茅野 分(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))- Q&A回答「ミュンヒハウゼン症候群とは」 - 専門家プロファイル

茅野 分
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( 東京都 / 精神科医(精神保健指定医、精神科専門医) )
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代理ミュンヒハウゼン症候群の見分け方、治療法

心と体・医療健康 精神疾患治療 2008/12/25 21:01

自分に周囲の関心を引き寄せるために、自分以外の他者にケガや病気をさせるという、「代理ミュンヒハウゼン症候群」のことを知りました。

私の知り合いに、家族がしょっちゅう入院をしていて妙だなと思う人がいるのですが、もしかしたら、彼女がこの病気の可能性があるかもしれません。もしそうなら大事に至る前に止めたいのですが、私が疑い過ぎているだけかもしれません。

病気かどうか、判別し、治療する方法はありますか?
どうしてこの病気になってしまうのでしょうか。

ひろすけさん ( 徳島県 / 女性 / 34歳 )

茅野 分 専門家

茅野 分
医師(精神科)

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ミュンヒハウゼン症候群とは

2008/12/26 00:30
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''ミュンヒハウゼン症候群''とは、嘘の多い劇的な生活史を述べ、身体症状を捏造し(針を飲む、自傷する、検体をすり返るなど)、病院を転々とし、周囲の人々や医療関係者を振り回す行動の障害です。1951年 Asher が「ほらふき男爵 Munchhausen」にちなんで名づけました。母親が子供に症状を作る場合は''代理型''ミュンヒハウゼン症候群といいます(精神症候学、一部改変)。

明らかな原因は不明ですが、周囲の関心や同情を集めることで本人の心が満たされるとも考えられています。いわゆる''「虚偽障害」''ですが、繰り返し行い自己暗示がかかり、本人も虚偽なのか本当なのか分からなくなることがあります。いわゆる「虚実ないまぜ」の状態です。なお経済的・法律的な利得を得るために行われる場合は''「詐病」''と呼びます。

虚言癖のある人には''「空虚感」や「孤独感」''があり、実はいつも寂しく感じていることが少なくありません。生育歴を聴取すると、親子・友人関係などで十分な愛情や信頼を得られず、辛い幼少期を送ったことが語られます。このような人が、怪我や病気になり、周囲の関心を得る喜びを覚えると、時に虚偽の症状を述べたり捏造したりしてしまうことがあるのです。

しかし、針を飲んだり、自傷したりとまさに「命がけ」の行動を生じることも少なくありません。このような人に対しては、まずそのような行動を直ぐに止めさせ、その背景にある心理を十分に洞察させることです。それには信頼できる治療者と十分な時間をかけたカウンセリングが必要です。

ご質問の方がミュンヒハウゼン症候群に相当するのかは分かりませんが、周囲の方が観察し、十分な証拠を得て、それが考えられる場合は、病院や警察と連携し、適切な治療や環境へ導かれることが望まれます。どうぞ宜しくお願い致します。

銀座泰明クリニック

評価・お礼

ひろすけ さん

茅野様

ご回答ありがとうございます。
あれから注意深く、彼女とご家族を見ておりますが、確信は持てないでおります。先生からいただいたアドバイスを元に、慎重に対応いたします。

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