山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「日経記事;『無形経済の道、ソニー走る 車産業を「軽く」する』に関する考察」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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日経記事;『無形経済の道、ソニー走る 車産業を「軽く」する』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題 2020-08-22 12:18

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。


8月22日付の日経新聞に、『無形経済の道、ソニー走る 車産業を「軽く」する』のタイトルで記事が掲載されました。本日は、この記事に関して考えを述べます。


本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『資本集約的で、最も参入障壁が高いとされた業種の一つ、自動車産業が大きく変わるきっかけになるかもしれない。ソニーが電気自動車(EV)の「VISION-S」を国内で公開したが、開発責任者の川西泉執行役員に話を聞くと「車でも水平分業が可能かもしれないという手応えをもてた」と語っていたのが印象的だった。。。』


私は、本ブログ・コラムで何度か書いていますように、電気自動車(EV)は基本的に電池を動力源としますので、内燃機関、いわゆるガソリンエンジン車に比べて、既存の技術ノウハウがなくても、開発・実用化が可能になります。


すでに、グーグルや中国企業は、自動運転機能付EVの開発・実用化を本格的に行っています。これらの企業は、いわゆる自動車メーカーではありません。


グーグル自身は、既存の自動車メーカーと同じようなメーカーになる意思はなく、自動運転機能付EVを走るインターネットの出口端末機器として、位置付けていると考えています。


グーグルは、自社のインターネット広告宣伝ビジネスのプラットフォーム拡大を図るために、自動運転機能付EVの開発・実用化を進めています。EVは、既存の内燃機関自動車と比べて、構造が単純であり、少々大げさに言いますと、どの企業でもEVメーカーになれます。


EVは、自前で自動車を組立てる専用の工場を持たなくても、水平分業方式;オープンイノベーションのやり方を採用することで、製品化できます。自動運転機能付EVの開発・実用化は、アップルやアマゾンも、グーグルと同じやり方で開発・実用化を進めているとされています。


米大手IT企業は、この水平分業方式;オープンイノベーションのやり方に精通・習熟しています。


一般的に今までのトヨタや以前のソニーなどの国内製造企業は、縦型の垂直統合方式で、企画、開発、設計、製造、販売までの全過程を、一気通貫で行うことにより、差別化・差異化を実現してきました。


インターネット・ITが急速普及した状況では、今までの垂直統合方式では多くの国内製造企業は差別化・差異化を実現することが困難になってきています。


トヨタは、この事業環境激変を100年に1度の変革時期として認識しており、トップダウンで垂直統合方式から水平分業方式;オープンイノベーションのやり方に切替えようとしています。


ソニーの考え方も基本的に同じです。ソニーの場合、いわゆる伝統的なテレビ、オーディオ、パソコンなどの家電メーカーから、音楽、金融、ゲームなど、多面的な事業分野でビジネスを行う企業に変貌しています。ソニーは、当然の如く、水平分業方式;オープンイノベーションのやり方を取り入れて事業展開しています。


本記事の冒頭部分に、ソニーのEV開発の責任者のコメントとして、「車でも水平分業が可能かもしれないという手応えをもてた」と述べていますのは、今のソニーを象徴しています。


グーグルが、水平分業方式;オープンイノベーションのやり方で、自動運転機能付EVの開発・実用化を行っている場合、グーグルの強みは、AIを含む圧倒的なソフトウエアやアルゴリズムの開発力、インターネッ・ITについて蓄積されたノウハウなどになります。


企業が、自社の強みの源泉をもっていのが前提で、他社との水平分業方式;オープンイノベーションのやり方での事業に成功することができます。水平分業方式;オープンイノベーションのやり方は、他社との「Win/Win」の関係構築が前提になります。


水平分業方式;オープンイノベーションのやり方は、お互いに強みをもっている企業同士が、「Win/Win」の関係をもつことで実現できます。このやり方のメリットは、自社ですべて投資する必要がありませんので、過剰な投資負担や、高い固定資産など、いわゆる身軽な経営体力で事業展開できることにあります。


ソニーの場合、強みは自動運転車の「目」となるCMOS(相補性金属酸化膜半導体)や、人工知能(AI)などになると考えます。


ソニーが今後、この開発中のEVを、どのように事業化するか不明です。しかし、仮にソニーがEVを事業化しなくても、EVを開発・実用化する過程で多くのノウハウ蓄積ができます。


多分、ソニーのエンジニアは、ワクワクしながらEVの開発・実用化を進めていると考えます。水平分業方式;オープンイノベーションのやり方を上手くいくポイントの一つが、参加者であるエンジニアのワクワク感です。


今後のソニーの動きに注目していきます。


よろしくお願いいたします。


グローバルビジネスマッチングアドバイザー G

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