山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「富士通から見れる世界戦略の展開事例について」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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富士通から見れる世界戦略の展開事例について

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M&Aコンサルタントとしての活動 アライアンスとM&A案件への対応 2010-07-10 12:00

皆様、
こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月9日及び10日付の日経新聞に、富士通の動きが掲載されました。

10日付の日経新聞では、『富士通、海外で競争力強化 大型M&Aも視野に』のタイトルで以下の記事が掲載されました。

『 富士通が海外戦略を加速する。米マイクロソフト(MS)と、ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを提供する「クラウドコンピューティング」事業で提携。海外で大型M&A(合併・買収)の検討にも着手した。クラウド分野では米国勢が大きく先行し、日本市場でも攻勢を強めている。富士通は提携やM&Aをテコに海外での競争力を強化、生き残りを目指す。

「グローバルでサービスを提供するには、もはや自社のリソース(資産)だけではまかなえない」。9日の富士通の経営方針説明会で、山本正已社長はこう強調した。

説明会では言及しなかった今回のMSとの提携も、技術・サービス力の補完が狙いだ。富士通は1990年代に英ICLと米アムダールのコンピューター大手2社を買収。両社をサービス会社に衣替えして、一定の顧客を獲得してきたが、海外で確実に売れるクラウドサービスは持っていなかった。今回、富士通はMSが持つソフト技術力を自社サービスに取り込み、クラウド事業の世界展開を本格化する。

山本社長は9日の説明会でM&Aにも言及。「フリーキャッシュフロ(純現金収支)は今後毎年1500億円程度の黒字が見込め、資金の使い道としてM&Aは重要な手段だ」と述べた。買収相手としては海外のソフト開発会社や情報システム会社を想定しており、1000億円規模の買収も視野に入れている。同社はここ数年の構造改革で財務が大幅に改善しており、攻めの経営に転じて海外展開を加速する。2009年度に37%だった海外売上高比率を、11年度に40%に引き上げる方針だ。』

また、別の記事では、『富士通が海外戦略を加速する。MSと、ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを提供する「クラウドコンピューティング」事業で提携。海外で大型M&A(合併・買収)の検討にも着手した。クラウド分野では米国勢が大きく先行し、日本市場でも攻勢を強めている。富士通は提携やM&Aをテコに海外での競争力を強化、生き残りを目指す。』と掲載されています。


富士通は、最近、急速に需要が伸びている「クラウドコンピューティング」事業で世界展開を目指す動きを加速させています。

規模が限られた日本市場で頑張っても、売上・利益を伸ばす事は難しく、世界市場で戦う経営戦略を明確に打ち出した事を高く評価します。

今回の戦略のポイントは、以下のようになると考えます。

1.富士通は、、ここ数年間行ってきた構造改革で財務状況を大幅に改善してきた。結果として、毎年1500億円程度のフリーキャッシュフロを確保可能になった。

2.このフリーキャッシュフロを単に貯めておくのではなく、自社の不足する機能や、新規に必要なコアをM&Aで獲得する為の資金として活用する。

3.経営展開する主市場を、世界+クラウドコンピューティングの右肩上がりが期待されるところに集中する事を明確化した。
グローバルな市場で世界企業と競合して勝ち抜くためには、経営資源を主事業に集中して他社との差異化を可能にする事が必要です。
この観点から見ますと、富士通は集中と選択を行って、クラウドコンピューティング事業に集中する戦略を取ったのだと考えます。

4.クラウドコンピューティングは、どのIT企業も1社だけで行う事は難しいと思います。
富士通もそう判断し、クラウド事業の海外市場の展開をアライアンスにより実行しようとしています。

この時に大事なことは、“強者連合”を組める相手先を探す事です。
単に規模を大きくする、補完し合うだけのアライアンスでは、“強者連合”になりません。

富士通の場合、MSを連携相手に選びました。
新聞情報だと、以下の役割分担になるようです。

・富士通は世界16カ国、約90カ所でデータセンターを運営する。これらのデータセンターでMSとの協業サービスを開始する。富士通は、これらのデータセンターに、協業に必要な専用設備を配備する。

・MSは、クラウドコンピューティングに必要なソフト開発と提供をおこなう。

・MSは昨年、米シカゴとアイルランドに巨大データセンターを建設するなど世界各地でクラウド事業展開を急いでいるが、アフターサービスなど顧客支援体制で手薄なため、富士通の協力を得ていく。
富士通と組めばグローバル展開する日本企業との契約がしやすくなると判断している

・両社で投資してデータセンターを増強することも検討している。データセンター建設には1棟あたり数百億円かかるため、共同利用で投資を効率化できる。


上記の事を両者が各々の強みを持ち寄って展開できれば、“強者連合”となり得ます。


今後の富士通の動きに注目したいと考えています。

よろしくお願いいたします。
以上、

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

カテゴリ 「M&Aコンサルタントとしての活動」のコラム

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