小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「加工食品のネット販売では複数の法規制に注意が必要です。」 - 専門家プロファイル

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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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自分で作った加工食品のネット販売について

法人・ビジネス 独立開業 2008/02/16 06:07

海外で手作りしたある加工食品を日本でネット販売したいのですが、何か特別な免許やどこか役所などの機関への届出・許可などが必要でしょうか?既に食品以外のネット販売をしているのですが、食品を自分たちで加工して販売するというのは、初めてとなります。

ぱるもさん ( 東京都 / 女性 / 39歳 )

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経営コンサルタント

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加工食品のネット販売では複数の法規制に注意が必要です。

2018/02/07 22:24

ぱるもさん、こんにちは。ご質問は「自分で作った加工食品をネット販売する場合、許認可・届出が必要かどうか」ですね。食品輸入に関する法規制、食品販売に関する法規制、その他の規制という順番で説明していきます。

1.食品の「輸入」に関する法規制について
まず、日本で販売する目的で海外からの加工食品を輸入する際の必要な許認可や法規制からです。
食品輸入する際に関係する法律は4つあります。厚生労働省が所管する「食品衛生法」、農林水産省が所管する「植物防疫法」と「家畜伝染病予防法」、財務省が所管する「関税法」です。これらの法律により輸入手続きの流れが定まっていますので、その流れに沿ってひとつずつ説明します。

輸入手続きの流れ(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144562.html

(1)食品衛生法
ネット販売に使用する食品を輸入する場合は、輸出国の取引相手、輸入方法、輸入量に関係なく、その都度、検疫所への届出が必要です。食品衛生法は、「すべての食品」が対象です。輸入届出を行わない食品については、ネット販売することはできませんのでご注意下さい。
この届出ですが、原材料や製造工程に関する説明書などの資料を検疫所、(東京都の場合、東京検疫所又は東京空港検疫所支所)に提出することになります。届出が受理されますと食品衛生監視員により適法な食品等であるかの審査や検査の要否の判断を行ってくれます。今回、ぱるもさんは、初めて食品等を輸入されるということですので、一度、東京検疫所にある輸入食品相談指導室(下記参照)に事前相談されることをお勧めします。

[東京検疫所]
東京都江東区青海2-7-11 東京港湾合同庁舎8階
食品監視課03-3599-1520
輸入食品相談指導室03-3599-1519
[東京空港 検疫所支所]
東京都大田区羽田空港2-6-3 羽田空港貨物合同庁舎内
食品監視課 03-6847-9320

(2)植物防疫法と家畜伝染病予防法
植物防疫法と家畜伝染病予防法は野菜、果物、食肉などの貨物が対象となっているものであり、すべての輸入食品が対象となるわけではありませんが、手続き上は最も優先されます。輸入時に持ち込まれる可能性のある病気や害虫から、国内の農作物や家畜などを守る目的に定められたものです。今回、ぱるもさんがお考えになっている加工食品が、果物、野菜、穀類等の場合は、農林水産省の植物防疫所への届出して植物防疫官の検査が必要となりますし、食肉、食肉製品などに該当する場合は、農林水産省の動物検疫所への届出して動物検疫官の検査が必要となります。これらに該当する場合は、所定の手続きをしてください。植物防疫所、動物検疫所ともに以下に記した電子申請が可能ですが、記入方法等がわかりにくいかもしれません。その場合は、直接、下記に問い合わせください。

輸出入植物検査申請
http://www.maff.go.jp/pps/j/law/denmado/index.html
輸入検査申請書(畜産物)
http://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/system/49_1.html

各施設の連絡先(東京)
[東京国際空港(羽田空港支所)]
植物防疫所03-3747-0803
動物検疫所03-5757-9755 aqs.hndcargo@maff.go.jp1
[京浜港(東京港区)]
植物防疫所 東京支所03-3599-1136
動物検疫所 東京出張所03-3529-3021 aqs.tyo@maff.go.jp

(3)関税法
検疫所での検査が不要または検査の結果問題ないと判断された場合は、食品等輸入届出済証が発行され、最後に関税法にしたがって税関手続きが行われます。

2.食品の「ネット販売」に関する法規制について
商品を輸入出来れば、すぐネット販売出来るかというと、そうではありません。加工食品の内容によってそれぞれ異なりますが、扱う加工食品、つまり何の販売業に該当するかによって、許可や届出が必要となる場合があります。以下をご参考にして下さい。

[食品衛生法の許可(お近くの保健所)]
乳類販売業、食肉販売業、魚介類販売業、魚介類せり売営業、氷雪販売業

[東京都条例に基づく許可(お近くの保健所)]
食料品等販売業(弁当類、そう菜類、乳製品、食肉製品、魚介類加工品その他の調理加工を要しないで直接摂食できる食品を販売する営業をいう)※例外規定もある

[食品衛生法施行細則に基づく届出]
豆腐加工品販売業(製造と兼ねるものを除く。) 生菓子販売業、魚介類加工品販売業、 乳さく取業乳製品販売業、アイスクリーム類販売業

但し、上記のように本来許可が必要となっているものであっても、例えば、販売時における温度管理が不要な食品で、かつ容器包装に入れられた食品のみを、仕入れた状態のまま販売するような場合には許可が不要となるものもあり、複雑です。より詳しくは、東京都福祉保健局が運営する以下のサイトをご覧いただくか、お近くの保健所に問い合わせをされてはいかがでしょうか。

東京都福祉保健局の「食品衛生の窓」サイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kyoka/kyoka_0.html
東京都の保健所一覧
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shisetsu/jigyosyo/hokenjyo.html

3.その他の食品販売に関する法規制について
 最後は、食品の表示に関する法規制です。表示は、消費者が食品を購入するとき、正しく食品の内容を理解し、選択したり、適正に使用したりするうえでの重要な情報源となっています。万が一事故が生じた場合には、その責任の追及や商品回収等の行政措置を迅速かつ的確に行うための手がかりになります。昔は食品の表示に関する法律で食品衛生法、JAS法、健康増進法など色々とあり、非常に複雑なものになっていましたが、平成27年4月1日にこの3法の食品の表示に係る規定を一元化した食品表示法が施行されました。
 ネット販売でも日本人を対象とした場合は、日本語での表示で、名称、原材料名、添加物、原料原産地名、内容量、固形量、内容総量、消費期限、保存の方法、原産国名及び食品関連事業者の表示等をする必要があります。
 ただし、内容物によっていろいろと表示に関するルールが異なりますので、より詳しい内容をお知りになりたい場合は、下記の機関にお問い合わせください。

東京都食品表示相談ダイヤル(食品表示係) 03-5320-5989(平日午前9時から午後5時迄)

4.最後に
これまで食品の輸入、販売について、必要となる手続きを中心に回答させていただきました。内容が多少複雑ですのでわかりにくいかもしれませんが、ひとつひとつ片付けていきましょう。あとは、今回、ぱるもさん自身が海外で製造・加工することをお考えとのことですが、食品を「製造」「加工」するためには、当該国の法規制についても確認されることお勧めします。

今後のぱるもさんのご活躍を祈念しております。

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