小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「海外企業との取引における契約や税金などに注意しましょう」 - 専門家プロファイル

小松 和弘
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小松 和弘

コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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妻が個人事業主、私は社員で海外企業とコンサルティング契約

法人・ビジネス 独立開業 2021/01/27 07:04

お世話になります。
60歳の退職を機に海外駐在経験を活かし、海外企業とコンサルティング契約により海外にて働くこと考えています。
日本居住の妻に個人事業主となってもらい、日本払いの報酬の受け取り窓口にする予定です。
海外企業とコンサルティング契約もこの妻の個人事業との契約で私が海外派遣という形を考えてます。
この様な形態の個人事業は可能なのか、また注意点があれば教えてください。
よろしくお願いします。

HHHSSSさん ( 千葉県 / 男性 / 59歳 )

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経営コンサルタント

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海外企業との取引における契約や税金などに注意しましょう

2021/03/01 20:29

HHHSSSさん、こんにちは。奥様を個人事業主とし、海外企業とコンサルティング契約を結んで、HHHSSSさんが実際に海外のクライアント企業様に対してコンサルティングを行われる事業について、そういった形態の個人事業は可能なのか、またその注意点についてのご質問ですね。
まず、こういった形態の個人事業の在り方や、そこでの事業の実施内容については、特に問題はないかと思われます。
そして、以下の4つの観点から注意点を整理しました。
(1) 海外企業とのコンサルティング契約
(2) HHHSSSさんのコンサルティング業務
(3) 海外企業からの報酬の受け取りとその税金
(4) 奥様からHHHSSSさんへの給料に関する税金

(1) 海外企業とのコンサルティング契約
〇契約書について
海外企業とコンサルタント契約を結ぶ場合、相手企業の担当者とサービスの内容、水準、範囲、期間や対価などについて合意し、満足できる契約になったと思っていても、本文作成の段階で法務担当が出てきて内容の変更を求められることがあります。そして法務担当者が記載した内容は難解なケースが多く、相手企業の規則もしくは相手国の法律に準じている場合があり、修正する必要があると考えても変更させることが困難な場合が少なくありません。そこで、費用はかかりますが、契約書作成にあたっては弁護士など専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。重要な箇所については専門家と良く連携して法務関連の対応策を錬ってください。

〇契約書の収入印紙について
印紙税については、課税文書(契約書)の作成が国外で行われる場合には、日本の印紙税は課税されません。具体的には、契約書を日本側で2通作成し、署名押印をして相手方に郵送し、相手方がこれに署名し1通を日本側に返送してくる場合、この契約書には日本の印紙税法は適用されないことになります。
ただし、返送された1通の契約書は日本側で保存されますから、いつ、どこで作成されたものであるかを明らかにしておかなければ、日本の印紙税の納付されていない契約書について後日トラブルの発生が予想されます。したがって、契約書上に作成場所を記載する等の措置が必要になりますので留意してください。
情報:国税庁: https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/02.htm
また、相手国によっては、相手国側で日本の印紙税に相当する課税制度がある可能性もありますので、その点も確認しておいてください。

(2) HHHSSSさんのコンサルティング業務
〇相手国で通用する個人事業主の名称と肩書について
HHHSSSさんがコンサルティング業務を行う際、相手国の様々な企業や業界団体の関係者等と面談を行う場合が予想されますので、その際HHHSSSさんの立場や能力が明確になり、コンサルティング業務が円滑に進むために、外国語表記での個人事業主の名称と、HHHSSSさんの肩書についても注意してください。
英語表記とする場合、個人事業主そのものは、「Private business owner」などと訳されますが、「屋号」を付けても良いかと思います。法人であれば「Inc.」「Co., Ltd.」などの表記が会社名につきますが、これらの表現を個人事業主の屋号に付け加えることはできません。そこで、何らかの屋号をローマ字にした上で、「Studio」「Design」「Office」などが含まれていると、それらしく見えるといわれていますので、相手国で受ける印象等を考慮して検討してください。
また、肩書についても、奥様を代表(President)とした上で、HHHSSSさんを最高経営責任者(Chief Executive Officer、CEO)とするなど、相手国で通用するという観点で考えてみてください。

〇新型コロナウイルス感染症対策の影響について
2021年1月14日以降、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化が実施されており、2021年2月現在、国際的な人の往来に様々な制限がかけられています。コンサルティング業務実施にあたっては、相手国・地域との往来に関する最新情報を、対象国の在京大使館等にお問い合わせ頂き、渡航等の計画をしてください。

(3) 海外企業からの報酬の受け取りとその税金
〇コンサルタントフィーの受領について
海外企業は支払いをUSドルにて行う企業がほとんどだと考えられますので、ドル預金口座を開設してその口座で受け取り、必要に応じて円転する方法をとりますが、為替のリスクを軽減するために、契約において支払い通貨を円に規定する方法もありますので、円転費用などを良く確認して支払い通貨を決めてください。

〇海外企業とのコンサルタントの消費税について
国内の企業が直接海外企業とコンサルタント契約を結び、そのサービスを日本国内で行う場合、そのコンサルタントフィー(対価)を海外から直接受領する場合は、輸出免税の対象となり基本的に消費税が免税になることにもご留意ください。
情報:国税庁: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6210.htm

(4) 奥様からHHHSSSさんへの給料に関する税金
〇事業主(奥様)の税金について
家族を事業実施者にした場合の給料にまつわる税金についてですが、個人事業主が支払う家族への給料は、家族を「事業専従者」にすることにより経費で落とすことができます。
事業専従者とは、青色申告では、「年末時点において15歳以上であることと、基本的に6カ月以上その個人事業主の事業に従事していること」の条件を満たす、「個人事業主の事業に従事している生計を一にする親族」のことを指しますので、HHHSSSさんが社員となった場合、6カ月以上コンサルタント事業に従事していれば、事業専従者に該当することになります。
そして、事前に税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておくと、届けた金額の範囲内なら、HHHSSSさんへの給料は青色専従者給与として個人事業主の経費で落とせます。
情報:国税庁: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm

〇HHHSSSさんの給与について
青色専業専従者の給与には上限設定がないとはいえ、社会通念上、妥当とされる金額に設定する必要があります。奥様の収入に対して、HHHSSSさんの給与の比率が高い場合、担当している業務内容について、税務署から問い合わせを受けることがありますので、事前に税務署へ提出する「青色事業専従者給与に関する届出書」の、担当する業務や所有している資格を記入する欄で、しっかりと妥当性を示しておきましょう。
 
なお、税金に関する詳細については、国税局の電話相談をご利用してご確認することをお勧めします。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm#a02


HHHSSSさんが海外駐在経験を活かし、今後益々ご活躍されることをお祈り申し上げます。

以上

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