みのもんたさんの息子「窃盗癖」の可能性
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2013-10-02 22:08
窃盗癖とは、「抵抗困難な窃盗衝動」を特徴としています。その不合理性(了解不能性)と反復性の2点をもって病的とされています。不合理性とは、盗んだ品物自体には必要性は価値を認めず、購入する金銭を所持しているにもかかわらず窃盗行為することです。
それでは何のために行うのでしょう?それは「盗む」ためとしか言いようがありません。アメリカの診断基準DSM4TRによりますと「窃盗におよぶ直前の緊張感の高まり」「窃盗をおかす時の快感、満足、または解放感」が定義されています。すなわち、経済的ではなく心理的な目的のために行われるわけです。
なお、窃盗癖はDSM4TRによると「衝動制御の障害」に分類され、他には「放火癖」「病的賭博」「抜毛癖」「間歇性爆発性障害」「その他」などがあります。いずれも「衝動性」を特徴として、「あらかじめ考えられた動機ではなく、駆り立てられるような心理により、目的意識を持たず、ただちに実行し、遂行すると深い満足を覚える」ことを特徴とします。
精神疾患としは気分障害、強迫性障害、嗜癖行動障害などが指摘されており、神経科学的にはセロトニンやドパミンの関与が指摘されています。従って、SSRI, Serotoni Selective Reuptake Inhibitorや DSS, Dopamin System Stabilizer などの薬物が効果的と考えられています。
心理療法としては、衝動に抵抗し、窃盗により生じるマイナスのイメージを思い浮かべ、別の行動を選択するような行動療法、衝動の背景にある気持ちを書き留めていく認知療法が推奨されています。さらに幼少期や家族歴などを振り返り、独りで寂しかった思い(孤独感)や心が虚しかった気持ち(虚無感)などに少しずつ気づき(洞察)、これからの生活や人生につなげていけるとよいでしょう。
注意するべきことは、とかく周りが「手癖が悪かった」とか「躾が甘かった」とか批判に終始しないことです。多少は家族歴・生育歴上の問題はあったことでしょうが、これは「脳の病気」であり、治療を必要とする状態であることを社会が認識することです。さもなくば社会的な偏見と差別ばかりが横行して、必要な診断・治療が行き届きません。これは覚醒剤などの薬物依存・乱用についても同様です。これを機に認識を改めましょう。
銀座泰明クリニック