水嶋 一途(弁護士)- Q&A回答「内定取り消しには一定の制約があります」 - 専門家プロファイル

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ミズシマ カズミチ
( 東京都 / 弁護士 )
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内定取り消しは法律違反にならないのですか?

キャリア・仕事 労働問題・仕事の法律 2008/12/11 11:08

企業による内定取り消しのニュースが報道されていますが、経営不振という理由で一方的に内定を取り消すことは、法律違反にはならないのでしょうか? 
内定通知書をいただいただけでは、雇用契約はまだ結ばれていないということになるのですか?

ノテさん ( 岩手県 / 女性 / 21歳 )

内定取り消しには一定の制約があります

2008/12/11 12:59
( 5 .0)

ノテさん、こんにちは。
弁護士の水嶋一途です。

さて、最近ニュース等で話題になっている内定取り消しですが、「内定」自体については法律の定めはありません。

内定の法律関係については、判例上、「一定の条件付き」の労働契約と考えられています。
この「一定の条件」とは、通常は4月1日を「就労又は労働契約の効力発生の始期」として、それまでに卒業できなかった場合や内定時に約束された合理的内容と期間の研修に参加しなかった場合や病気、けがなどにより正常な勤務ができなくなった場合に「解約できること」を意味します(大日本印刷事件:最判昭54.7.20、電電公社近畿電通局事件:最判昭55.5.30)。
つまり、内定通知により効力発生の始期が決められた上で一定の解除権(取消権)の行使が留保された労働契約が成立したと考えられます。

しかし、一定の解除権が企業に留保されているとはいえ、むやみやたらに内定取り消しできるものでもありません。
すなわち、採用内定を受けた労働者(学生)は、通常他の企業への就職活動をしないことが一般的であることや、労働契約締結においては企業が一般的に優越的な地位にあることから、解除権の行使(内定取り消し)には、客観的合理性があり、社会通念上相当といえる場合に認められるという制限が課せられています。

したがって、ノテさんのご質問のケースでは、内定取り消しの理由である「経営不振」の具体的内容に照らして、客観的合理性があり社会通念上相当と認められるかどうかによって、内定取り消しが法律的に有効であるか無効であるかの判断がなされれることになります。

少しでもノテさんのご参考になれば幸いです。

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評価・お礼

ノテ さん

ご回答ありがとうございました。
厳しい状況ですが、プラス思考で前向きにがんばろうと思います。

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