山本 雅暁
ヤマモト マサアキグループ
日経記事;『宅配EV、開発2倍速フォロフライ、中国勢に生産委託』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
1月14日付の日経新聞に、『宅配EV、開発2倍速フォロフライ、中国勢に生産委託』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『ソニーグループが参戦を表明した電気自動車(EV)の大競争。国内の新規参入では新興勢の商用車が先行する。フォロフライ(京都市)の宅配向けEVの開発期間は1年半が視野に入る。既存メーカーの約2倍というスピード開発を可能にするのは、スマートフォン(スマホ)のように企画や設計に特化し、生産を外部委託する「水平分業」のものづくりだ。。。』
この記事に登場するフォロフライ;folofly Inc は、2021年8月に設立されたばかりの会社です。
この会社が、宅配用途に特化したEVの開発・実用化を進めています。本記事によりますと、この宅配用EVの開発・実用化は、1.5年で可能とのことです。
通常通りであれば、新規の自動車開発・実用化には、5年くらいかかります。これは、自動車を自社で開発・実用化するためです。このやり方は、現在多くの自動車メーカーが採用しています垂直統合方式と言います。
フォロフライを設立しました小間裕康氏は、2010年にグリーンロードモータース株式会社(現:GLM株式会社)を設立しています。GLMは、国内初の量産EVスポーツカー『トミーカイラZZ』を開発・実用化しました。
この時、GLMは自前でEVスポーツカーを開発・実用化しました。
小間氏は、このGLMでの経験をベースに、宅配EVの開発・実用化をより短期間に行うために、中国メーカーとの連携・協業(アライアンス)を選択しました。
中国では、現在各種用途のEVの開発・実用化が活発に行われており、多くの企業がEV市場に参入しています。
本記事によりますと、小間氏は車体やソフトウエア開発、製造を、中国企業に委託し、自前では商品企画、デザイン設計、販売、保守を行う水平分業方式を採用しました。
これは、お互いが強みを持ち寄って、イコールパートナーシップで実行する連携・協業(アライアンス)のやり方になります。
一般的に、中国メーカーのフットワークは、国内企業に比べて速いです。この点も、フォロフライが中国メーカーを選んだ理由の一つになります。
ソニーは、米国ラスベガスで開催されたCES2022にて、自動運転機能付EVの事業化の可能性について発表しました。
ソニーがEV市場に参入する場合、間違いなくフォロフライと同じように、他社との連携・協業(アライアンス)を組んで事業化します。
この連携・協業(アライアンス)をうまく生かすためのポイントの一つが、参加する企業が、お互いに強みをもっており、イコールパートナーシップで「Win/Win」の関係が構築できるかにあります。
アップルが、この連携・協業(アライアンス)を最大限活用して、iPhoneの事業化に成功しています。
アップルが、iPhoneの開発時に探した連携・協業(アライアンス)先は、どこも各分野で強みを持っている企業でした。
アップルは、iPhoneの商品企画、デザイン、関連ソフトウエアの開発、マーケティング、広告、販売を行い、本体の製造は台湾企業に委託しました。
アップルは、この連携・協業(アライアンス)で当然のごとく強いリーダーシップを発揮して、色々な開発上の課題解決を、アライアンス先企業と協力して実行しました。
アップルの事例が示すように、他社との連携・協業(アライアンス)を効果的に、かつ、確実に行うには、中核となる企業の強い思いやリーダーシップが必要になります
今回の日本企業の例ですと、フォロフライやソニーになります。国内企業同士の連携・協業(アライアンス)の中には、仲良しクラブみたいな印象をもつ事例が散見します。
国内企業が、海外企業との連携・協業(アライアンス)を確実に行うには、中核企業がしっかりとした思いや理念をもち、お互いの役割分担を明確化して、強いリーダーシップのもと、「Win/Win」の関係を維持できるように動くことが、必要であり重要になります。
私は、ある企業から、今後新商品を開発・実用化するには、他社との連携・協業(アライアンス)が重要であるので、支援して欲しいとの依頼を受けました。
この企業は、他社との連携・協業(アライアンス)の経験がありませんでした。この依頼を受ける前に、十分なヒアリングを行った結果、支援しないことを決めました。
この企業は、他社との連携・協業(アライアンス)が他企業との仲間づくりである、との思いから脱却できないことにありました。
他社との連携・協業(アライアンス)は、単なる仲間づくりではありません。連携・協業(アライアンス)を行うことによって、どのような事業目的を達成し、自社及び他社の利益になるのか、明確化した上で、推進・実行する必要があります。
さもなければ、このような他社との連携・協業(アライアンス)は、例外なく失敗します。特に、ベンチャー・中小企業は、他社との連携・協業(アライアンス)が流行っているから、自社も行うというような安易な気持ちでは、この経営手法を採用してはいけません。
これは、失敗すれば、下手すると大やけどを負うリスクがあることによります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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