ガルバ屋根の断熱・遮熱
住宅・不動産 新築工事・施工 2014/02/12 11:54都内新築で、傾斜天井三階建ての建物にガルバの屋根を計画しております。
小屋裏もないことから、厚さを懸念しております。
工務店の標準仕様はウレタン吹付160ミリです。
当初は、高反射塗料を使用したルーフィングを検討しましたが、ルーフィング下に設けられている通気層をルーフィング上に設けなければならないため、コストアップとなり、断念しました。
流れでタイベックシルバーも検討しましたが、その中で、熱抵抗値が低い場合は効果は高いが、熱抵抗値が高い場合は差がほとんど生じない、との記述を某ブログで見つけ、今回の断熱材では効果が発揮できないと考えるようになりました。
現在、通気層を兼ねられる遮熱パネルーフが気になっているのですが、これも遮熱ですから、効果がないのか、と考えています。
工務店からの提案はウレタンを160から225に吹き増すことなのですが、専門の方はいかが思われますか?ご指南いただけますようお願いいたします。
asako30さん ( 東京都 / 女性 / 40歳 )
断熱の考え方
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横浜駅近くで開業している設計事務所です。
断熱の考え方をちょっと書きます。
断熱に限らず構造や住まい勝手などにも言えますが、建築は一部分の部位や建材の性能のみを語っても意味がありません。
建物はトータルなバランスで成り立つものです。時に売らんが為の疑似科学的な文言も未だに見受けられます。
屋根断熱で4地域(東京エリア)ならD種のウレタンで160ミリというのは等級としては最上級の4等級になります。次世代断熱と言われている等級です。
225ミリというのは次世代断熱の北海道などの寒冷地エリアでの施工基準になります。
これでも欧米に比べると最低基準だと言う意見もありますが、この場合の欧米とはアメリカ北部、カナダ、ドイツ以北や北欧など北海道より緯度が高い地域の国々がほとんどです。
断熱性を高めていくのに異論はありませんが、地域性や気候、さらには敷地条件、コスト、長期的なメンテナンス性、もっといえばどのような住まい方をしたいか、などをトータルに考えてバランスしていくのが設計です。
断熱は屋根だけではなく壁や窓、基礎廻りなども含めて、「どれくらいの熱貫流の総量があるか」を問うものです。
例えば、通気層とグラスウールを複合した仕様の熱貫流率とウレタン160ミリのみの熱貫流率が同じだったら性能は同等です。
いたずらにあの仕様、この材料と計算根拠もなく仕様のみを追い求めても意味はありません。
勾配天井であれば熱は上に登りますから、夏季の熱溜まりがご心配でしたら上部に排気ファンをつけるのも一つの手です。逆に冬はせっかくの熱気が上がってしまうので、シーリングファンなどで下に落としてやるといいです。
窓はどんなに良い仕様でも壁よりは熱貫流は大きいです。
夏は陽射しが入ると不利ですが冬は暖かくなります。陽射しが無ければ熱損失の場所にはなります。
窓が小さいほうが計算は簡単ですが、大きい窓は視線が通って開放感がでますし気候の良い季節が多い地域なら開け放したほうが気持ちがいいでしょう。
断熱は単に熱計算だけの問題ではなく、トータルな設計や住む人の住まい方にもかかわるものです。
そんな事も頭の片隅においてみてください。
<あーす・わーくす http://office-ew.com>
評価・お礼
asako30 さん
2014/02/12 14:14
少し冷静になりました。ありがとうございます。
今回は、窓も大きく吹き抜けもあり、性能的なところに関しては若干目をつむった上での快適性を求めよう、ということで計画しております。
ただ、三階が子供部屋でかつ狭い、ということもあり、夏の灼熱地獄だけはなんとかしてあげたい、と懸念だけは残っており。断熱というと、室内環境のキープのため、というイメージがあります。今回必要なのは、断熱ではなくて、そもそもの遮熱なのではないか、というところからスタートし、どんどん不安が増幅しました。
現状、南に大きな開口があるので、北の上部に熱気を抜くための小窓を設置(たしかに、ファンの方がよいかもしれません)し、シーリングファンを設けております。その点は少し安心しました。
コメントを拝見する中で、さほど160mmの断熱だけでも、さほど問題がないような印象を勝手に受けましたので、冷房を上手に使う、という方向に頭を切り替えてみたいという気持ちになりました。
ありがとうございます。