小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「薬機法の規制が適用される場合があるので事前に確認しましょう。」 - 専門家プロファイル

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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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化粧品の輸入について

法人・ビジネス 独立開業 2020/04/25 15:12

海外でのみ売られている化粧品の輸入販売をしたいと思っております。

海外在住の日本人が個人向けに海外から化粧品を販売・輸出するのは問題ないと聞きました。

弊社は日本で設立しておりまして、
日本で海外製化粧品のECショップを作成→注文が入ったら私が海外のオンラインサイトで購入し、弊社の海外在住スタッフ(アメリカ)が自宅で受け取る→海外スタッフから日本の個人消費者へ直接送る
という場合は許可や資格者、日本語の成分表記無しで大丈夫なのでしょうか。


その際、サイトの利用規約で製造物責任は一切負わない、使用は自己責任で、と明記した場合、化粧品の副作用等のトラブルがあっても免責ですか?

takanoさん ( 東京都 / 女性 / 29歳 )

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薬機法の規制が適用される場合があるので事前に確認しましょう。

2020/05/25 20:41

takanoさん,こんにちは。
ご質問の,日本法人である御社が,日本で海外化粧品のECショップを作成し,海外在住スタッフが直接日本の消費者に発送した場合の各種規制の適用の有無,及び化粧品の副作用等トラブルが生じても責任を一切負わないとする利用規約の効果についてご回答させていただきます。

1 個人輸入
 化粧品を営業のために輸入するには,医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき,厚生労働大臣による「化粧品製造販売業」の許可が必要となります。「化粧品製造販売業」の許可を得るには,薬剤師等の資格を有する総括製造販売責任者を製造販売業許可の事務所に常時配置するなどの要件を満たす必要があります。
 もっとも,個人が,あくまでも自分で使用する目的で輸入するのであれば,個人輸入として薬機法の許可は必要ありません。
 日本の消費者が自分で使用するために海外のECショップで化粧品を購入し,海外から直接消費者に商品が送られるのであれば,これは日本の消費者による個人輸入になります(日本の消費者が輸入者ということになります。)。この場合には,薬機法の許可は必要なく,薬剤師等の有資格者も必要ありません。
 これに対して,御社の場合は,日本でECショップを作成し,日本の消費者が当該ECショップを介して注文をすると,takanoさんが海外オンラインショップで化粧品を注文し,海外在住スタッフが日本の消費者のもとに直接化粧品を送るスキームとのことです。輸入代行業者が不特定多数の者に対してリストを提示し希望を募る場合には個人輸入には該当しないところ,takanoさんの場合もこれに引っかかる可能性はあります。そのため,個人輸入と言えるか否かについて,事前に各都道府県の薬務所轄課などでご相談されることをお勧めいたします。
 なお,化粧品の個人輸入であったとしても,標準サイズで1品目24個を超えますと,日本の消費者は,地方厚生局に必要書類を提出して営業のための輸入でないことの証明を得る必要があります。また,輸入時の関税や消費税は日本の消費者が負担しなくてはなりません。この点はご注意ください。

●厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html

●一般社団法人日本貿易投資交流祖喜宇新教会(ミプロ)「化粧品輸入・販売マニュアル2020」
https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_0063nre.pdf

●厚生労働省「個人輸入代行業の指導・取締り当について:
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/tuuchi/0828-4.html

2 表記について
薬機法では,化粧品を輸入して日本の消費者に販売するには,製品本体か外箱に,小さくて表示できない場合には添付文書に,成分の名称等を日本語で表示する義務が定められています。日本の消費者による個人輸入であれば,消費者は日本で個人輸入した化粧品を販売することはできませんので,成分等の表記は必要ありませんが,先ほどもお伝えしたとおり,takanoさんの会社でご検討されている内容では日本の消費者による個人輸入とは言えない可能性もあります。その場合には,成分表記等は問題になります。
薬機法上,化粧品にいかなる表記が必要かは以下の東京都健康安全研究センターのHPなどをご確認ください。
なお,御社がECショップで日本の消費者向けに販売を行う以上,個人輸入に当たるか否かにかかわらず,特定商取引法の規制の対象となり,ECショップ上に特定商取引法に基づく表記が義務づけられる点もご注意ください。

●東京都健康安全研究センター「化粧品の表示」   
http://www.tokyo-eiken.go.jp/k_yakuji/i-kanshi/cosme/c_label/

●消費者庁「海外からのインターネット通信販売Q&A」
https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/foreign.html

3 免責特約について
 日本の消費者の個人輸入には当たらず,御社が化粧品を輸入し日本の消費者に販売したということになれば,輸入者として製造物責任法が問題になり得ます。また,個人輸入にあたる場合でも,契約責任や不法行為責任等は問題になり得ます。
 この場合に,化粧品の副作用等のトラブルがあった場合も全て消費者の自己責任で御社は一切責任が発生しないとサイトの利用規約に明記した場合,御社が免責になるかについてですが,御社の取引相手が日本の消費者であるため,御社と日本の消費者との間の契約には消費者契約法が適用されます。消費者契約法では,消費者の利益を一方的に害する条項は無効とされています。
 御社が,副作用等が発生しても一切責任を負わないとする条項は,日本の消費者の利益を一方的に害しているとして,無効と判断される可能性が高いところです。
 詳細については,弁護士等にご相談ください。

4 最後に
 そもそも,化粧品に該当するのか,医薬部外品にあたるのではないかということも問題になりえますし,化粧品の輸入はいろいろと難しい問題に直面する場合もあり得ます。そのため,事前に各役所や専門家によくご相談ください。
 今後のtakanoさんのご活躍を祈念いたします。

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