小日向 るり子(心理カウンセラー)- コラム「どうしてこの障害になってしまうの? ~境界性パーソナリティ障害 その7~」 - 専門家プロファイル

小日向 るり子
感情を否定せず、まず寄り添うこと、を理念としています。

小日向 るり子

コヒナタ ルリコ
( 東京都 / 心理カウンセラー )
フィールマインド 代表カウンセラー
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どうしてこの障害になってしまうの? ~境界性パーソナリティ障害 その7~

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境界性パーソナリティ障害 2013-06-18 16:17

今回は、「何が原因で境界性パーソナリティ障害という障害を抱えるようになってしまうのか」というところを書いてみたいと思います。

精神科領域も、日々研究が進んでいます。
時系列で仮説をみていきましょう。

【カーンバーグの仮説】1960年代~1970年代
カーンバーグは、境界性パーソナリティ障害の有名な研究者です。
彼は環境要因とともに、気質的な要因を重視しました。
つまり「生まれつき」ということです。
生まれつき気質として持っている攻撃性や衝動性が障害の発症に結びつきやすいと仮定したのです。

【マスターソンの仮説】1970年代~1980年代
精神療法で有名なマスターソンは、母子関係に焦点をあてました。
子供が自立的な行動をとると、母親は自分が拒否されたような気分になって冷淡に扱い、子供が依存的であれば愛情を注ぐ。
母親の一方的な感情によってふりまわされる子供・・・次第に子供は母親の顔色を見て行動するようになります。
幼児期の子供にとって、母親は唯一無二の存在。見捨てられることが何よりも怖いのです。
このような「見捨てられ不安」がしがみつきとなり、それが障害の発症に影響していると考えたのです。

【セロトニン系の低下が原因】1990年代の研究
脳の神経生理学的な側面からみると、この障害の方は「セロトニン」という神経伝達物質を介して働く機能が低下していることがわかってきました。
セロトニン系の活動が低下すると、衝動性やイライラ感が高まります。
このように、1990年代になると、「なぜそうなるのか」という精神分析的な原因を探るだけではなく、脳機能の問題としてとらえられるようになります。

【遺伝的な要因】1990年代の研究
遺伝的な要因が大きく影響していると考えられるようになりました。
ノルウェーでの研究で、一卵性双生児が2人とも境界性パーソナリティ障害だと診断される可能性は、二卵性双生児の約5倍にのぼると報告されています。

【思春期の人間関係にも着目】2000年以降
本人の気質、遺伝的な要因や育ち方などに問題がある場合、思春期、青年期の過ごし方で発症するかしないかが左右されるという考え方です。
つまり、親子関係だけではなく、よい友人関係を持つということも大切な要素だと考えられるようになりました。


以前は、境界性パーソナリティ障害は、性的虐待など、幼児期に心に大きな傷を残す出来事が原因と言われていました。
しかし現在では、単一の要因ではないと考えられています。
いくつもの要因(持って生まれた気質、遺伝的な要素、育ち方、ストレス)が重なって発症に結びつく、と考えるのが自然でしょう。

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境界性パーソナリティ障害について、多くの書籍やネットを見ていく中で、私が個人的に感じている要因や思いがあります。ただそれは、私的な「思い」になりますので、個人ブログに書かせていただきます。
よろしければブログもご覧ください→http://ameblo.jp/r-kohinata

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次回のコラムでは、「回復するの?」という疑問に焦点を当ててコラムを書いてみたいと思います。

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