私は３才児を含めた幼児を40年間教えて来た経験がありますが、３才児と言っても子供によりかなりの違いや差があります。中にはおませな３才児もいて、自分の言動で親を含めた周りの大人達が右往左往するのを、おちょくる様に楽しんでいるかの様な子供もいます。

子供というのは、周りの大人を見本として色々な事を覚えて行くので、親自身が自分で気付かずに、家族を含めた人間関係の中で言い訳をしていたり、嘘を言っていたりというのを見ているという事も考えられます。

又子供が言い訳をする場合、怒られる事が自分で分かっているので、それを避ける為に嘘を言いたくなるという事だと思いますが、それは子供がそういう気持ちになってしまう叱り方を親からされるからという事も考えられます。もし子供が「正直でいた方が良いのだな」と感じているなら、「私がこぼしたの。ごめんなさい」と素直に言えるはずだからですね。

又子供自身は親に構って欲しくてそういう言動を取っているという事も考えられます。例えば長々お説教されるのも、子供に取っては「親が自分に関心を持って、こっちを見てくれている！」という承認欲が満たされるという時間に感じている場合も多々あります。

いずれにしましても、私が思うに今までの対処では、言い分けや人の物を盗むなどの行為は直らないと感じます。何故なら子供自身は「叱られるからいけない事」だとは知っていても、「何故それをしてはいけないか？」という根本がちゃんと理解できていないと私は感じるからです。

ちなみにこれは私の経験談ですが、「まだ幼児だから分からないだろう」と思いながら過保護にあれこれ面倒を見る大人をおちょくる(＝それを楽しむ)子供に、「あなたはわざとしていますね？」と目を見て穏やかに言った途端、「この大人は見抜いている！」と感じたのでしょうね、それから言動ががらりと変わり、急にその子はお姉さんになりました。(・・・というより、本来のしっかりしたその子の姿に戻っただけですが。)

その子の急激な変化に、それまで一生懸命その子に手取り足取り構っていた大人達はとても驚いていましたが、言い訳や嘘を言う子供は、とても頭が良い子供でもありますから、「この大人は侮れない」という大人の存在は、そういう子供には必要だと思います。

他にも、親にはヒステリーになる障害のある子供が、私とコミュニケーションを取った途端に「この人は本当の自分を分かってくれている！」と感じたらしく、一瞬で私に心を開いて穏やかになった姿をその子の母親が目の当たりにしてショックを受けるほど驚き、「ああいう風に子供と接すれば良いのですね」と感動して下さった経験など含めて、沢山色々ありました。

私が何を言いたいかと言うと、匿名希望さんもそうなのですが、親御さんがキチンと子供を躾られておられるにも関わらず、子供に悪癖が出て来て直らない場合は、「今までと違うアプローチ」をされてみると子供の心が動き、非常に有効な場合があるという事なのです。

例えば私でしたら、ただ「してはいけない事」と叱るのではなく、怒りを持ち込まないで冷静に穏やかに「ねぇ、どうしてそういう事をするの？」と、まず子供自身の心を理解する事で、子供にも自分の事を考えさせる様に問いかけたり、

「そういう事をされるとママは悲しい」という事を正直に率直に伝えたり、「ママはあなたを信じていますよ」という事を真剣に伝えたりというアプローチなどが頭に浮かぶでしょうか。

後は「自分が大事にしているものを隠されたり、盗まれたりされたら、どう感じるか？」という事を実際に経験させて、「こういう事をされたら悲しい思いをするんだ」と、そういう事をされた相手の気持ちを分からせるという様に持って行くなどでしょうか。

子供は一人一人性格や個性が違うので、どういうアプローチが有効かは分かりませんが、子供自身が「正直でいた方が自分の為に良いのだ」「人の物を盗む自分は好きになれない」という事を自ら気付いていける様なアプローチを、焦らずに根気良くされて行かれると良いと思います。