山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「日経記事;『トヨタ、次世代車みすえ組織改革 要職に2300人から登用』に関する考察」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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日経記事;『トヨタ、次世代車みすえ組織改革 要職に2300人から登用』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題 2018-12-01 12:17

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
12月1日付の日経新聞に、『トヨタ、次世代車みすえ組織改革 要職に2300人から登用』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車は30日、2019年1月から組織体制を抜本的に見直すと発表した。常務役員、技術系で役員待遇の常務理事、部長級、室長級の資格を統合し「幹部職」を新設する。これまで社内カンパニーや本部の責任者、工場長は約80人の役員級から選んだが、約2300人の幹部職から抜てきする形に変える。。。』

このトヨタは、最近、2019年1月に人事制度を刷新し、常務役員と技術系で役員待遇の常務理事を廃止する方針を発表しています。

トヨタの競合相手である米ゼネラル・モーターズ(GM)は11月に、全世界で15%の人員を削減すると発表しました。GMは、北米5工場で生産を停止するほか北米以外でも2工場を閉鎖し、ガソリン車の開発や生産の人員を減らす方針です。

トヨタとGMの動きは、共通する目的をもっています。

次世代自動車である自動運転機能付EVの開発・実用化を行うのに際して、既存のやり方や体制を見直して、大幅なスリムダウンを図ることにあります。

しかも、近未来の自動車は、所有から共有(シェアリング)に移行することが予想されています。この動きは、MaaS(Mobility as a Service)と呼ばれています。

また、自動運転車を使ったAutono-MaaS(オートノマーズ)の動きがあります。

最近、トヨタはソフトバンクと提携して、新規に共同出資会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」を設立して、2018年度から上記事業であるMaaSやAutono-MaaSを開始するとしています。

トヨタが矢継ぎ早にいろいろな動きを行っているのは、強烈な危機感をもっていることによります。

自動車が所有から共有になることは、現在のビジネスモデルでは自動車の市場規模が減少することを意味します。

また、自動車が、ガソリンエンジン車からEVになることは、現在多くの自動車メーカーがもっているガソリンエンジンの技術やノウハウは、まったく価値をもたなくなり、競争力の源泉にはなりません。

現在の自動車業界が直面している状況は、かって、日本のAV家電商品メーカーが、米国企業が仕掛けたアナログ技術からデジタル技術への移行に乗り遅れて、市場を奪われた状況と同じです。

自動運転機能付EVは、インターネット・AI・IoT機能をもった動く電子端末機器となります。

米大手ITベンダーのGoogleが、毎日多くの自動運転車を走行させて多くのデータを入手しているのは、自動運転機能付EVを、自社の検索エンジンやエンターテイメントサービスの、出口端末としてとらえていることにあります。

トヨタやGMの近未来の競合相手は、Googleのような大手ITベンダーとなります。大手ITベンダーは、自動車自体のハードウェアを競争力の源泉にせず、ソフトウエアやインターネット・AI・IoT機能の総合的な能力で、差別化・差異化を図ろうとします。

トヨタやGMの既存事業基盤は、Googleなどにより、近々に急速に破壊・再構築されることになります。

両社は、この事態を予測して、対応するために自己変革を急いでいるのです。トヨタがGoogleなどの米大手ITベンダーと競争していくためには、他社との連携・協業(アライアンス)をより一層積極的に行って、総合力で競争力の維持強化を図るのが、必要不可欠になります。

トヨタが組織のスリムダウンを行うのは、単に固定費を行うのが目的ではなく、上記する他社との連携・協業(アライアンス)、オープンイノベーションを有効に活用できるための組織体制にすることにあります。

日本の伝統的なやり方である年功序列重視の組織ではなく、実力をもっている若手社員に権限を与えて、迅速な意思決定と実行力をもった体制にしないと、ベンチャー企業やIT企業との、オープンイノベーションを有効に活用することは、できません。

トヨタの一連の動きは、Googleを最大の競争相手と位置付けて、市場の変化に対応していくための施策です。

トヨタの一連の施策が、効果的であるかどうかは、2020年くらいに明確になります。
今後、トヨタが自己変革を行いながら、どのようにオープンイノベーションを有効に活用していくか、注目していきます。

トヨタの動き方は、中小企業がオープンイノベーションを有効に活用する上で、大いに参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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