大塚 嘉一
オオツカ ヨシカズコルビュジエ のLC2
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コルビュジエのソファーLC2一人掛けカッシーナ製を二脚、入手しました。一つは革張り、もう一つは布張りです。
私の、コルビュジエLC2に対する印象はというと、安楽とは言い難く、ちょっと突き放された感じ。私の椅子の標準器たるポルトローナフラウのヴァニティーフェアの圧倒的な「包まれ感」、この地表の東経何度、北緯何度があなたの居場所ですよと安堵させてくれる感じ、これがない。背もたれが、腰のあたりまでしかないことも影響しているのかも。
まず、革の方に腰かけた感じ。今までの印象のとおり。
次に、布の方に腰かけた感じ。あれ、違うなあ。少し落ち込むのは勿論だが、それだけではなく、「包まれ感」が、ある。見直しました。
革張りのは、マンションのラウンジやオフィスでよく見かけます。それだと、長居されたくないので、固い感じでちょうどいい。しかし、家庭内では、くつろげない。それに対して、布張りは、とてもいい感じ。冬でも表面が冷たくないし。
最高級は、革ではなくて布、を再確認しました。
コルビュジエ(実は、シャルロット・ぺリアン)も、当初は、布張りを想定していたのかも。
さて、この椅子に対する態度とはどのようなものか。まず腰を低くして、正面のクロームメッキのパイプのアールのついた部分を鑑賞します。「結構な曲がり具合で」と、つぶやくように褒めます。次にゆっくりターンして、深く腰掛け、視線は前においたまま、左手で、おもむろに手すりのパイプの下面に刻まれたコルヴィジェのサインを、二回なでます。その際、愉悦の表情を浮かべることも大事です。これが、「椅子道」の作法です。同好の志以外の方には、了解不能、でしょうか。