や、ワーキングホリデーでカナダに行く日本人たちは、日本の「受け身・未熟な集団意識」をカナダに持ち込み、現地の人の眉をひそめさせるほど、「幼い日本人」を披歴して帰って来てしまいます。

(正直現地では迷惑だという話もいっぱい聞きます。)

 

では、どうしたらカナダを大きなきっかけに出来るか。

順を追って説明しましょう。

 

1. 現在の「自分」はあなた自身の行動の(或いは非行動)結果であることをまず自覚すること。

 

もちろん、日本にはクリティカルシンキングが存在しません。

「自分のこと」「周りのこと」に疑問を感じ、そこから「なぜ?」を発展させていく土壌がありませんし、幼い時から「周りがそうするから」「親がそういうから」「友達から浮きたくないから」という理由ですべての選択をする傾向が強いです。

 

でも、その選択をして来たのはあなただし、「なぜ?」を追求して来なかったのもあなたですね。

 

この日本では、「なぜ?」を問いかけたり、人と違うことをするには勇気がいると思いますが、やろうと思えば出来ないことではないですね。

ちょうど今のあなたが、自分の生きてきた過程に疑問を感じて背を向けようとしているのと一緒です。

 

英語では、慣れ親しんだ環境の中で行動出来ない人のことを “Fish in water” と言います。

ずっと水の中にいる魚は、自分が水の中にいることも気がつかなくなるという意味です。

 

その水から首だけでも出してみようとしなかったのは、あなたですよね。

 

現在の絶望の原因は「家庭環境」でもなければ「学校環境」でもないと思います。

まだ「水」の中にどっぷり浸かっているあなただと思います。

 

環境による人格への影響は非常に限られていると、多くの心理学の研究が証明しています。

余程のひどい環境でない限り、人格を決定づけるのは環境ではなく、遺伝子と、自分から好んで選ぶ同年代の人たち(学校などの友達、知り合いとか)がかなりの要因だと考えられています。

 

それを自覚し、自分から行動しないと何も起こらない。

受け身では何も始まらないという認識がまず必要だと思います。

 

2. さて、認識したと思います。 ではどうすればいいですか?

 

と、まだ自分で決められないなら、カナダは解決方法になりません。

自分で具体的にどんな方法が取れるのか徹底的に調べること。

そして、英語圏の社会で人と人のコミュニケーションが取れるように勉強すること。

 

まずはここから。

 

よし! カナダ!

と、思いついて出かけて「自分が変わる」ほど、人間は簡単には出来ていませんし、カナダはそんなチープな特効薬でもありません。

 

疑問を感じ、自分でその疑問を追及し、自分の能力を高める方法を自分で選び、自分から飛び込んで行く。

これがクリティカルシンキングが出来る人の行動です。

 

少なくともクリティカルシンキングを基にした英語理解の基本を真剣に身につけていかないと、カナダでは何も出来ません。

「幼い日本人」がひとり増えるだけになってしまいますので、カナダにも迷惑です。

 

3. 1と2を経て、真剣に勉強した日本の若い人達にこんなプログラムを作りました。

 

「カナダの小さな町でボランティア」です。

 

Alberta Health Services というカナダ・アルバータ州政府のボランティアとして、主にケアセンターなどで活動します。

 

大平原の小さな町で、日本人ボランティアはあなたひとり。

もともとあるグループの中に入り、指示してもらうボランティアではありません。

 

周りを観察し、自分で仕事を探し、人の中に入っていく体験です。

英語だけでなく思考法もかなり訓練した人たちでも、何度も立ち往生します。

 

それをサポートするのが、現地のカナダの人と、私そしてカナダ人パートナーです。

Facebook で活躍を連載中ですので、興味があれば読んでみて下さい。

 

自信なさそうにカナダに降り立った日本の若者たちが数週間で大きく変わる様子は素晴らしいですよ。

 

この3番までの道のりは長いし、簡単ではありません。

では、ここまでたどりついたら、ボランティア以外にも、必ず自分で合った方法を自分でみつけることが出来るようになるはずですから。

 

 

自分が自分のことを決める自由。

素敵に聞こえますが、実は大きな責任が伴うことです。

誰にもついて行けませんし、頼れません。

自分の疑問にはすべて自分で答えを作る必要がある。

これが「自由」です。

 

この「自由」が自分に向いていると思ったら、カナダを目指してみて下さい。

大きなきっかけになるはずですよ。


Good Luck! 

カテゴリ 「科学に基づいた心理学から」のコラム

”Hope”とは(2019/01/03 05:01)

カテゴリ このコラムに関連するサービス

メール相談 Critical Thinking を使った英語のReading

英語のストーリーやエッセイなどの抽象的な概念を論理的に理解する方法

料金
16,200円

英語のReading 能力を高める効果的な方法。 それは、Critical Thinking を使い、分析しながら読めるよう訓練することです。

アメリカやカナダの大学では、高校までの教育で完成しているはずのCritical Thinking能力が必須ですが、大学により、その能力を確かめるために、Reading with Critical Thinking という教授法を使うことがあります。

その実践されているReading with Critical Thinking を体験して下さい。

Critical Thinking を使った英語のReading
プロフィール対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真