藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「敷金を超える請求について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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アパートの退去時に敷金以外にお金を請求されました

住宅・不動産 住宅賃貸 2008/04/24 17:04

10年間住んでいたアパートを退去するにあたり不動産業者と立会いをした所、故意に壊したりリフォームをしたわけでもなくペットを飼っていたわけでも子供がいていたずらしたわけでもなく大人が2人で住んでいただけなのに現状回復をするにあたり敷金以外にお金を請求されました。壁のクロス代とクリーニング代との事ですが
当たり前のことでしょうか?大手不動産業者なのですが・・

おさおささん ( 山梨県 / 女性 / 43歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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敷金を超える請求について

2020/03/13 15:13

おさおさ様 
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、クリーニング代といった名目で請求される
ケースは割とよくあります。

しかしながら、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という
国土交通省住宅局の制定したものがあり、ガイドラインに該当しない
場合は必ずしも支払わなければならない訳ではありません。

標準契約書では建物の損耗等を
1.賃借人の通常の使用により生ずる損耗
2.賃借人の通常の使用により生ずる損耗以外の損耗
の2 つに区分しており、1は賃借人の原状回復義務がないと定め、
2は賃借人に原状回復義務があると定めています。

ガイドラインでは、建物の損耗等を建物価値の減少と位置づけ、
1A.建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
1B.賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
2.賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を
超えるような使用による損耗等の3 つに区分し、賃借人の居住、
使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、
善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による
損耗・毀損を復旧することと原状回復を定義しています。

ご質問内容からすると、原状回復義務等を負担する状況ではないように思えます。
ガイドラインには、賃借人の原状回復義務等負担一覧表などもありますので、
一度おさおさ様の状況と照らし合わせてみては如何でしょう。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf


なお、賃借人に特別の負担を課す特約というものもありますので、
契約内容も注意して確認してみてください。
その特約があっても必要な要件がありますので、単に書いてあるかどうかだけでなく、
そういった要件が満たされた特約であるかも合わせて確認してみてください。

◇賃借人に特別の負担を課す特約の要件
1.特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
2.賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて
認識していること
3.賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること


話の折り合いが付かない場合の一般的な流れとしましては、国民生活センターや
消費生活センターなどに相談へ行くことが多いかと思います。
専門家と解釈が合っているのか確認し、相手方の主張に対するアドバイス等を
もらい、そういった見解を伝えつつ大家さんや管理会社などと話してみると
解決することもあります。


敷金返還請求書の内容証明郵便で送るとか、少額訴訟といった状況までなっては
心身ともに疲労する事態かと思います。そこまで大事にならない段階で、
話し合いで解決できるためのアドバイスとなれば幸いです。

以上、ご参考になりましたでしょうか。
アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

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