半沢直樹/TBS・ドラマより
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バブル期入行世代の葛藤と苦悩に満ちた戦いを鮮やかに描き出す。
基本は性善説。ただしやられたら倍返し!
型破りのバンカー、半沢直樹の伝説の始まりだ!
いまさらですが、堺雅人さん主演のドラマと言えば「半沢直樹」をご紹介しないわけにはいきません。バブル崩壊後の都市銀行を舞台に中間管理職の葛藤と苦悩に満ちたドラマが繰り広げられます。
「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」「銀行は人事が全てだよ」「銀行は晴れた日に傘を貸して、雨の日に取り上げるって」「どんな仕事をしてもええ、せやけど人と人とのつながりだけは大切にせなアカン、ロボットみたいな仕事なんかしたらアカン」「人の善意は信じますが、やられらやり返す、倍返しだ!それが私の流儀なんでね」などの名言が聞かれました。
いずれも地位と正義が交錯するなかで、生じざるをえない矛盾といってもよいでしょう。実社会では分かっていても語られてことのない真実ですが、ドラマではデフォルメされ、セリフとなり語られました。そして半沢直樹に「倍返し」させることで、痛快な物語となりました。
しかし「倍返し」することはよいことでしょうか?上司らは涙を流し、土下座をし、半沢に軍配が上がりました。われわれ視聴者は胸のすく思いでした。ところが実際の世の中へ目を転ずるとそうも行きません。アメリカとイスラムの戦争しかり加害者と被害者は常に入れ替わり憎しみは連鎖します。したがって、お返しすることなく、むしろ「罪を憎んで人を憎まず」という「赦し(ゆるし)」が必要ではないかと思う次第です。
銀座泰明クリニック