就業規則の変更にあたっての手続きは
法人・ビジネス 人事労務・組織 2008/01/11 10:3010年前に作った就業規則を、時代に合わせたものに変更しようと思います。変更にあたって、手続きは必要でしょうか?また、変更手続きをしない場合に罰則はありますか?
※この質問は、ユーザーの方から事前にいただいたものを、専門家プロファイル が編集して掲載しています。
All About ProFileさん
必要な手続きが未実施の場合、労働基準法の罰則適用もあります。
こんにちは。就業規則の変更手続きに関するご相談ですね。
労働基準法によれば、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する義務を負い、作成または変更した就業規則を行政官庁(労働基準監督署長)に届け出る義務を負うとの記載がございます。現在、同条件へ該当するかどうかは、文面からは読み取れません。しかし、既に10年前に作成した就業規則を変更したいというご相談のため、就業規則が既に存在する前提でお話をさせて頂きます。
1.手続きについて
就業規則を変更する場合、作成時と同様に意見聴取、届出、周知が義務です。
以下の「就業規則作成の手引き」に、実際に就業規則を作成していく場合の手順例が記載されています。就業規則を変更する場合も、同様の手順で進めていきます。
<厚生労働省 東京労働局 就業規則作成の手引き(p.11)>
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0141/3669/2016121103054.pdf
1 案の作成
(1) 現在、実施している労働条件、職場規律などを箇条書きに整理する
(2) (1)の中から就業規則に記載すべき事項を選び出す
(3) 労働条件、職場規律などの内容を具体的に検討する
(4) 各事項を章別に分類し、条文化する
(5) 条文ごとに見出しをつける
2 労働者代表から意見を聴収する
3 労働者代表から意見を踏まえて検討する
4 労働基準監督署へ届け出る
5 労働者へ周知する
特に、No.1とNo.4、No.2、No.5については、「労働基準法」に基づく手順となります。
<労働基準法>
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049&openerCode=1#1
1と4 就業規則作成及び届出の義務(第89条)
2 就業規則作成時の労働者代表の意見聴取(第90条第1項)
5 法令等の周知義務(第106条)
ただし、No.4については、常時10人以上の従業員を雇い入れている会社の規定になります。しかし、従業員10人未満の会社でも就業規則を自主的に作ること自体は差し支えありませんので、今まで同様、作成されることをお勧めします。
2.罰則について
「労働基準法」には、幾つかの種類の罰則が存在しています。
<労働基準監督署対策相談室 労働基準法の罰則>
https://www.roukitaisaku.com/zesei/batsu.html
上記の「就業規則作成の手引き」にあるNo.1、No.2、No.4、No.5に違反した場合には、30万円以下の罰金に処することが、「労働基準法」(第120条)に定められています。
<再掲:労働基準法>
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049&openerCode=1#1
多くの場合、違反すると即座に罰則が適用されるのではなく、まずは労働基準監督署より、違反を是正するよう指導する「是正勧告」が出されます。これは強制力のあるものではありませんが、早急に違反状態を是正することをお勧めします。
<労働基準監督署対策相談室 就業規則に起因する是正勧告>
https://www.roukitaisaku.com/zesei/jirei04.html
3.まとめ
就業規則を、時代に合わせたものに変更されることは、素晴らしいお心掛けと感じております。労働基準法を正しく理解し、就業規則を適切な手順で改定することで、労使間における労務トラブルの発生を防ぎ、従業員と会社が手を携えて発展することが可能となります。
以上