堀江 健一
ホリエ ケンイチグループ
鬼滅の刃8 入眠障害実体験記 原因は焦りとか理想
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入眠障害の実体験
今回は私の入眠障害体験編です。
●入眠障害のきっかけ
30代半ばでカウンセラーの勉強を始めて、カウンセラーに転職する時、それこそ不眠症になるくらい大変な不安感を抱きました。
海月姫4でも書いたことがありますが、一つにはカウンセラーの仕事をしていくには、当時「臨床心理士」の資格が必要だと思っており、
果たしてその資格を取得することが出来るのかどうか?と言う不安。
もう一つは、そもそも将来的にカウンセラーの仕事になんて就くことが出来るのかどうか?と言う不安の2つでした。
まだ養成学校で勉強し、卒業は出来たものの、将来の展望はまったく見えていなかった頃のことです。
「臨床心理士」の資格を得るには、民間団体である臨床心理士協会が指定している心理系の大学院に入学して、必要な単位をクリアし
現場で実地研修期間を受け卒業し、
そこで初めて臨床心理士資格試験を受ける資格がもらえるのです。
つまり早い話が、もう一度大学院に、しかも美大を出た人間が心理学部に入りなおすというけっこう無茶な話になるのです。
試験に出る心理学の知識に加え、入学したらどんなテーマを研究し卒論を書くか「研究課題」を決め提出し、その論文審査があります。
英文で書かれた論文を翻訳して解答する英文問題まで出題されます。
結論から言うと、そんな無謀とも思えることに挑戦したのは良いのですが、見事不合格です。
特に英語は全然ダメだったでしょう。
ちなみにその数年後、なぜかカウンセラーブームみたいなものが起こって、カウンセラーを志望する人が世間ですごく増えた時期がありました。
そこで臨床心理士資格を目指す人も増えたので、各大学が社会人向けの英語の受験問題などが無い、前と比べると割と簡単に入学できる大学院が多数開設されました。
不合格だった私は、途方も無い高い「壁」にぶち当たった感じです。
また勉強頑張って、来年に再挑戦するのか?
はたまた、職業としてカウンセラーになるのをあきらめるのか?
臨床心理士資格が無くても、研鑽してカウンセラーになれる道はあるのか?
カウンセラー養成学校は卒業し、そこと併設しているメンタルクリニックでのカウンセラー研修は引き続き受けていたので、
希望が無いわけは無いと、なるべくポジティブに考えるようにはしていました。
ちなみにそこでの研修は初診で来られた患者さんの心理テストを行ったり、インテーク面接と言う、現在のご様子や家族歴、抱えている問題の内容などを最初に聴取する面接や、実際のドクターの診療を陪席して見学できるので、かなり勉強になりました。
しかし先々、果たして努力でどこまでどうなるものなのかどうか?
臨床心理士の有資格者でさえ、仕事先が無くてあぶれているのが当時の現実でしたから(そして現在でも)、
資格さえ取れれば将来が保障されるわけでは全く無いないのです。
収入になるデザインの仕事は昔の仕事仲間のつてで、細々とたまに依頼を頂くものの、またコンピュータ関連の仕事に本格的に戻るというのも苦痛です。
そんな八方塞がり、出口なしにしか思えない状況で、病的に夜も眠れなくなってしまいました。
●入眠困難の苦痛
夜中、何時になっても一向に眠気はやって来ません。
ただ、横になって、眠気が来るのを待って悶々と過ごします。
最初の頃はまだ、眠れないならいっそ起きて、勉強を少しでもしようと言う気力もありましたが、
そのうち寝れていないのですから頭が働きません。
脳に何かインプットしようとしても、もう何も頭に入ってこない状態です。
深夜テレビくらいは惰性でボ~ッと観ることは出来ましたが、録画しておいたビデオなんかは観る気力も出ません。
クタクタなのです。
でも睡魔は来ない。
何かしたい!しなければいけない!、と思うのに何も出来ない
と言うのは本当に苦痛です。
骨折でもして動けないのであれば諦めもつくかも知れませんが、ただ時間だけが過ぎていく空しさと言うのは経験したことが無い人には理解できないかも知れませんね。
仕方なく夜中の散歩が日課になりました。
少し運動したり気分転換した方が良いと思ったし、それしか出来ない感じでもありました。
あてどなく夜中の町や公園を、ただひたすらさ迷い歩いている感じで、よく職質を受けなかったものだと思います。
体力を消耗すれば、眠れるんじゃないか?とも考えた策でしたが、あまり効果があったとは思えません。
歩いている最中はネガティブな考えもあまり浮かばずに済みましたから、精神衛生上はある程度助かったと思います。
と言うか、もうネガティブな事を考える力さえ残っていなかったのかも知れません。
さすがに普通は不眠と言っても2日も寝ていなければ、眠くなるだろうと考えていたのですが、そう生易しいものではないようです。
こんな寝てなくてヘトヘトなのに、眠れないなんて事があるのか?!
とびっくりします。
ただ、流石に何日も眠ないでいると死んでしまう事でしょう。
昼間に数時間だけは眠れるようになりました。
それで少しは本を読んだりするメモリーが空くようにはなれました。
でもやはり夜はいけません。
不思議なもので、昼間、太陽が出ていて明るいと、なにか安心するのかウトウトするのです。
元々「夜型人間」だったのかも知れません。
タイプによって「朝型」と「夜型」の人はいるみたいですね。
大抵世の中、朝起きて仕事に行くような生活が標準ですから、生活リズムとして朝起きる習慣にっていましたが、
実は生態リズムが夜の方が覚醒し易い人もいるようで、それが極端な方は、一般的な就業も無理なので、夜仕事する職業に就く必要も出てきます。
多数派の朝方の人であっても、「お昼寝」って気持ち良いですよね。
ポカポカしたお昼過ぎのひと時なんか。
不思議なもので、夜中に寝室の電気や窓の外が明るいと「まぶしいなぁ」と気になったりするものですが、
お昼寝のときに部屋が明るくても「まぶしいなぁ」とは感じないものではありませんか?どうでしょう?
自分はうつ病なんじゃないかと、研修に行っているクリニックで抗ウツ剤を出してもらったこともありましたが、まるで変化が無かったので、
おそらくウツではなかったのだと思われます。
一緒に出してもらった睡眠薬を飲むようになり、その薬には助けられましたね。
一定時間眠れるようになり気力体力も段々回復して行きました。
そんな私に転機が訪れます。
カウンセラー養成学校に来て講義をされていた開業しているカウンセラーの先生に、
「うちで研修してみないか?」と誘っていただけたのです。
より現場での臨床に携わることが出来る様になり、先々スタッフとなり、常勤でカウンセラーとして働ける見通しが付いてきたのです。
また、美大から心理学の大学院入学と言うのも、冷静に考えてみれば無茶な話だと思えてきて、
まずは地道に放送大学で心理学の必要な単位を取得して、
卒業して
また再挑戦するならしてみた方が良いだろうと、自分でも地に足がついた考え方が出来る様になりました。
●入眠困難の最大の心理的原因
私に関しては後で思い返してみると、私は
かなり無茶な理想を持ち、そこを乗り越えなければ!
と、いたずらに焦ってしまってしたのです。
焦り
これが一番、私が不眠症になっていた元凶だったのだと思います。
残念ながらいくら努力しようと思っても、現実的には叶わない非現実的に無理な理想を抱いてしまうことがあるものかと思います。
そこまで理想が高いわけはなくても、自分が努力しただけではどうにもならないような事柄もあるでしょう。
そんなものにぶち当たった時、人は誰でも焦りを感じてしまう可能性があるかと思われます。
人の心理を学んで、人の役に立ちたいと思って勉強していながら、当の自分がミイラ取りがミイラになるみたいに精神状態が異常になってしまったのですから、まったく、皮肉な事です。
プライドが高い人は「理想と現実のギャップ」による「理想的では無い今の自分を認められない葛藤」の方が、
強く作用するかも知れません。
この傾向が高い方は、現実逃避になりがちで、ドラッグやお酒への依存が生じやすいように思います。
あるいは元々不安感を抱きやすい人は「将来の不安」として強く作用するかも知れません。
やっかいなのは、自分がそのようなヤバい心理状態に陥っている事を、自分で意識として自覚するのが難しい事だと思われます。
人によると思いますが、
そうした「無理な理想」を今は無理だと冷静には思えず、
なんとか理想的になれることばかりを考えてしまったり、
すでに理想的になれているように思いこもうとしてしまったり、
理想に届かない自分を責める方にばかり思考が働いてしまいます。
たまに、自分では出来ない様な理想的なことを、平気で人には「やれ!」と言う人がいますが、ある意味そう言う人は羨ましく感じます。
実際の自分がそんな言うほど理想的な人間かどうか?なんて、多分考えもしないし、眠れなくなるほど悩む事もなさそうですから。
頭でそれを考えてしまっている、と意識していない時でも、実は無意識的にそんなことばかり頭がフル回転している様に考えてしまっていたりします。ドンドン脳が疲れて行きます。
眠れていないから、余計理性的に事を考える脳の部分が働かなくなってしまう悪循環もあるのでしょう。
うつ病になると不眠になる、
と今までは考えられていましたが、
最近では不眠が続くからうつ病になる、
と考える専門家もおられるようです。
睡眠不足は万病の元だと思います。
まず「眠る事」を最優先に考えた方が良いですね。
ただ、寝よう寝ようと努力すると、それがプレッシャーになり、返って眠れなくなってしまうのも事実。
夜眠る。
当たり前の事の様に毎晩繰り返してしますが、実は絶妙なバランスが作用して成り立っている奇跡的な事なのかも知れませんね。
自分がそうした経験をしたことは、クライアントさんの悩みや苦しみを自分が実体験できたと言う意味もあり、非常に貴重な経験の一つであったと、後からは思えました。
お話しを聞く上でけして「人事ではない」と思えますから。
その後、拾ってくれたカウンセラーの師匠から教育分析と呼ばれる、自分がクライアントさんの一人として、その師匠の先生にカウンセリングを受けて
さまざまなことを学び、自分を見つめ返し、自己分析なども進めていくのですが、
その過程でも、いかに自分が世間的には常識のように思い込んでいた事も、実は色々偏っていたり、自然ではなかったりしたことが徐々に自分でも意識として理解できるようになって行きました。
例えば具体的に分かり易い例では
「人は誰にでも親切にしなくてはならない」→「誰にでも嫌いな人がいるのが当たり前で自然。親切に出来ない時もある」
「人に甘えたり、迷惑をかけてはいけない」→「依存しすぎてはいけないが、人に甘える気持ちも無ければ支え合って行けない。時には甘える気持ちがあっても良い」
とか。
それはつまり「今まで常識だと思っていた”こうあるべき””理想的”と信じていた事が、
実はそうではないのだ」と知って行くことになります。
そしてそれは、自分が立っていた地盤が一回根底から崩れて行くようなもので、
一時的に宙ぶらりんな状態になることを意味し、
混乱を招く事にもなりました。
これも怖いものですよ!
もう30過ぎて、世の中こんなもんだろうとわかったような気になっていましたが、そんな様々な危機的とも言えるような落とし穴に突然落ちる事もあるのだなぁと改めて感慨深いものがあります。
自分が正しいと思っていた常識とか世界とかは、実にちっぽけなものだったわけです。
まぁそうした事柄も追々またブログの中でご紹介できればと思います。
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