過労自殺、過去最多の81人、心の病で労災急増、07年度
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2008-05-24 10:11
仕事のストレスが原因でうつ病などの精神障害になり、07年度に労災が認められた人は前年度の1.3倍の268人で、過去最多を更新したことが23日、厚生労働省のまとめでわかった。そのうち、''過労自殺''も15人多い81人(未遂3人含む)で過去最多。長時間労働や成果主義が広がる中、心の病に悩む人が増えていることを示した。
精神障害による労災請求件数も前年度比16%増の952件で、過去最多だった。
労災認定された人は、年代別では30代が100人と約4割を占め、次いで''20代''が66人、40代が61人だった。職種別では、''情報処理や医療福祉''などの専門的・技術的職業が75人と最も多く、工場労働者などの生産工程・労務が60人、事務が53人など。
一方、過労などが原因で脳・心臓疾患になり労災認定された人も、前年度より10%多い392人で過去最多。そのうち過労死は前年度より5人少ない142人だった。
認定された人のうち、脳内出血や脳梗塞(こうそく)など脳疾患が263人、心筋梗塞や狭心症など心臓疾患が129人。認定理由が「長時間の過重業務」だったのは362人で、このうち199人は残業が月平均100時間以上だ。
職場のストレス調査を30年近く続ける小杉正太郎・早稲田大教授(ストレス心理学)は「IT系や研究開発など、職位階層が細かくなく管理職の少ない職場ほど、多様な仕事を任され強いストレスにさらされがちだ」と指摘。過労死弁護団全国連絡会議の岡村親宜代表幹事は「精神障害の労災の請求件数に対する認定率が3割前後と低いのは問題だ。認定指針にあいまいな面があり、見直す時期ではないか」と話している。
asahi.com, 2008年05月23日
このニュースはまさに銀座泰明クリニックの患者様のご様子を反映した報告でもあります。20-30代のITビジネスに携わる方々の多くが過労・疲弊して、疲労・倦怠、不安・抑うつを呈されています。病感・病識あり、心療内科や精神科を受診される方はまだ良いほうで、病気であると気づかなかったり、具合が悪くても我慢していたりする方が圧倒的に多数です。事故や問題が生じて表面化する事例も少なくありません。今回の報告も氷山の一角であることでしょう。従いまして、時代や地域にあわせた職場のストレスを改めて識別し、精神医学・医療の知識・情報を提供していく必要を感じる次第です。そのためには、我々のような現場の医療者はもちろんのこと、厚生労働省・日本医師会・日本精神神経学会などの団体が中心となり国家的規模でプロジェクトを行っていく必要があると思います。
銀座泰明クリニック