藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「リバースモーゲージについて」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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リバースモーゲージを使えるのか知りたいです

人生・ライフスタイル 老後・セカンドライフ 2022/02/09 18:35

高齢の母親が父に先立たれた後に現在も元気で生活しております。ただ、少し心配な事があり
ます。それはボケが徐々に進んできており認知症になったら困るなという事です。母は足腰も
しっかりしており自炊し身の回りの事を今はしてますが、将来認知症になったら一人暮らしは
不安です。また、経済的には預貯金が多い方では無いので自宅以外の資産が無いのが現状です。
その為、認知症になる前に自宅を売却して老人ホームに入るのが私達子供の願いですが、母は
気持ちのしっかりしている今は家に住み続けたいという事です。この様な問題を解決する方法
としてリバースモーゲージが使えるのではと知人に言われましたがいかがでしょうか?老人
ホームの入居一時金を準備して当面は今の生活を継続するそれが子供世代と母の共通の願いです。

ma_minaさん ( 東京都 / 女性 / 52歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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リバースモーゲージについて

2022/02/10 11:29

ma_mina様
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、リバースモーゲージは自宅を担保に金融機関
などから借り入れするものです。
借り入れた資金の返済は死亡後に一括となるため、月々の返済負担はありません。
(固定資産税の納税義務はあります)
借りた資金は投資や事業資金で使えないことが多く、相続人全員の同意書や
一戸建てのみとなっていることも多いです。
65歳以上などの年齢制限のしばりもある為、老後生活の足しとして高齢者に
利用されてきたものです。

こういった資金の用途、年齢制限、物件種別、同意書の有無で問題がなければ
リバースモーゲージの利用は可能かとおもいます。
ただし、生存中に融資枠を使い切ってしまうリスクもあり、融資枠以上の
長生き時の生活も考えておく必要はあります。

また、他のご回答者様もアドバイスされていることですが、認知症等で
契約ができない場合もありますし、逆に不当な契約トラブルのリスクも
ございます。
もしお母様がご理解あるようでしたら、成年後見制度等を用いて後見人となることや、
判断能力があるうちに不動産を信頼できるご家族に託す「家族信託 」とすることも、
財産を守ることも一つの方法かと思います。


なお、リースバックという似た商品もございますが、リバースモーゲージ
と異なる内容も多く、利用の判断に幾つか違いについて記載させて頂きます。
リースバックの場合は、自宅や工場などの不動産を売却してしまい、
その購入者に家賃を支払うことで、その売却したはずの自宅や工場を
引続き利用することができるという仕組みです。

所有不動産を担保にして借入するリバースモーゲージより、メリットがあると
言われる一般的な要因に以下のような特徴があげられます。
・売却したことで所有権がなくなり、固定資産税の納税負担がなくなる
 (リバースモーゲージは所有権がそのままで納税義務あり)
・売却して得た資金の使い道が事由
(リバースモーゲージで借りた資金は投資や事業資金で使えないことが多い)
・年齢制限がない
(リバースモーゲージの場合は65歳以上など制限があることが多い)
・物件制限がなく、自宅以外にも工場や事務所なども対象となる
(リバースモーゲージの場合は一戸建てのみとなっていることが多い)
・所有者のみの契約で実行可能
(リバースモーゲージは推定相続人全員の同意書が必要になることが多い)


引っ越しや子どもの学区を変えることなく、売却して資金繰りしていることも
周囲にバレづらいことに加え、売却で得た資金の使い道は自由です。
事業の運転資金でも子供の学費でも、消費者金融への返済でも投資資金でもOKです。
これだけ見ますと、リバースモーゲージはデメリットのない印象になりますが、
月々のリース料は相場の賃料より高く設定されていることが一般的です。
買い戻しをする際も、売った金額より高くなります。
また、住宅ローンなど不動産担保ローンがある場合、その残債と売れる価格の
差額が手元資金となります。
残債が多い場合は利用できないことや、手元資金が少ない場合もあります。

リースバックの場合、売却する不動産に余力があれば、その売却資金(残債との差額)の
自由度と間口の広さ、将来的な買い戻しへの需要で、ある程度若い人向けとも言えます。
もちろん、これまで説明してきた資金用途の自由度や年齢制限不問等は、
あくまで一般的なお話です。
リースバックによる売却後もその物件に住み続けることを前提に
売買契約(売り契約)を締結する訳ですが、その契約が相手方に
有利な条件であったり、買い戻し特約など設定されてなく、
買い戻し時にトラブルとなったり、賃料設定の適正度や賃貸借の期間、
思いがけない退去要求といったトラブルにもなりかねない定期借家契約か、
普通借家契約であるかなど、その契約内容如何で利用状況の良し悪しは
大きく左右されます。

リバースモーゲージよりリースバックが有益といった内容の方が
多い感はありますが、利用する方の状況や要望によって一長一短が
ございます。
ma_mina様がリバースモーゲージやリースバック、または成年後見人制度や
家族信託の利用を検討する際は、上記のようなリースバックでの注意点、
利用者の状況をふまえたアドバイスや希望条件のヒアリングが行える、
最低限の知識と誠実さをもった業者選びが一つの安心材料になるかと
思います。

以上、ご参考になりましたでしょうか。
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