藤宮 浩
フジミヤ ヒロシ相続税が還付される主な要因(3) ~相続税申告制度の話~
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今回は相続税が還付される主な要因(3)として、「相続税申告制度の問題点、自己申告ならではの落とし穴」というテーマでお話したいと思います。
私は常々、セミナーや講演会でお話をする際に、『相続税は「孤独な税金」』だと説明してきました。個人の確定申告や会社などの法人税の申告であれば、毎年毎年似たような作業の繰り返しですので、自分もある程度は慣れていますし、周りにも詳しい人がたくさんいます。
しかし、相続税は大きな基礎控除枠があるため、現行法では、全死亡者の内わずかに4.2%程度の方だけに課される税金です。その一部の人にとっても、一生に一度あるか二度あるかの税金ですので、周りに詳しい人も少なく、相談相手もいない、まさに「孤独な税金」です。
更に、相続税は自己申告制度ですから、固定資産税のようにお役所が調査して納税通知書を送ってくる訳ではありません。相続人自らが故人の資産を調べ上げ、その評価額を算出し申告する義務を負います。申告後、預貯金等の漏れや過少評価については徹底的に調査されますが、納め過ぎや過大評価を税務署側から指摘してくれることはまずありません。
皆さんもご存知の通り、相続税の申告期限は被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内です。
実際には、最初の2~3ヶ月くらいはお通夜やお葬式やら年金や保険の手続き、故人の準確定申告等といった慣れない作業に慌ただしく費やされてしまうため、申告のことを考え始められるのは四十九日法要が終わる頃、しかも、土地評価等は毎年7月に発表される路線価を基に算出しなくてはならないのです。自分の財産ならいざ知らず、別生計で暮らしていた故人の預貯金や有価証券を初めとする遺産や借金をすべて調べて把握するのは、とても大変な作業です。
それに合わせて、要因(1)でもお話した通り、不動産を的確に評価するにはとても複雑で専門的な知識が必要ですから、申告期限内に万全な申告作業を行うこと自体、困難な話なのです。
税務署側が申告期限から3年(最大7年)まで追徴課税が許されているのに対して、納税者側から更正の請求(過払いした税金の返還要求)ができるのは、現行法では1年以内。
これでは、「多少過払いで損をしても、追徴課税は受けたくない」といった『守りの申告』になっても仕方がないでしょう。申告作業に不慣れな税理士さん程、その傾向は強くなるようです。
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