小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「役員と従業員で取り扱いが異なります。」 - 専門家プロファイル

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海外在住者が日本で会社を設立した場合の納税

法人・ビジネス 会社設立 2019/10/30 15:09

こちらのサイトで法務省民商第29号により、海外在住者のみでも日本で合同会社を設立することができるという回答を拝見させていただきました。 
 アメリカ在住で日本の住民票は抜いてあるのですが、その際、その会社から支払われる給料の税金はどちらの国で支払うのでしょうか? 
 アメリカで納税する場合、その会社から源泉徴収を行わず給料を支払うのでしょうか?

アドバイスいただけると幸いです。

たーぼーさん ( 愛知県 / 男性 / 45歳 )

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経営コンサルタント

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役員と従業員で取り扱いが異なります。

2019/12/23 20:22

たーぼーさんこんにちは。

日本の合同会社からの給与に対しての税金が、日本に対して支払が必要か海外のみでよいかというご質問ですね。
以下、順にご説明します。

1.課税対象
 非居住者については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。おおむね日本国内で勤務しないと国内源泉所得は発生しません。
国内源泉所得に関しては以下を参照してください。
[No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm)]
 なお、源泉徴収については、「国内源泉所得」の場合で、その支払を受ける非居住者等が「恒久的施設」を持ち、その「国内源泉所得」が「恒久的施設」に帰せられる場合、源泉徴収状総合課税対象になります。「恒久的施設」を有しない場合や恒久的施設に帰せられない所得であれば源泉分離課税対象となります。
 恒久的施設とは、国内における事業の管理をする事務所などの施設を指します。詳しくは以下を参照してください。
[No.2883 恒久的施設(PE)(令和元年分以後)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2883.htm)]
 それから、年の途中で出国した場合は年末調整での対応が必要になります。
[No.2517 海外に転勤した人の源泉徴収(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2517.htm)]


2.所得税
(1).従業員給与の場合
・課税について
 日本の法人の海外支店などに1年以上の予定で勤務する給与所得者は、一般的には、国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者になります。非居住者が受け取る給与は、たとえその給与が日本にある本社から支払われていても勤務地が外国である場合、原則として日本の所得税は課税されません。
・源泉徴収について
 国内源泉所得の支払が国外において行われる場合には、原則として源泉徴収の必要はありません。その支払者が国内に住所若しくは居所を有し、または国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを有するときは、その支払者がその国内源泉所得を国内において支払ったものとみなして源泉徴収をする必要があります。
[No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2885.htm)]

(2).役員報酬の場合
 ところが、海外支店などに勤務する人であっても日本の法人の役員の場合には、その受け取る給与については取扱いが異なります。この場合には、その給与は、日本国内で生じたものとして、支払を受ける際に20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)の税率で源泉徴収されます。国内のみでなく海外の源泉所得に対しても課税されるということです。
 たーぼーさんは合同会社を設立するとのことですので、合同会社の社員であり、株式会社の役員と同様にこの適用を受けます。日本国内で得た利益を海外に移転し脱税されないようにという意図なので厳密に運用されます。
 この役員には、経営に参加していたとしても使用人として常時勤務している役員は含まれません。日米の租税条約でも取締役会のメンバーがどうかで判断されます。たーぼーさんの合同会社の場合も社員(=出資者)かどうかで判断してください。
[No.1929 海外で勤務する法人の役員などに対する給与の支払と税務(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1929.htm)]


3.所得税以外の税金
(1).住民税
 住民税については、たーぼーさんの場合、海外に常駐していると推察いたしますのでほぼ関係ないものと思います。
 毎年1月1日に日本に居住していなければ支払の必要がありません。

(2).消費税
 源泉徴収とは関係ありませんが、消費税がかかる場合があります。非居住者に対する日本国内での役務の提供は一般的には輸出免税の規定が適用され、消費税が免除されます。しかし、以下のような例外もあります。
No.6567 非居[住者に対する役務の提供(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6567.htm)]

たーぼーさんの事業の成功をお祈りしております。

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