大塚 嘉一
オオツカ ヨシカズトゥールダルジャン フレンチの至高聖所(アパトーン)
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娘が16歳になったので、レストランに連れて行きました。
紀尾井町にあるそこは、フレンチだかイタリアンだか分からない料理を出す店が多い昨今、典型的なフランス料理を提供してくれる貴重な存在です。
フランス料理の起源は、フィレンツェはメディチ家のお姫様カトリーヌが、フランス王アンリ2世のもとに輿入れしたときに連れてきた料理人たちと言われます。当時の二股のフォークが店内に飾られています。その他歴史的なお皿などなど。さながらちょっとした歴史博物館。
さて、テーブルでのお薦めは、鴨。最近、新しいシェフが、洋ナシのソースに挑戦しています。私は、昔ながらのオレンジのソースの味が忘れられなくて、この日も、事前に特別にお願いしておきました。
うーん。やはりこの濃厚な味付けには、オレンジの酸味が合う。10年前、20年前と変わらぬ味がそこにありました。そして、多分、それは300年前、400年前と遡ることができる味。
イタリヤから連れてこられた料理人も、そのあとに続く料理人も、内陸のフランスで、連綿と、彼の地に合う料理を探求したはずです。その成果としてのフランス料理。
料理は、時に二人の間を緊密なものにし、時に失意を癒やし、勇気づけ、時に孤高の魂を浄めてくれるもの。
ここは、その至高聖所(アパトーン)。
娘には、料理も、地理や歴史や文化の産物であること、人間に必須のものであることを分かって欲しい。
この日は、ジンジャーエールでしたが、次はシャンパンで乾杯できる日を楽しみにしています。
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