拡大自殺の疑い/ドイツ機墜落事故
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【ベルリン共同】 フランス南部のドイツ機墜落で、ドイツ捜査当局は27日、機体を故意に墜落させた疑いが持たれているアンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)の自宅から、破られた医療機関の診断書を押収したと発表した。診断書は墜落当日の24日を含め「乗務不可」とする内容。精神的な病気を勤務先に隠していた可能性があるとみている。
当局は副操縦士の自宅などから押収したコンピューターなどを分析。人間関係や金銭問題でトラブルや精神的なストレスを抱えていなかったかなど、動機や背景の解明を急いでいる。
当局は病名を明らかにしていないが、ドイツ紙ビルトは27日、副操縦士が6年前に精神疾患を患い、合計1年半の間、治療を受けていたと報じた。墜落機を運航していた格安航空ジャーマンウイングスの親会社ルフトハンザ航空の関係者らの話として伝えた。また、治安当局筋の話で副操縦士が最近、交際女性との関係で悩んでいたとも伝えた。
ドイツ紙南ドイツ新聞(電子版)は、副操縦士が以前から同国西部の精神科で治療を受けていたと伝えた。(47NEWS)
拡大自殺という概念があります。ひとつの定義をご紹介いたします。
- 1) 本人の死の意志
- 2) 1名以上の他者を相手の同意なく自殺行為に巻き込むこと
- 3) 犯罪と、他殺の結果でない自殺とが同時に行われること
- 4) 自己中心的な動機でなく、利他的な、あるいは偽利他的な動機から犠牲者を道連れにしようとしていること
- 5) 犯罪の結果について熟慮せずに自発的に行われていること
- Meszaros K, Fischer-Danzinger D (2000). "Extended Suicide Attempt: Psychopathology, Personality and Risk Factors.". Psychopathology 33: 5–10.
おそらく副操縦士は重篤なうつ病、精神病に相当する状態にあったことでしょう。ただし、不可解なことは犯行の直前まで主操縦士はじめ周囲の同僚が異変に気づかなかったということです。これだけの大事件を起こす精神異常をきたしていれば、表情、発語など言動にいつもとは異なるところが見受けられたはずです。ルフトハンザ社は死後であっても個人情報はすべては公開しないと言っていますから、真相は闇の中ですが、これだけの尊い命が失われたのですから、何らかの情報は公開して欲しいものです。
銀座泰明クリニック