
山本 雅暁
ヤマモト マサアキグループ
日経記事;『OKI、リコー・東芝の事務機連合に合流 生産・開発を統合』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2月13日付の日経新聞に、『OKI、リコー・東芝の事務機連合に合流 生産・開発を統合』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。私は、事務機市場に専門的な知見はありません。私が今まで行ってきた事業連携(アライアンス)支援の経験からコメントします。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『OKIは13日、リコーと東芝のオフィス向け複合機やコピー機など事務機連合に合流すると発表した。リコーと東芝の生産・開発の統合会社に、OKIのプリンター生産・開発部門が加わる。生産拠点や技術を相互に活用し、地政学リスクの軽減や経営合理化につなげる。世界的なペーパーレス化で事務機市場の縮小が続くなか、業界の再編が一段と進む。。。』
リコー、東芝、OKIの3社が事務機事業で事業連携(アライアンス)を組むことには、複数のメリットと注意すべき課題があると考えます。
私は上記しましたように事務機市場に専門的な知見をもっていません。あくまでも今までの経験からコメントしますので、多少お門違いな視点も入ることはご容赦ください。
●メリット
1.生産・開発効率の向上:
@3社のプリンター生産・開発部門を統合することで、重複投資を避け、資源を集中させることができる。
@生産拠点の相互活用により、コスト削減や効率化が期待できる。
@設備投資の最適化やスケールメリットを活かし、利益率の向上が期待できる。
@3社の技術やノウハウを共有・結集することで、より競争力のある商品開発(例えば、高品質で多様な商品ラインナップ)が可能になる。
@AI、IoT、クラウド連携などの最新技術を組み込み、差別化を図ることができる。
2.市場競争力の強化:
@販売チャネルや顧客基盤を共有することで、より広範な市場へのアプローチが可能になる。
@共同でのマーケティングやプロモーション活動により、ブランドイメージ向上や認知度向上に繋がる。
3.地政学リスクの軽減:
@生産拠点の分散化により、特定の地域における災害や政情不安による供給リスクを軽減できる。
@供給網の安定化により、外部環境の変化に強い事業体制を築くことができる。
4.市場縮小に対応した経営合理化:
@世界的なペーパーレス化の進行により市場が縮小する中、経営統合により固定費を抑え、持続可能な事業モデルへシフトできる可能性がある。
@共同で新しいビジネスモデル(例えば、サブスクリプション型サービス、クラウド印刷など)の開発にも注力できる。
@事業規模の拡大により、スケールメリットを活かしたコスト削減や収益向上に繋がる。
@間接部門の統合や業務効率化により、経営資源をより戦略的な分野に集中させることができる。
●気を付けるべき課題
1.組織文化や経営方針の違い:
@3社それぞれが異なる企業文化や経営方針を持っているため、統合や連携を進める上で摩擦が生じる可能性がある。
@組織文化の融合や共通の目標設定、意思決定プロセスの確立などが課題となる。
@特に開発部門の統合では、技術スタンダードや意思決定の調整が課題となる。
2.技術や商品の標準化:
@3社がそれぞれ異なる技術や商品を持っている場合、標準化や共通化を進める必要がある。
@技術的な互換性や商品の差別化、顧客ニーズへの対応などを考慮しながら、最適なバランスを見つける必要がある。
3.ブランド・販売チャネルの調整
@3社はそれぞれ異なるブランドと販売網を持つため、統合後のブランド戦略や営業体制をどう整理するかが重要。
@既存の顧客や販売会社などの混乱を避けるため、明確な役割分担が必要。
4.競争力の維持と市場ポジションの確立
@統合によりコスト削減や効率化は進むが、ペーパーレス化が加速する中で、事業の根本的な成長戦略が求められる。
@新規事業の可能性がある、競争が激しいITサービスやクラウドビジネスにどう参入するかが課題。
5.市場の変化への対応:
@ペーパーレス化が進む中で、事務機市場は縮小傾向にあります。
@3社は、市場の変化に対応するため、新たな事業領域への進出や商品・サービスの開発を加速する必要がある。
@事務機市場の縮小に対応する新たな成長戦略(DX対応、アフターサービスの強化など)が不可欠。
4.雇用への影響:
@事業統合や合理化を進める過程で、人員削減や配置転換などが発生する可能性がある。
@従業員の不安解消や再教育、新たな雇用の創出などが課題となる。など
メーカー間の事業連携(アライアンス)で、開発・製造部門の分野は、参加企業の競争力の源泉となります。この分野でのアライアンスは、確実な「Win/Win」体制の構築と、維持のための不断の努力が必要不可欠になります。
私は、今回の記事を利用して、複数のメーカー間の事業連携(アライアンス)を行う上でのメリットと課題について書きました。
本ブログ・コラムを読まれた企業関係者が、今後の事業連携(アライアンス)を行う上での参考になれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁
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