大塚 嘉一
オオツカ ヨシカズ伊勢丹浦和店とクレーマー
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浦和の伊勢丹は、私の事務所から歩いて5分くらい。よく利用します。
先日、妻と買い物に行きました。アッ、と妻の声。見ると左手薬指の先がちょっと切れています。現場を点検すると、妻にも不注意があったかもしれないが、お店の造作にも問題がありそう。
そこで、その造作の問題点を詳細に書いて、善処方を要請する手紙を送りました。出したあと、クレーマーと思われたらいやだなと思いました。
すると、手紙が着くか着かないかのうちに、速攻で、店舗の問題個所が改善されていました。妻がケガしたのとは別の同様の個所も、同じように改善されていました。加えて、連絡をいただいたうえで、責任者の方が、事務所にいらして、改善策を施したことを資料を添えて報告してくださいました。お見舞いの老舗の和菓子とともに丁重なお詫びの言葉を頂戴しました。
喧嘩仲間(?)とはいえ、今回、妻がケガをして腹が立ったのは事実です。将来、同様のことが他の方におきないように、というのは、正直に言えば、二次的な理由です。しかし、その腹立ちも解消しました。
私は、埼玉弁護士会の民暴委員であり、弁護士として、クレーム、クレーマーを相手にした経験は幾度もあります。また、顧問先に対するクレーム、クレーマー対応の経験も多数あります。
そんな私から見ても、今回のお店側の対応は、パーフェクトでした。
まず、クレームがあった場合、そのクレームに根拠があるかどうかを判断します。理由のあるクレームは、会社にとって「宝」なのです。業務の改善につながるからです。早急に、対策を講じる必要があります。根拠がない場合は、要求を毅然として断ります。今回、伊勢丹は、問題点を認め、素早く対応してくれました。
次に、クレーマーの属性に注目します。暴力団組員などの場合には、警察や弁護士に相談、依頼する必要があります。一般の方の場合には、その方の実損を考慮して、あるいは賠償し、あるいはお見舞いの気持ちを伝えるなどします。愚妻の場合は、バンドエイドを貼って数日程度です。これだとちょうど定番の菓子折りくらいでしょう。
よく、アメリカでは、交通事故や医療過誤などで、簡単に謝らないように、との指導がなされる、と言われていました。しかし、病院の医療事故についての最近の調査では、こちらに非がある場合にはすぐに適切な謝罪をしたほうが、被害者である患者の気持ちを慰藉することとなり、トータルでのその病院の出費は低額で済む、との結果が発表されています。アメリカの事情も変わりつつあるようです。
伊勢丹浦和店、プロの仕事を見せてもらいました。
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