藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「賃貸物件の退去について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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大家からの退去勧告

住宅・不動産 住宅・不動産トラブル 2017/05/17 11:43

分譲賃貸に10年ほど住んでいます。これまで、家賃滞納もなく(少し遅れたことはありますが),昨年6月に最終更新をしました。
今年4月に、家主から、息子を住まわせたいから部屋を出てほしい、すぐではないけど、よろしく、更新料はお返ししますから、と電話がありました。
家主都合の退去なら、転居費用は全て持ってもらいたい、と要望すると、あなたが私に入居時に払った金額を上限に、と条件をつけてきました。
私は、それに了承はしないが、探す努力はし、再交渉を考えました。早期に退去の意思を示せば交渉可能と考えました。友人、知人にも相談し、今回のケースなら家賃2年分請求していい、との不動産関係の方からのアドバイスもありました。
一応転居先を見つけ、見積りをだし、家主の提示額では足りないこと、家賃2年分請求できるとの話もあるが、1年分で払ってもらって、速やかに退去しましょう、と、こちらの要望を提示しました。
すぐに返事があり、そんな支払いは想定外だ、じゃあ、早期退去の件は撤回する、だけど、次回の更新はご遠慮ください、と言ってきました。
このようなケースでは更新拒否に応じる必要がないことは解っていますが、信頼関係がなくなった家主の物件に住んでいくことも辛いですし、今後設備の故障の際や、退去の際の金銭トラブルなどが不安です。
代理人を立てて、早期退去の方向で再交渉してみたいと思いますが、頼れる人がおらず、この場合、どんな方に相談できるか、仮に代理人をお願いするとしたら、どのくらいの費用が必要かなど、教えていただければ助かります。よろしくお願いします。

うりさんさん ( 東京都 / 女性 / 51歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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賃貸物件の退去について

2017/05/22 14:41

はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。

うりさん様、精神的な不安やストレスのかかる日々をお過ごしと察します。

ご質問いただきました件ですが、弁護士や行政書士などの法律の専門家への相談が

一般的となります。

但し、行政書士の場合は代理人となって相手方と交渉することは原則できません。

現状ではサービスとして無償で行っている方もいるかもしれませんが、

非弁行為として突かれてしまうと、依頼の途中でも対応してくれなくなる

おそれはございます。


また、弁護士含め法律の専門家と言いましても、分野によって得意不得意がございます。

知らない分野で未熟な先に依頼してしまうと、無駄に状況を悪化させる可能性もあります。

弁護士、行政書士、司法書士、どこに依頼するかというより、不動産賃貸に関する紛争を

専門にしている法律家で、実績や経験年数などがしっかりしているところを探すという

スタンスが大切になると思います。

依頼する際の費用は、依頼先の実績や事務所の規模、その他の要因からも設定されている

金額はまちまちです。

成功報酬として、得ることのできた立ち退き料に対するパーセンテージも変わります。

同じ事務所でも家賃や請求する金額によって変わりますし、書類作成料などもかかること

が多いです。

依頼したいと思う先を幾つか見付け、そういった費用をヒアリングしてトータル的な

金額の比較を行うと良いと思います。

ちなみに、当社の顧問弁護士で過去にやり取りした際では、家賃8万円の賃貸アパート

からの立退きを拒否する賃借人の代理人となるいことについて、大家の代理人(弁護士)との

交渉の窓口料として10万円前後、得られた立退き料の10%、書類作成料が若干かかる程度

という目安がありました。費用の試算の参考になればと思います。






尚、質問文から感じる状況について、大家は退去を急いでいる感が然程ないように感じます。

うりさん様がおっしゃる通り、更新拒否には正当な事由が必要ですし、今回のケースは

正当な事由にはならないと思いますが、注意が必要なことがございます。

また、退去をお願いする際には立ち退き料が数ヶ月分単位で発生していることも

よく有りますし、裁判でも立ち退き料を認める判例もございます。


但し、この立ち退き料は、退去を求める際の大家の義務ではありません。

また、賃借人が大家に請求できる権利をもっているという類でもないのです。

その為、正当な事由ではないけど、大家側がどうしても退去を急ぐ場合、

多くは金銭の支払いで合意解除を取ることになりますし、合意解除をしなければ

賃借人は居座れることにもなります。


しかし、賃貸借契約には途中解約の取決めが設定されていることが多いです。

おそらくうりさん様の賃貸契約にも設定があるかと思いますが、賃貸人は半年前までに、

賃借人は1ヶ月前までに告知することで、途中解約が有効となります。

仮に今、途中解約の申入れがあれば、半年後には立ち退き料などもなく退去しなくては

いけない可能性がございます。

大家が特段退去を急いでいない状況の場合、契約通り有効となるだけの期間を設けて、

解約を申し入れてくる可能性が高くなります。



また、新しい住まいを探し出すと、時期によってはなかなか見付からず、

半年程度の時間は割りと直ぐに経ってしまうこともあります。

引越しが多くなる時期は空き物件も増え、入居募集も増えるので探しやすい環境には

なりますが、そういった時期、退去・引越し時期がかさなると、馬鹿にならないのが

繁忙期により割高になる各費用です。

引越し業者に頼む際、今なら2LDKから家族4人の引越しで5万円程度の相場が、

繁忙期になると30万オーバーということも当たり前にございます。


パンフレットにも相場の5万程度は明示してありますが、シーズンに関する注意書きは

「繁忙期は割高となります」程度であることが多く、見積もりをとって面食らうことも

多いと思います。

3月や4月上旬などに退去・引越し時期がかさなりそうで、引越しは業者にお願いするなど、

引越しに関わる費用が生じることには注意が必要です。

繁忙期で料金が高くなる、または各関係各社の対応が遅くなるなど、想定していた通りの

段取りが取れず、出て行くにいけない状況などにも注意が必要かと思います。




こういった身勝手な大家の物件で、今後も生活を続けることは考えづらいでしょうし、

引越しも視野にあるかと思いますが、その期日を大家の途中解約申出などで決められ、

期日いっぱいまで居座ろうとしてベストな選択をできなくなってしまうのは、

うりさん様にとって有益ではないかと思います。

住み続けることは考えていないという前提であれば、引っ越すにしても、

より有益でお得な選択のお役に立てるアドバイスになればと思います。


以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

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