小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「個人事業主登録は年間所得が20万円前後の時期が妥当です。」 - 専門家プロファイル

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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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個人事業主登録&屋号について

法人・ビジネス 独立開業 2007/10/17 19:00

はじめまして。
無知な質問で恥ずかしいのですが、教えてください。

ハワイアンマッサージのホームサロンをオープンしたいと思っており、個人事業主登録をしようか検討中です。
すでに、知人や知人の紹介などでの細々とやっておりますが、練習という名目でやっている為、年間10万円弱の収入にしかなりません。
利益が安定してから個人事業主登録をしたほうがよいでしょうか?それともすぐに登録をしたほうがよいでしょうか?

登録をせずに、このまま続けていった場合、確定申告の際に雑所得(?)という形で申告すればOKでしょうか?
また、個人事業主になれば屋号が使えるとよく耳にしますが、個人事業主でない状態で屋号を使うとどうなりますか?
適当なサロン名(屋号)を付けてHPを立ち上げたり、広告を出したりしたら法的に問題あるのでしょうか?

たくさん質問してすみません。どうぞよろしくお願いいたします。

alohaluluさん ( 埼玉県 / 女性 / 33歳 )

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経営コンサルタント

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個人事業主登録は年間所得が20万円前後の時期が妥当です。

2016/11/01 20:56

こんにちはalohaluluさん、個人事業主登録についてのご質問ですね。
個人事業主のメリットとデメリットを中心にご案内させていただきます。

1.個人事業主について
まず個人事業主とは、法人(会社)を設立せずに自ら事業を行う個人のことです。家族経営や、少数の従業員がいる小規模経営が一般的で、いわゆる自営業者です。
事業を行うには個人事業主も法人も同じですが、権利や義務に違いがあります。
個人事業主は法人と比べて法的な手続きや運営ルールがなく、会計処理も簡便です。
その意味では個人事業主は、事業の始め易さや運営の簡便さに利点があります。
さて、ご質問の個人事業主登録をいつすべきかということですが、現在の年間収入が約10万円であることを念頭に、これからご説明するメリットとデメリットを踏まえてご判断されるのがよろしいかと思います。

2.個人事業主のメリットとデメリットについて
(1)個人事業主のメリット
これは後述する青色申告のメリットとほぼ同様で、つまりメリットを享受するためには青色申告が欠かせないということになります。
個人事業においては、所得税額を自分で計算して税務署へ申告する必要が生じます。
青色申告とは申告方式のことで、原則複式簿記方式で帳簿を記録して所得の申告を行う制度で、申請書類を税務署に提出して承認を受けることが必要です。
また白色申告というもう一つの簡便な制度がありますが、青色申告の方が控除などのメリットが大きいので、ここでは青色申告を前提にご案内いたします。

1.課税所得からの控除
青色申告では複式簿記で管理していれば65万円、簡易簿記で管理していれば10万円を課税所得から控除できます。
事業収益にかかる税金は、収入から控除額と経費を差し引いた金額に税率をかけて計算します。
ただし、この控除を受けるには複雑な必要書類を揃える必要がありますので、専門家へ依頼するのが一般的です。
2.経費の控除
事業にかかった費用を経費として計上することができます。
例えば参考書籍の購入費やインターネットの接続費、電気代などです。
また自宅の一部を事業用に利用するのであれば家賃の一部も経費として計上することがで
きます。更に家族への給与も経費とすることが可能です。
なお、家族の給与の経費扱いに関しては後述する手続きが必要になります。
30万円未満の減価償却資産は、300万円を限度に取得した事業年度に全額経費にできます。
3.赤字の損益通算、3年間の繰り越し
欠損金制度というもので、赤字の申告を行えば3年間に渡って所得の相殺が可能で、結果納税額を抑えることができます。
4.屋号が使える
屋号を使用することそのことに制約はありません。
屋号の付け方にも制約はありません。
したがって個人事業主登録をしないままで屋号を使用することに何ら問題はありません。
HPや広告にお使いになられても法的な問題も生じません。
ただ既に使われているものを使用すると誤解やトラブルの元になりますので、事前にネット等で検索、確認することをお勧めします。
なお後述する開業届に屋号を記載すると、例えば屋号で銀行口座の開設などを行うときの証明となります。

(2)デメリット
1.税務署への申告が必要
青色申告で確定申告に当たり、まず「所得税の青色申告承認手続申請書」を最寄りの税務署に届け出る必要があります。
2.複式簿記での記帳が必要
損益計算書と貸借対照表を作成、決算として毎年3月15日までの提出が必要になります。
3.確定申告が必要
開業届を提出すると、年間所得にかかわらず毎年確定申告が必要になります。
4.失業保険がもらえない
自ら事業を行う個人事業主には失業という概念はありませんので失業保険の給付はありません。
給付を受けるには廃業届を出して個人事業主をやめるしかありません。

3.個人事業主となるかどうかの目安について
以上のメリットとデメリットを踏まえ、メリットを享受するために開業届等を提出する時期についての目安をご提示します。
ご案内の通りメリットは税額の控除等、年間所得に大きく左右されます。
したがってこの年間所得を一つの目途とすることをお勧めします。
1.年間所得が20万円未満
確定申告そのものの必要がありません。
したがって現在のところ、確定申告も不要ですし、あわてて開業届を提出する状況にはないと思われます。
なお、個人事業主登録をせず、現状のままで確定申告を行う場合も、雑所得ではなく事業
所得として申告します。
2.年間所得が20万円以上
確定申告が必要になります。
将来を見据えて青色申告をしても良い時期と言えます。
3.年間所得が50万円以上
青色申告でメリットが得られる所得水準になります。
登録をお勧めする時期です。
4.年間所得が300万円超
記帳が義務付けされる所得水準です。
メリットである65万円の控除を最大限活用すべき水準です。

以上から、個人事業主として手続きを行う時期ですが、年間所得が20万円以上になる頃に青色申告をお考えになっても十分かと思われます。
また20万円前後で確定申告が必要になる頃に、まず簡便な白色申告の手続きから始め、年間所得が増えて青色申告のメリットが享受できそうな頃合いに青色申告に切り替えるのも良いと思います。
この時期に手続き等も含め、一度専門家へご相談されることをお勧めします。

白色申告は申請不要で、青色申告の申請をしなければ、すなわち白色申告になります。
白色申告は複式簿記が不要で簡易簿記となりますので、経理処理に慣れるという意味では良いかもしれません。
レシートを貯め、費目ごとに分けて経費計算をする程度から始められます。
ただし青色申告ほどの節税はできないことと、家族従業員の給与を経費扱いに出来ないことにご留意下さい。

4.個人事業主となるための手続きにについて

(1)登録(開業)について
1.登録
個人事業主として開業した場合、まず行うのが開業届手続きと所得税の青色申告承認申請手続きです。
開業届出手続は、国税庁への提出と埼玉県への提出手続きになります。
またご家族を従業員とする場合は、青色専従者給与に関する手続きも必要になります。
この提出によって給与の経費扱いが可能となります。
なお登録に費用は掛かりません。
2.必要な書類
個人事業の開業届出
青色申告承認申請手続
青色専業専従者給与に関する届出書

【最後に】
alohaluluさん、ハワイアンマッサージサロン、うまく軌道に乗ると良いですね。
ご質問の個人事業主登録は、事業の拡大に合わせてお考えになることをお勧めします。
alohaluluさんのサロンが盛況になり、そして晴れて個人事業主登録をなされる日が早く来ることをお祈りしています。
頑張って下さい

補足

開業届、青色申告承認申請は最寄りの税務署で入手する他、国税庁のHPからもダウンロードできます。具体的な手続きや提出書類は以下サイトを参考になさって下さい。

<参考になるサイト>
国税庁 開業届出手続
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
国税庁 青色申告承認申請手続
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
国税庁 青色事業専従者給与に関する届出手続 
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm
国税庁 埼玉県の税務署案内
https://www.nta.go.jp/kantoshinetsu/guide/zeimusho/saitama.htm
埼玉県 個人事業税案内 
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0209/z-kurashiindex/z-yosiki01.html#lnk6_4_1

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