小日向 るり子
コヒナタ ルリコグループ
対人関係がうまく築けない ~境界性パーソナリティ障害 その11~
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「対人関係がうまく築けない」これは境界性パーソナリティ障害の大きな特徴の1つです。
今回は、この特徴が通常の「対人関係に関する問題」とどう違うのかということと、治療方法についてご説明します。
だれでも「自分の思いがうまく伝わらない」というストレスを感じるときはあると思いますが、この障害を持っている方の特徴は、この「言いたい思いをわかってもらえない」というストレスが感情や行動に表れてしまうというところにあります。
周りからはこうした際のイライラした言動が怒っているように見えるため、「扱いずらい人」という印象を与え、周りから人がいなくなっている、という事態を引き起こします。
また、扱いずらい→人が近寄らない→アドバイスがもらえない、という構図が自身の障害を気付きにくくさせてもいます。
そしてそうした孤独感情が自傷行為(リストカット、過食、OD)につながってもいます。
1つの症状はいくつもの症状と結びついているのです。
なぜ自分は良好な人間関係が構築できないのだろう??
診断基準を以前のコラムに掲載していますので、あてはまると思われる場合は専門医を受診し、適切な治療を受けましょう。
診断基準 ~境界性パーソナリティ障害 その1~
http://profile.ne.jp/pf/kohinataruriko/c/c-109832/
治療現場では、小さい人間関係から次第に大きな人間関係へと関係性を広くしていきます。
1.医療スタッフとの関係
患者と医者との二者関係にとどまらず、治療に関わる多くのスタッフと接していく中で、適切な自己表現を学んでいく
2.家族との関係
家族療法などを通して、家族間で自分の思いを言葉で表現したり、相手の思いを理解したりできるようにしていく
3.一般の人との関係
デイケアなどを利用して、治療チームでも身内でもない、一般の人たちとの対人関係をうまく進める練習をする
大切なことは
自分の欲求や気持ちに踊らされるのではなく、それを表現する方法を練習していく
ということです。
追記)アメリカでは、まず現状を受け入れて、それから変化を促すことを試みる「弁証法的行動療法」があみだされ、治療にもちいられるようになっています。治療効果も認められていますが、日本ではまだ治療者が少なく確立された療法にはなっていません。
興味のある方は「弁証法的行動療法」で検索してみてください。
次回はこの障害の方が職場に巻き込む様々な症状を例をあげてご説明し、周りはどう対応したらよいかについて書いてみたいと思います。
また今回のコラムについて、私のブログにて私自身の「自分の思いを伝えるとき、伝わらなかったとき」についての対応方法について記載していますので、よろしければブログもご覧ください。
http://ameblo.jp/r-kohinata/entry-11603751045.html
「境界性パーソナリティ障害」のコラム
振り回す人の特徴と振り回される人の特徴 ~境界性パーソナリティ障害・補足~(2015/01/17 14:01)
どこに相談すればいい?何科に行けばいい? ~境界性パーソナリティ障害 最終回~(2013/10/18 15:10)
周囲はどう対応したらよいか ~境界性パーソナリティ障害 その12~(2013/09/21 16:09)
薬物療法について ~境界性パーソナリティ障害その10~(2013/07/27 14:07)
障害の治療方法 ~境界性パーソナリティ障害 その9~(2013/07/14 01:07)
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