後藤 一仁
ゴトウ カズヒト賃貸住宅の設備について
住宅・不動産 住宅・不動産トラブル 2012/01/17 20:41賃貸の住居に12月1日に入居しました。しかしながら古いシステムキッチンのIHコンロが壊れてしまい大家に「同等の設備に交換してほしい」と不動産屋を通して相談しています。
現在の装備が、3口とも「セラミックハロゲンヒーター」方式です。
どの鍋でも使用できるのが利点で入居を決めました。壊れてしまったので同等のコンロとなると「オールメタル方式のIH」しかありませんと電気屋に言われました。
不動産屋が大家に相談すると、予想以上に高価だったのか「交換しない」と言い始める始末です。
どうしたら同等品との交換をしてもらえるのでしょうか?
不動産屋も同等品と交換するのが当然のことです。と言われています。
入居者が交換しないといけないのでしょうか?
tomi.e51さん ( 広島県 / 男性 / 36歳 )
誰と話すべきかを明確にし、記録が残る方法で交渉を
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はじめまして、不動産コンサルタントの後藤と申します。
さて、賃貸借部分に含まれる設備の故障は原因が経年劣化であるなど借主に責任がない場合は基本的に貸主負担ですので、「内見・賃貸借契約時に賃貸借部分に含まれると説明を受けた設備が、入居後正常な使い方をしているにもかかわらず使えなくなってしまったのであるから使えるようにしてほしい、毎日の生活に影響するので一刻も早く直してもらえないと困る、また『3口セラミックハロゲンヒーター方式のIHコンロ』が設備されていることが入居の決め手となり契約に至ったのであるから、もし交換が必要であるのなら同等程度の設備であることは重要なことである」という正論をきちんと相手方へ伝えることが大切です。
(稀に置くタイプのコンロ等、設備ではなく前入居者の残置物の場合があり、その旨を契約前に書面で説明を受けていた場合など貸主に修理交換義務が無いこともあります。)
基本的に本件について「誰に話したらよいのか?」「窓口になっている不動産会社はどのような立場であるのか?(媒介であるのか?貸主代理であるのか?サブリース上の貸主であるのか?貸主から管理業務を受けているのか?)等」を賃貸借契約時の「賃貸借契約書」や「重要事項説明書」の『取引態様』欄や修繕等の連絡先欄などで確認します。(東京都の場合は『賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書』という書面に記載されている『賃借人の入居期間中の設備等の修繕及び維持管理に関する連絡先となる者について』)をよく読み返して明確にする必要があります。
そして、その連絡先に対しその旨を伝え、その後の段取りについてどのように進めていくのかを確認します。基本的には専門業者等に不具合を見に来てもらい故障の原因は何であるのか?結果的にコンロを新品に変えていただけるのか、修理で対応いただくのか?いつ頃までに直る予定であるのかなどを確認します。まずは電話で行い電話で無理ならば、書面(FAX又はメール等記録が残る手段含)で、先方へ送り、先方からの回答を書面で求めていくと、思わぬ良い効果が現れる場合があります。
(不動産コンサルタント 後藤 一仁)
補足
また、物件の紹介を受けた不動産会社は必ずしも貸主から管理業務委託を受けているわけではないということを知っておかなければなりません。
その不動産会社の取引態様が媒介(仲介)であった場合、正式には媒介が終了した時点でその業務は終了し、その後の貸主が行うべき管理業務(不具合の受付や対応等)を行う責任はありません。
しかし多くの場合、古くから媒介会社(正式に管理業務を受任しているのか否かは曖昧なことが多く、入居者管理をしていても報酬はもらっていないことが多い。)が貸主の囲い込みなどの為に無償で入居者との窓口になり貸主や工事業者との連絡取次業務を行っているケースが多いため、一般的にほとんどのことを不動産屋さんが行うというイメージを持たれていますので、不動産会社担当者自身もそう思っていることが多く意外と親切に対処してくれようとすることもあります。
ところが貸主の動きが思いのほか遅かったり、貸主が金銭負担回避を主張してきていて、不動産屋さんも困っているところに、不動産屋さんを追い詰めすぎたり責めすぎた場合、その時点で全く動いてくれなくなる場合もあるので注意が必要です。また窓口の不動産会社を飛び越えて貸主に連絡をとる場合、もし貸主と不動産会社とのつながりが強固であったときなど『不動産会社に任せてあるので不動産会社を通してほしい』等と言われてしまうことがあり、せっかく不動産会社が味方になってくれようとしていた場合、その後の関係が悪化し、本件についてはもちろん、他に別の何かがおきた場合の時にも影響する可能性もありますので注意した方がよいと思われます。
また修理や交換の費用が貸主の負担となるには、借主に故意(わざと)または過失(不注意)による損傷や通常の使用方法に反する使用をしたなど、責任が無いということが前提となりますので、既存設備の故障に関しては全て貸主の無条件責任となるわけではないことも押さえておく必要があります。
今回のケースの場合、争うことが目的なのではなくIHコンロを使えるようにしてもらう又は同等品に交換してもらうことが目的と思われますので、初動を誤えて相手との関係を拗らせてしまうより、相手方へ困っていることをきちんと話し口頭でダメであれば書面で伝え回答を得ていくうちに、よく相手方を知りその情報をもとにまた最善の方法を見つけ出し、手を打っていくということが大切だと思います。
評価・お礼
tomi.e51 さん
2012/01/28 23:34丁寧なご回答非常に感謝いたします。不動産屋の業務の一環に貸主との交渉も含まれてると思っていました。今回のご提案を参考に今後を進めていきたいと思います。今回のことは不動産屋が間に入り現在のところ解決方向に進んでおります。ありがとうございました。