小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「電子帳簿保存法が適応されます。領収書も保管必要です」 - 専門家プロファイル

小松 和弘
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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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確定申告のクレジットカード決済の保存について

法人・ビジネス 会社設立 2021/07/02 06:10

開業間に購入した経費のクレジットカード決済について教えてください。

購入した領収証はどのように保管すればいいでしょうか?

これらの商品の明細は電子帳簿保存法が適応されますでしょうか?

またカード会社の明細が15ヶ月までしか遡れないので手元に保存しなければなりませんか?
そしてそれらにタイムスタンプを付与する必要がありますか?

よろしくお願いします。

Wasasaさん ( 愛知県 / 男性 / 33歳 )

小松 和弘 専門家

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経営コンサルタント

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電子帳簿保存法が適応されます。領収書も保管必要です

2021/09/27 20:34

asasa様こんにちは。経費を支払った際のクレジットカード明細を確定申告に用いる為にどのように保管すればよいかというご質問ですね。

下記の順番でご説明します。
1.領収書の保存期間
2.クレジットカード決済の利用明細への電子帳簿保存法適用有無と、領収書保存
3.クレジットカード決済の利用明細や領収書を電子帳簿保存法に則した形での保存する方法、タイムスタンプ要否

1.領収書の保存期間
領収書の保存期間は法人か、個人事業主かで異なり、以下の通りとなっています。
・法人の場合:法人税申告期限日から7年。
・個人事業主で白色申告する場合:確定申告の期限日から5年。
・個人事業主で青色申告する場合:確定申告の期限日から7年。


2.クレジットカード決済の利用明細への電子帳簿保存法適用有無と、領収書保存
国税庁の電子帳簿保存法一問一答にある通り、クレジットカードの利用明細データは電子取引(電磁的方式により授受する取引)に該当すると考えられます。
現在は電子データで受け取った書類は原則電子保存としながらも、紙での保存も容認されますが改正・電子帳簿保存法が施行される2022年1月1日以降は、電子取引で受領した利用明細は紙での保存が容認されず、電子データでの保存のみ認められます。
従い、2022年1月1日以降はクレジットカード決済の利用明細を電子帳簿保存法に即した形で保存することが必要になります。

また、クレジットカードの利用明細のみでは購入内容や税率区分が分からない為、領収書の保存も必要となります。
領収書を電子データで受け取った場合も電子帳簿保存法に則した形で保存が必要です。


出典:国税庁 電子帳簿保存法一問一答
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf


3.クレジットカード決済の利用明細や領収書を電子帳簿保存法に則した形での保存する方法、タイムスタンプ要否
<2021年12月31日まで>
2021年12月31日まではクレジットカードの利用明細や領収書データを印刷し紙で保存することが可能です。

<2022年1月1日以降>
2022年1月1日以降は紙での保存が容認されない為、クレジットカード会社のウェブサイトから利用明細をダウンロードして保管する必要があります。クレジットカード会社のウェブサイトでは15ヶ月分しか遡れないとのことですので領収書の保存期間を満たすべくご自身のPC等に保存が必要です。電子データで受け取る領収書も同様です。
ウェブサイトでのデータ提供方法により、以下の方法が可能です。
・PDF等をウェブサイトからダウンロードできる場合
 -ウェブサイトから利用明細等をダウンロードしてご自身のPC等に保存する。
・HTMLデータで表示される場合
 -ウェブサイト上に表示される利用明細等をスクリーンショットしご自身のPC等に保存する。
 -ウェブサイト上に表示されたHTMLデータを領収書の形式に変換(PDF等)しご自身のPC等に保存する。

また、保存する電子データは真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります。
真実性というのは受領後に電子データの改変が行われていないことを示すことです。可視性とは誰もが視認、確認できることで、検索可能であることを含みます。
具体的には以下の通りとなります。
(1)電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)。
(2)見読可能装置の備付け等。
(3)検索機能の確保。
(4)次のいずれかの措置を行う。
 a)タイムスタンプが付された後の授受。
 b)速やかにタイムスタンプを付す。
 c)データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用。
 d)訂正削除の防止に関する事務処理規定の備付け。

(1)は自社開発のプログラムを使用しない場合は対応不要です。

(2)は直ちに目で見て確認できる状態にし、必要に応じて書面での表示ができるようにすることです。ディスプレイ、プリンタ、それら機器の操作説明書の備付けが必要です。

(3)は以下の要件を満たす検索機能の確保が必要です。
・取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。
・日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
・二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。(例えば、取引年月日、取引先名称、取引金額等の内、二以上の記録項目を組み合わせて検索できること。)
利用明細や領収書をPDFで保存する場合、PDFのみでこの検索機能を満たすのは難しいと思われます。会計帳簿を作成されると思いますので、会計帳簿の仕訳にPDFを紐付ける、もしくは、経費の集計表をExcel等で作成し、それにPDFを紐付けることで検索機能を確保する必要があります。
但し、2022年1月1日以降は基準期間(注)の売上高が1000万円以下の事業者(小規模な事業者)は税務調査時等に電子データのダウンロード要求に応じれば検索機能の確保が不要となります。
(注)法人については電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度。個人事業主については電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間。

(4)のa)については、クレジットカード会社のウェブサイトからダウンロードした利用明細や領収書には一般的にタイムスタンプは付されていないと考えられます。
従い、(4)はb)、c)、d)のどれかを行う必要があります。
ご質問にもある通りb)タイムスタンプを付すことで対応可能ですが、使用するタイムスタンプは以下の要件を満たす必要があります。
・当該記録事項が変更されていないことについて、当該国税関係書類の保存期間を通じ、当該業務を行う者に対して確認する方法その他の方法により確認することができること。
・課税期間中の任意の期間を指定し、当該期間内に付したタイムスタンプについて、一括して検証することができること。
c)は例えばSAP Concurや、会計freeeのようなクラウド会計システムを利用することで要件を満たすことができます。
d)については国税庁の電子帳簿保存法一問一答に「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」の雛形が載っていますのでこちらを元に作成されるとよいかと思います。雛形は(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm)からWordファイルをダウンロードできます。

Wasasa様の開業準備がうまくいき新規事業が成功されることを祈念しております。

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