小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「どの程度の事前準備が可能かは現在の会社の就業規則に依ります」 - 専門家プロファイル

小松 和弘
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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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エステサロン開業に向けて

法人・ビジネス 独立開業 2009/11/18 17:16

現在エステサロンに正社員で勤務している者です。
来年の3月に今の会社を退職し、4月から独立サロンオープンを考えています。

退職してからサロンオープンまでの間には店舗改装やDMや広告の作成などいろんな準備が必要ですが。
あまり退職〜オープンまでの期間を空けたくありません。
なのでその準備期間を現在の会社に在籍しているうちに行っても問題はないのでしょうか?

開業準備に使用したものは経費としておとしたいので開業の届出や青色申告をしようと思うのですがそのような届出も、現在の会社に在籍した状態で提出することは可能なのでしょうか?

そして、それが可能な場合は現在は厚生年金、社会保険加入ですが、個人事業主となってからの国民年金、国民健康保険への切り替えのタイミングはいつになるのでしょうか?

回答、よろしくお願いいたします。

TESSYさん ( 岐阜県 / 女性 / 24歳 )

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経営コンサルタント

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どの程度の事前準備が可能かは現在の会社の就業規則に依ります

2017/07/04 22:19

TESSY さん、こんにちは。
来年エステサロンを独立開業されるご予定とのことで、そのための準備等に関するご質問を頂きました。
内容を整理すると下記 3 点になるかと思います。

[質問1]現在の会社に在職している間に独立開業準備をして問題ないか?
[質問2]1が問題ない場合、開業の届出や青色申告は可能か? (準備に掛かる費用を経費で落とすため)
[質問3]2が問題ない場合、国民年金、国民健康保険への切替えのタイミングはいつか?

これらのご質問について、以下で回答させて頂きます。

1. [質問1]について
在職中に独立開業準備を行なうことは可能です。しかし、気をつけなければならない点があります。
開業準備中に収入を得る場合には、それが「副業」と見なされる可能性があります。副業が可能かどうかは、現在お勤めの会社の会社規定や就業規則によって異なるので、人事労務のご担当者に確認頂くのがよいと思います。また、法律上は「副業」自体の定義に明確なものがないため、どのような活動が「副業」と見なされるかは企業により区々です。何か「副業」で何が「副業」でないかも含めて明確にされるのがよいでしょう。就業規則違反を行なうと減給や解雇といった処分を受けることもありますのでご注意下さい。
尚、お勤めの会社以外から所得(=収入-経費)が 20 万円以上ある場合には個人で確定申告が必要なので、忘れずに処理するようにして下さい。

一方、開業準備期間中に収入が発生しない場合は特に問題ありません。ただし、現在雇用契約を結んで働いている時間内は、その会社の仕事に専念しなければならないという「職務専念義務」があります。そのため、開業準備が現在の仕事に迷惑が掛からないようにご注意下さい。

2. [質問2]について
現在お勤めの会社で「副業」が認められているなら、税務署に開業届を提出することや、掛かった費用を青色申告することは問題ありません。なお、既に独立開業を予定されている TESSY さんには影響ないかもしれませんが、一度開業届を出して個人事業主になると、退職後に失業手当を受けることはできませんのでご注意下さい。

一方、「副業」が認められていない場合は、現在の会社を退職した後に開業届を提出することになります。ただし、この場合でも、「開業費」という形で開業前に掛かった費用を開業後に経費計上することができます。

「開業費」とは、開業準備にかかった費用を開業時に繰延資産として計上するものです。そして、開業後にその費用の効果が及ぶ期間にわたって取り崩して費用にしていきます。
「開業費」の償却方法としては、5 年間で均等に償却する方法(均等償却)と好きな時に償却する方法(任意償却)の 2 通りがあります。実務上は、創業間もない頃は償却せず、業績が安定し黒字を計上するようになってから任意償却することが多いです。

○「開業費」に含められるもの、含められないもの

一般的には下記のような費用を「開業費」として経費計上することが可能です。
名刺や印鑑などの購入費
旅費・交通費
接待交際費
あいさつのための手土産代
土地、建物の賃借料
電気・ガス・水道の料金
広告宣伝費(チラシ印刷代、Webサイト作成費、など)
文房具やソフトウェアの購入費
書籍などの資料代
調査費
従業員の給料

逆に「開業費」に含められないものには下記のようなものがあります。
固定資産に分類されるもの (金額が10万円以上で、継続的に使用するもの。減価償却の対象です。)
敷金などの将来的に返却されるもの

店舗改装費用は固定資産となりますが、DM や広告の作成といった費用は「開業費」に含まれるので、開業前から準備を進めておくのが良いかと思います。

補足ですが、個人事業主が青色申告する場合には「少額減価償却資産の特例」というものがあります。
これは、1 個当たり 30 万円未満の減価償却資産については、購入・使用開始した年度に一括して経費計上することができるというものです。初年度にはエステ用の機材を多く購入されると思いますので、これらを全て 1 年目の経費として処理することも可能です。ただし、この特例を適用できるのは、取得価額の合計が 300 万円までとなっております。また、特例の有効期限は平成 30 年 3 月 31 日までなのでご注意下さい。
(尚、本特例ですが、2 年毎に法律が改正され、その度に 2 年間延長されています。そのため、平成 30 年 4 月以降にも延長される可能性があります。もしご活用される場合は法改正に お気を付け下さい。)

○「開業費」として計上可能な購入期間
法律上は「開業費」として計上可能なものに対し購入期間の制限はありません。しかし、開業日よりも相当前に購入したものは税務調査で疑問を持たれる可能性があります。一般的には開業日の半年前くらいの購入分にしておくのが目安かと思います。ただし、実際に開業準備に掛かった費用なら、きちんとその旨を説明できるようにしておけば問題はありません。


3. [質問3]について
国民年金、国民健康保険への切替えは、現在の会社を退職後となります。いずれも手続きに必要な書類をご確認の上、退職後14日以内に市区町村役場で変更手続きを行なって下さい。

尚、健康保険には任意継続という制度があります。この制度は、退職後 2 年間は会社員のときと同じ健康保険に入ることができるというものです。保険料は全額自分で負担する必要があるため、会社員の時には会社が半分負担していた分も自分で支払う必要があります。
国民健康保険は前年の所得、家族構成、お住まいの地域によって保険料が決まる一方、任意継続健康保険では退職時の標準報酬月額によって保険料が決まります。標準報酬月額は上限が 28 万円に設定されているので、退職前の月収が 28 万円を大きく上回る場合には任意継続健康保険の方がお得になる可能性もあります。
最終的に国民健康保険と任意継続健康保険のどちらにするかは、現在の収入、開業後の収入見込み、家族構成などを考慮して検討されるのが良いと思います。

任意継続健康保険を選択される場合には、退職日の翌日から 20 日以内に現在お勤めの会社の窓口にて手続きをしないと加入できないのでご注意下さい。

4. 最後に
頂いたご質問への回答は以上となります。独立開業準備をどの程度できるかは現在お勤めの会社の就業規則に依りますが、良いスタートダッシュが切れるよう祈っております。頑張って下さい。

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