山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「日経記事:『規制が阻む(1)日本に見切り、新興流出国産スマート医療、第1号はベトナム』に関する考察」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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日経記事:『規制が阻む(1)日本に見切り、新興流出国産スマート医療、第1号はベトナム』に関する考察

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経営戦略 新規事業開拓・立上 2021-06-08 14:26

皆様、

こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

6月8日付の日経新聞に、『規制が阻む(1)日本に見切り、新興流出 国産スマート医療、第1号はベトナム 世界に周回遅れ』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『各国が新型コロナ禍からの出口を見据え始めた。菅義偉政権は脱炭素戦略やデジタル化を成長のエンジンに掲げ、規制改革会議は行政全面オンライン化の旗を振る。だが足元には飛躍を阻む規制が残る。経済再生の道筋をどう描くか。。。』

 

私の支援先企業の中には、国内の既存規制のために、国内での新規事業立上げを諦めて、米欧アセアン地域などの英語圏市場で当該事業の立上と、販路開拓・集客を行った企業があります。

 

元々多くの中小企業は、まず国内市場で新規事業立上や新商品・新サービスの事業展開を行ってから、海外市場開拓を行いたいとの考えを持っていました。

 

しかし、中小企業がこのようなことを起こす場合、たびたび国内の既存規制が壁となって立ちはだかることがありました。

 

中小企業が既存の規制緩和や変更を行政に要望しても、通常実現できません。これは、行政が中小企業の声を聞かないだけでなく、既存規制の多くが国内事業者の既得権益を守ることになっているケースが多いことによります。

 

また、既存の規制が明確な、あるいは合理的な理由もなく、慣習として維持されている場合も数多く見受けられます。

 

例えば、河野規制改革担当大臣のもとで進められている無駄な押印廃止の動きは、今までの慣習として残っていたことを見直す事例の一つになります。

 

一方、ベンチャー・中小企業が新規事業立上やその事業に即応した販路開拓・集客のやり方は、近年国内市場に依存しない形で実現できるようになっています。

 

それは、インターネットの普及により、ベンチャー・中小企業がWebサイトやSNSを活用して、米欧アセアン地域などの英語圏市場に情報発信や広告宣伝を、無料もしくは低コストで実行できるようになったことによります。

 

今までの私の支援経験に基づくと、一般的に米欧アセアン地域などの顧客は、商品やサービスを提供する企業の名前や規模、社歴などに関心を持ちません。

 

米欧アセアン地域などの顧客が関心を持つのは、企業そのものではなく、その企業が提供する商品やサービスの新規性、特徴、機能、競合品に対する差別化・差異化ポイントなどになります。

 

このことが支援先企業との協業で確認できましたので、それからは国内市場で規制の壁に当たった場合は、ほぼ例外なく国内からではなく、米欧アセアン地域などの販路開拓・集客を優先して行ってきました。

 

そのビジネス効果は、新型コロナウイルスの影響拡大下でも安定的に米欧アセアン地域などの海外市場から、受注を受けています。特に、最近ワクチン接種が進んでいる米国や欧州からの受注が拡大しています。

 

これらのベンチャー・中小企業は、当然のごとくインターネット・ITをフル活用して、情報発信・広告宣伝を行っており、海外顧客とのコミュニケーションは、メール、Zoom、Skype、GoogleMeetなどのツール活用によるWeb会議などにより行っています。

 

もし多くの中小企業・中堅・大手企業がこのようなことを国内で行うことになると、国内では革新的な事業が行われず、投資も海外で行うことが常態化するリスクがあります。

 

本日の記事に事例として出ています、メドリングはAIなどを活用した「スマートクリニック」を2020年10月にベトナムに開設しました。

 

メドリングは、自社のWebサイトに以下のように書いています。

https://metic.jp/jp/medring/

『日本式のスマートクリニックチェーンを、ベトナム全土へ、東南アジアへ

 

ベトナムは新型コロナのコントロールにも成功し、2020年のGDP成長率が世界5位など、政治経済が発展しています。一方、医療資源に乏しく、さらに医師・施設のレベル差が激しいとされ、大病院に患者が集中しています。

この現状を解決すべく、1次医療=クリニックに着目しました。

日本の医療ノウハウをAIなどのデジタル技術に載せ、診療レベルの質が保たれたクリニックをチェーン展開することで、医療偏在を解消し、重症化の予防・大病院への患者集中を防ぐことを目指しています。。。』

 

このメドリングの意志と明確な目標は、極めて合理的です。メドリングは、国内の医師の協力を得て、AIを活用してベトナム人医師の診断を支援します。

 

日本では、このような遠隔医療を実施できません。日本には、多くの開業医がいますが、地方には少なく、人口が多い都市部に偏在しています。

 

地方の患者が、都市部にいます優秀な開業医の診察を受けたいとの潜在的なニーズは高まっています。遠隔医療は、このニーズを解決します。

 

現在の政権は、規制改革とデジタル化について積極的に取り組んでいます。本日の日経新聞に、「オンライン初診恒久化政府方針、かかりつけ医を原則に」のタイトルで記事が掲載されました。

 

政府は新型コロナウイルス対応の特例として容認している初診からのオンライン診療を恒久化する方針とのことです。ただし、遠隔医療の診療報酬が対面診療より低く抑えられていることについては、年末までに結論を出すとしています。遠隔医療の診察報酬は、対面診療と同じにすることが合理的です。

 

現政権が行っている規制改革や規制改革を加速化させて、必要のない、あるいは不合理な規制を撤廃して、ベンチャー・中小企業がより一層柔軟に新規事業立上を国内でできるようになることを大いに期待します。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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