藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「空中越境について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
Q&A回答への評価:
4.6/435件
サービス:6件
Q&A:1,129件
コラム:387件
写真:3件
お気軽にお問い合わせください
03-5773-4111
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

空中の境界問題について

住宅・不動産 住宅・不動産トラブル 2019/12/24 02:23

隣の空き地に住宅が建つ事になりました。
3日程前に空き地を売ったと思われる不動産屋から
我が家の物置きの空き地に面している「屋根の部分のみ」が3cmほど
境界からはみ出している旨を指摘されました。
家を建てる方は境界ギリギリに建てるそうで、このままでは家を建てられないとの事です。
早急な対処を求められています。
不動産屋の話では建設業者がこの件を役所に相談したところ役所では
隣家(我が家)に相談するよう勧めたとの事でした。
そこで我が家の物置が「屋根部分のみ」が境界をはみ出しているにもかかわらず
なぜ建てる事が出来たのか?が疑問になるところですが、想像するに
築46年の為、空き地側に傾いてしまったのでは?と感じています。
(今年は震度5強という地震にも合いました。幸いに母屋は壁に軽いひびと
物置きは傾いた?以外は目視では被害は見当たりません)

今週末に不動産屋が話し合いたいと言っています。
「業者も(屋根をどうにかする?業者なのか・・)紹介するので早急に返事を」と
促されているのですが、ここでアドバイスを頂きたい点は以下の2点です。

1.話し合う際にどんな事に気をつけて話し合いをすればよいかです。
はみ出しているこちらに落ち度があるので何らかの対応をしなくてはいけませんが
業者を紹介されるままに二つ返事で工事を受け入れる事に不安があります。
2.このような件は法律的にはどうなのでしょうか?強制的に工事をしなくてはいけないのでしょうか?
空中の境界についての扱いを調べてはみたのですがよくわかりません。
この質問の意図は我が家は高齢の母との二人暮らしで金銭的な余裕がまったくなく
工事を受け入れたくともお金の算段がつかない以上は安易に受け入れられないという辛さがあります。

不動産屋は「屋根を切れば問題ない」という話をしていますが
我が家の物置は母屋を小さくした作りで屋根もトタン一枚的な作りではなくスノーダクトという
北国ならではのしっかりとした作りになっています。簡単に工事が済む事ではないように思います。
ましてや傾いているのであれば将来的に考えて屋根だけの問題ではないように思います。

このサイトで似たような相談を検索してみたのですが数あるご回答のどの部分を参考にしたら
良いのかがわからず質問が重複しているかもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします。

yoshiha12さん ( 北海道 / 女性 / 53歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

3 good

空中越境について

2019/12/24 10:49
( 5 .0)

yoshiha12様 
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、原則では、被越境の土地所有者は、越境物の
所有者に対してその撤去を請求することができます。
これは上空であっても、土地所有権を侵害していることになるからです。

越境に関しては良く時効取得といって、10年や20年といった期間、所有の意思をもって
平穏かつ公然と他人の物を一定期間占有した場合、土地や建物などを時効で取得できる
制度の話がでてきますが、空中設置物の設置をもって敷地の占有とは認められない
という判例もあり、その線での主張は難しいかと思われます。


但し、ちょっとした越境の解消に多大な費用等が掛かり、その越境が大した損害等を
隣地へを与えているとはいえない場合、民法における権利の濫用として認めないことも
あります。

これは、どれほどの越境なのか、隣地への損害や被害はどの程度なのか、
越境解消の難易度や費用など、総合的にみて判断されるものなので、
一概に現況のままで大丈夫とも解消が絶対とも言い切れません。

隣地の敷地形状や広さがどれほどのものか分かりませんが、3センチの越境が
越境解消を絶対的なものとするほどの損害を出ているとは、考えづらい
印象があります。

スノーダクトを単に切ることでどのようなリスクがあるか、費用や必要な工事など
屋根専門の業者に確認してみては如何でしょう。
合わせて、隣地の建物が3センチ広く建てられない敷地なのか、若しくは配置を
変えればすむことなのか、yoshiha12様に自己負担で行わせるに見合う主張なのか、
事前に確認し話し合いで摺あわせてみては如何でしょう。


質問1に関しては、越境しているからとって、必ずしも相手の言いなりになることは
ないというのが注意点の一つです。
また、内容の分からない書面にも自己判断で記名押印はしないことかと思います。
当然、相手方も一般的な解釈より自分たちが不利な条件等は提示してこないので、
書面の取り交わしでは専門家に内容確認後、応じるか決めることはマストです。

質問2に関しては、先に説明した通り、必ずしも自己負担で解消するケースばかりでは
ありません。相手方は損害の程度と考慮して、濫用とならない範囲で権利行使するものです。
敷地の大きさや建物の配置、建物の配置を変えることで希望の広さが確保できるか、
yoshiha12様が安全な屋根の切断工事をする際の費用負担等含め、着地点を擦り合わせて
いけるよう話を進められると良いかと思います。

一般的な着地点としては、互いに境界ラインや現状の越境物と越境の程度を確認したこと、
yoshiha12様が建替えする際は越境を自己負担で解消すること、それまで相手方は
現況のままであることに異議申し立て等はしないこと、どうしても先に解消が
必要な場合、常識的な工事費用を相手方負担を前提に協議の上決定すること、
第三者に譲渡などする際はこの取決めを継承させることなどを、書面に明記し、
互いに記名押印するといったものが多いかと感じます。

ストレスの掛かる状況と察しますが、yoshiha12様にとってベストな問題解消に
役立つアドバイスとなれば幸いです。

以上、ご参考になりましたでしょうか。
アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

評価・お礼

yoshiha12 さん

2019/12/25 13:56

早速のご回答ありがとうございます。お礼が遅くなりました事をお詫びいたします。
近く不動産業者と建設業者が来訪しますが、ご回答いただいた内容に留意して
事にあたりたいと思います。一般的な着地点を示して頂けた事で
私がどういった事を考えなければいけないのか、そして何をやらなくてはいけないのか等も
把握でき大変ありがたく思います。

また、私の拙い文章から何を不安に思っているかを読み解き
内容を的確にご回答いただいた事に感謝いたします。
本当にありがとうございました。

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真