最大建築床面積とおおまかなコストが知りたいです
住宅・不動産 住宅設計・構造 2014/07/12 20:45先日も同じような質問をしてしまったのですが、土地はそれぞれで条件が違い素人にはなかなか難しいのでお許し下さい。
都内で小さな会社を営んでいます。
自社ビル所有を目標に中古ビルや土地を物色しているのですが、気になる土地がありましてのご相談です。
ちょっと大雑把な質問かもしれませんが、この土地には何坪の建物が建てられるのでしょうか?
土地面積:59坪(正形地/更地)
建ぺい率/容積率:60%/300%
接道:南西 9m公道/接面13m
地目:宅地
用途地域:1種住居
都市計画:市街化区域
接道が9mなので建蔽率の300%で建てらると思うのですが、高さ制限などで結局一杯まで建てられないような気がします・・・。
オフィスビルなのでごくシンプルな鉄筋コンクリートが鉄骨のビルを想像していまるのですが、坪@¥80万程度で建てることは可能でしょうか?
最近は建築費が高騰しているらしいので難しい気がしますが、工期を充分にとればコストパフォーマンスが良くなったりするのでしょうか?
その他、この規模の建築において気を付けることがあればご教授下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
たんたんめんさん ( 東京都 / 男性 / 47歳 )
防火指定、高度地区、日影規制は如何でしょうか。
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たんたんめん様
はじめまして中辻正明・都市建築研究室の中辻と申します。
まず最初に質問に質問をすることをご容赦ください。
敷地条件に第3種高度地区の指定は無かったでしょうか?
1種住居なら北側斜線に代わって、高度地区の高さ制限が一番厄介です。
また防火(準防火地域、防火地域)の指定がありませんか?
日影規制は如何でしょうか?
すべてナシでよろしいでしょうか?
容積率について。
前面道路による容積率の低減係数は0.4(または0.6)なので
前面道路幅9m×0.4×100=360%>(300%指定容積率)となります。
建蔽率60%になるよう最大のボリュームとした場合、
最初にお尋ねした高度地区の指定がなければ、
道路斜線さえ気をつければ、5階建て、容積率300%は十分可能です。
しかしながら第3種高度地区などの指定があった場合、
南西道路と言うことは、建物の2面(=北西面と北東面)に高さ制限がかかります。
例えば建蔽率60%になる10.8m角平面の建物を
南の角に寄せて建てても、5階部分は第3種高度に当たらないよう
セットバックしなければなりません。
したがって「シンプルな」というご希望ですが、直方体のビルは難しく
斜線なりの形で切り取られた形の6階建て以上にして
容積率300%を実現することになると思います。
(高度地区の指定が無ければ、上記は読み飛ばしてください。)
コストについて。
仕上げや空調設備、エレベーターが必要となりますので
昨今の建築費の高騰を考えると、坪80万円では厳しいのではないでしょうか。
坪100万円ぐらいは心づもりされておいた方が良いように思います。
一般的に工期とコストの関係は、工期が長くなるとコストは上がります。
経費や人件費がたくさん掛かるからです。
鉄筋コンクリート造は工期を縮めるのが難しいです。
例えば5階建てなら、基礎、1階、2階、・・・5階と6回に分けて
コンクリートを打設しなければなりません。
そのうえ、各階ごとにコンクリートの強度が確認できるまで
上階のコンクリートが打設できないため
躯体工事だけで半年近く掛かります。
その前に必要なら地盤補強工事、躯体工事後に仕上げ工事となります。
その点、鉄骨造なら、一挙に躯体を組み上げることができるので
その分だけ工期を短くできます。
コストもその分だけ安くできると考えられます。
ただし、これも条件付きの回答とさせてください。
最初にお尋ねした防火指定がある場合、
この規模の建物は「耐火建築物」とする必要があります。
そうなりますとコストは一概に鉄筋コンクリート造>鉄骨造とも言い切れなくなります。
敷地条件の高度地区、防火指定、日影指定をご提示いただければ
もっと詳しく回答できると思います。
中辻正明・都市建築研究室
m-naka@mxj.mesh.ne.jp
http://www2u.biglobe.ne.jp/%7Em-naka/
補足
経験上、都内、特に23区内の場合、高度地区、防火指定、日影規制の規制がすべて外れているエリアはあまりありませんでした。
「○○区 都市計画図」で検索すればインターネットで誰でも詳しい法規制が閲覧できます。
私どもの事務所では、土地のご相談があった際、すぐに都市計画図で法規制の確認とともに近隣の地盤データを調査するようにしています。
迅速に回答いたしますので、何でもお気軽にお問い合わせください。
評価・お礼
たんたんめん さん
2014/07/13 17:27
中辻様
迅速に丁寧なご回答ありがとうございます。
ご質問の項目を不動産会社に確認いたしましたところ「第2種高度地区(20m)/埋蔵文化財包蔵地区/準防火地域/日影規制:4時間ー2.5時間(測定面4m)」との事です。
こちらからより具体的なプランがイメージが出来ますでしょうか?
費用の工面も出来ていない現状で、私の希望は「より広く、より高(高層)く、より安く、より直方体」なのですが、そもそも一般的な施主は建築可能面積最大で計画するものでしょうか?もしかしたら欲張りすぎでしょうか・・・。
更なるアドバイスなど頂けましたら幸いです。
中辻 正明
2014/07/13 21:42
たんたんめん様
ご評価、ご返信ありがとうございます。
「第2種高度地区(20m)/埋蔵文化財包蔵地区/準防火地域/日影規制:4時間ー2.5時間(測定面4m)」の条件では容積率最大の300%はかなり厳しいというのが結論です。
先の回答は日影規制が無いという前提でした。
まず第2種高度の制限ギリギリの建物ボリュームを考えました。
3階までが建蔽率60%の10.8m角。
4階は9m角、5階は7.2m角、6階は5.4m角。
合計で512m2=容積率261%です。
この建物ボリュームで簡単にスタディーしたところ、
日影規制:4時間ー2.5時間(測定面4m)の2.5時間に大きく引っかかりました。
すなわち日影規制が最も厳しい高さ規制になり、
日影規制内に収まるように建物ボリュームを小さくせねばなりません。
埋蔵文化財包蔵地区ですので地下は難しいと思いますので
シンプルな形のままで考えると地上4階建てまで
延床面積=430m2、容積率=220%ぐらいが最大になる可能性があります。
「より広く、より高(高層)く、より安く、より直方体」とお考えになるのは当然です。
「そもそも一般的な施主は建築可能面積最大で計画」を皆様、ご希望されます。
今回の土地は、より広く、より高くという点に不向きのようです。
土地は「ご縁」だと私たちは考えています。
もう数年間、土地探しのお手伝いをさせていただいているケースもございます。
たんたんめん様がご検討に値する良い土地と出会われましたら、いつでもお気軽にご相談ください。