藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「古屋付き土地の売却について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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古屋付き土地の売却

住宅・不動産 不動産売買 2017/08/31 20:01

現在住んでいる家は築30年の一戸建てで、もともと賃貸で借りてた家を購入しました。賃貸で一年、購入して二年をすぎました。

売却をするために仲介業者と契約をしたのですが、その際に土地の瑕疵担保責任についての説明を受けました。免責だと買い手の心理的なものから売れにくいとのことで、基本的には瑕疵担保責任を負うような契約になるとのことなのですが、万が一地中に廃棄物等が埋まっていたらと見えないだけに不安です。

一般的には免責よりも数ヶ月は瑕疵担保責任を付けるものですか?
その場合はどれくらいの期間が妥当ですか?

それと、普通は売主が測量をして売却するものと聞いたのですが、私たちが購入するときに測量はされていませんでした。
今回の売却にあたり測量費用もかかるのですが、買主に負担していただく、もしくは折半などだと売れにくくなりますか?本当に一般的には売主が負担するものなのでしょうか?


前所有者が仲良くしていただいていた大家さんだったので、細かいことなどほとんど信用しきってしまっていました。大家さんは60代ご夫婦、私たちは20代夫婦と子供たちで「悪いようにはしないから」という言葉を信じましたが、いざ売る立場になって勉強をすると、あれ?ということが多く、何も分からないと足下を見られていたのかなと感じてます。

売却では失敗したくないです。

補足

2017/09/06 16:16

どこからお礼を書いたらいいのか分からなかったので、補足から失礼致します。

夫にも説明し、仲介さんに免責にしてほしいと伝えてもらいそのような方向で進めてもらえることになりました。

売れてもなんだかスッキリしないな…
という不安な気持ちもなくなり、本当に相談してよかったです。
ご丁寧なご回答ありがとうございました!

じにーさん ( 東京都 / 女性 / 25歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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古屋付き土地の売却について

2017/09/01 14:32

はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
不動産売買の慣習の不明点や、費用負担への不安など、分からないことが
大変なストレスになっている状態と察します。

ご質問いただきました件ですが、個人売主の一般的な売却において、
瑕疵担保責任を免責とすることは決して珍しいことではありません。
仮に瑕疵担保責任を設定する場合は、引渡しから2ヶ月や3ヶ月が
一般的な期間です。

今まで個人の方が売主の売買は数百件と経験しましたが、3~4割は
免責であった印象です。
設定されている場合も3ヶ月を超える期間はなかったと思います。

測量に関しては、新たに行われていないことの方が多いと感じます。
個人である売主の負担で測量を行っている場合は珍しい印象を受けます。
販売を主とする業者に売却(業販)する場合は、測量を求められる場合が多い
ですが、個人が仲介に販売依頼をして、ネットやチラシで行う一般的な
販売活動でしたら、新たに測量していないことは多々あります。


売却依頼を受けている業者のおっしゃっていることには、確かに一理はあります。
購入後、なにかあった際に損害賠償の余地がある契約と、それが無い契約でしたら、
前者の方が購入してもらえる可能性が高くなります。

しかし、じにー様もご自身の購入時を思い出していただけると分ると思いますが、
不動産売買の常識や慣習を知っている方はほとんどいません。
「瑕疵担保責任は免責とします」「購入後、発生する費用は買主負担です」と説明
されれば、そのようなものかと、案外納得して購入する方が多いと思います。
また、契約条件は売主買主で交渉・調整して決定することでもありますから、
免責としておいて、その説明を受けた買主が納得できなければ、瑕疵担保責任を
どうするかといった話し合いで決定することもできます。
初めから希望しない瑕疵の責任を負うものとしなくても良いのです。


今回の売却活動で問題があるとしますと、その費用負担や瑕疵担保責任を負う
じにー様ご本人が、そのメリット・デメリットを比較し熟慮しないまま、
例え購入が決まっても不安を抱えることになる状態で販売活動が行われて
いることです。

瑕疵担保責任を付けるメリットは、無いよりあった方が売れやすいと
思われるところです。
デメリットは、じにー様の不安通り、とても払える金額ではない瑕疵が
発見され、その費用を負担しなくてはならないところです。


購入時に地盤調査や土壌汚染調査、埋設物調査などが行われており、
ある程度安心できる物件であれば良いかもしれませんが、何が出て
くるかまったく分からない場合は慎重さが必要です。
物件に問題があるかどうかは、それなりの調査が必要ですから、

自身が住んでいて不便がない程度では判断はできません。
瑕疵とは知らなかった問題点のことですから、前所有者が
例え悪いようにしないと言われても、そういった調査がされていない場合、
前所有者の大家さんも知らない瑕疵の可能性は当然あります。


大変な大きさ・量の埋設物撤去となれば数百万・数千万かかることも
あるのが瑕疵のコワイところです。
3000万で売却できても、瑕疵担保責任で500万負担することになれば、
2500万でしか売れなかったということにもなります。

でしたら、相場よりちょっと安い2800万で瑕疵担保責任を免責とした方が
リスクなく購入希望者を見つけられるかもしれません。
それとも高めの希望金額、リスクのない免責条件で販売を始め、
購入希望者が現れなければじにー様が妥協できる部分でアプローチを変えるなり

購入希望者から瑕疵担保3ヶ月などの要求があってから、応じるかどうか、
免責のまま金額の値引きで納得してもらえないか交渉という段取りでも良いのです。



ちなみに、いくら古屋付き土地といっても、購入後に買主が解体建替え
予定といっても、引渡し時も古屋が存在する物件の契約は「土地」でなく
「土地・建物」の売買となります。

契約の内容によっては、建物に関しても瑕疵担保責任がある作りとなって
しまっている可能性もあります。
古屋というくらいですから、建物の瑕疵まで負う内容なら問題です。


売却依頼を受けた業者は、その物件が売れなければ手数料をもらえませんから、
「早く売りたい」「買主が高値でも買いやすい条件で販売活動をしたい」
という意識が、ある程度雑な対応に反映している可能性も感じます。


金額は幾ら以上でなければ売りたくないなど最低ラインはあるか、
いつまでに売りたいなどのリミットはあるか、
急いでいるかじっくり待てるか、
瑕疵担保などリスクを負っても購入条件を高めて売るのか、
安価で長く待ってもノーリスクで売る方がよいのか、
じにー様がどういう売却をしたいのか意見を聞き、それを考慮した販売活動が
できていないという印象です。



契約条件で決まってしまえば、測量費用や瑕疵担保責任は業者でなく売主となります。

業者の言い成りになる必要はありませんし、免責・測量なしなどの条件設定は自由です。
どれも交渉に応じながら後々考えたり、妥協して応じるのか値引きで落ち着かせるか、
契約する前であれば、どういった条件で締結するかの協議・調整をできます。

業者が売ること、手数料をもらうことばかりに意識がいっているようであれば、
自身で設定してはダメな条件、負えない責任、妥協できる条件、販売金額や期限など、
しっかりと意思表示し、契約書なども第三者にチェックしてもらい修正があれば
指摘するなど、じにー様の意思や条件に沿った販売活動を展開してもらうべきです。


同じ物件の売買でも、その条件や売り方次第で満足いくものか、不満と負担ばかりが
のこる売却になるか大きく変わります。
後々、思ってもみなかったという売却にならないよう、じにー様にとってベストな
判断・選択のお役になれば幸いです。

以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

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