藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「ご主人名義の不動産売買について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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夫名義のマンション売買

住宅・不動産 不動産売買 2017/05/12 20:35

離婚する、しないで揉めている夫婦の住居に関する質問です。

主人名義の家に私と子供が住んでいます。
不倫し離婚する為に主人が勝手に別居し、自分名義の家を売却すると言って不動産会社に査定をしています。

弁護士に相談したところ、離婚するかしないか決まってないし、ご主人からの離婚請求はできないので今は家を出て行く必要はありませんと言われました。
そのような状況ですが、不動産会社の方は名義人が売ると言ったら、住んでいる私に何も言わず広告など出して売り出しなどしてしまいますか?

匿名ちゃんさん ( 三重県 / 女性 / 54歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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ご主人名義の不動産売買について

2017/05/13 15:57

はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。

匿名ちゃん様、精神的また生活への大変な不安、ストレスのかかる毎日を過ごして

いらっしゃると感じます。

ご質問いただきました件ですが、不動産業を営む側としての回答は、その不動産の

名義人であるご主人が売却を依頼してきた場合、業者としては販売活動を行うこと

になると思います。

そういった事情を知っていれば、人情的または業務上の問題を危惧して、売却依頼の

受任を一旦保留する可能性はあります。

しかし、名義人である本人が特段事情の説明もなく、単に売却を依頼してきただけで

あれば、そういった事情を知らない業者は当然に販売活動を始めます。

また、匿名ちゃん様が気付き、それら事情を説明の上販売活動の中止を求めても、

売却依頼の媒介契約などを締結していれば、まったく何の活動もしないこと自体、

売買成立に向けた積極的努力を履行していないなどのクレームにも注意が必要な

業者としては、ご主人寄りの意見を採用して動く可能性があるかと思います。





匿名ちゃん様が、今後、離婚に向けた動きになるのか、お子様や生活を考えて

別の選択をされるのか、望んでいることや起こりうる展開は分り兼ねますし、

離婚を専攻とする法律の専門家でもないのですが、現実的な注意点として、

いくつかお役に立てればという確認事項をあげておきます。




まず匿名ちゃん様の心配事として、ご夫婦としての関係の修復がどうか以外では、

「居住できる場所はどうなるのか」「仮に離婚となった際の財産分与」といった

ところがあるのではないでしょうか。



現在の住まいがご主人名義のマンションですと、厳しいお話ですが匿名ちゃん様には

法律上の居住権原はないという見解になると記憶しています。

今は離婚している訳ではないので、夫婦協力扶助義務(民法)での居住の利益を得ている

という状況だと思います。

仮に離婚が成立したり、離婚していない状態であっても、ご自宅が売却されてしまえば

家を出て行かなくてはいけないことが十分に考えられます。

但し、離婚前に自宅を売却されたことに関しては、協力扶助義務を履行せずに生じた

損害の賠償請求ができたと思います。





離婚となった際の財産分与に関しては、ご主人が不動産を購入された時期が重要です。

ご存知かもしれませんが、婚姻中に購入されたものであれば、夫婦の共有財産となり、

財産分与の対象になります。

しかし、結婚するより前に取得した不動産や、あまり知られてはいませんが、

相続で取得した不動産なども財産分与の対象にならなかったと思います。

不動産を取得した時期や経緯によって判断されるので、専門家に状況説明のうえ

確認しておく必要があると思います。



尚、匿名ちゃん様にとって、財産分与の対象であると確認できた場合でも

安心はできません。

名義人であるご主人は売買自体できますので、金銭に換金されれば、不動産と違い、

隠すことも容易ですし、浪費されてなくなることもあります。



匿名ちゃん様が相談に行かれた弁護士の方は「離婚するかしないか決まってない」

「今は家を出て行く必要はない」とおっしゃっているとのことですが、

今は住めていても、離婚が成立していなくても、売却されてしまえば住み続けることは

できない状況になる可能性が高いです。


ご主人が売却して得た金銭を、隠したり浪費してしまえば、その後の財産分与でも

匿名ちゃん様にとっては不利益でしかないと思います。




・ご主人名義の不動産である限り、ご主人のみの意向で売却は可能。

・ご主人は売却に向けて査定をするなど動き出している。

・不動産業者は依頼があれば受任し、販売活動をする可能性は高い。

・売買または離婚が成立すれば、今の家を出て行かなくてはいけない可能性が高い。

・自宅が共有財産であっても、売買で換金された金銭を隠す、または浪費され、
離婚に至っても匿名ちゃん様の取り分に良くない影響の可能性がある。



こういった状況で弁護士の方の回答は、少し危機的な説明が不足している

とも感じます。



決して離婚を促してる訳ではございませんし、ご主人が想い直し、

匿名ちゃん様も許せる状況で仲が戻るのであれば一番良いのでしょうが、

どれだけの危機があるか、離婚も視野にいれた防御策を取るなら、

どのタイミング迄に、どのような方法があるのか。



ご自宅が財産分与の対象であれば、売却を禁止する仮処分を出すよう裁判所に

申立てすることは可能だったはずです。

住む場所の確保や、万一離婚となった際の取り分の確保に、知っておくべきこと

だと思います。



慰謝料や財産分与請求権をご主人に主張し、可能な交渉はどのようなものがあるか、

毎月の慰謝料代わりに、不動産の名義を匿名ちゃん様に変更するといったことは

ありうるか。

住宅ローンなどが残っていれば、そのローン契約の名義に、自身が連帯保証など

なっていないか。

ご主人単独のローン契約であれば、名義はご主人のまま、不動産の名義を

匿名ちゃん様にすると、ローン契約上の違約として一括返済などは請求されるか。

またはご主人の支払いが滞った際に自身で支払っていける支払い額なのかなど、

事前に確認し、知っておくべきことは多いと思います。



それらを確認・認識した上でなければ、お気持ちの整理や、後々になって後悔しない

状況を理解した上での選択、判断・決断もできないのではと考え、思いつく限りで

書かせて頂きました。

しかしながら、そういった法律の専門でもないので、具体的な法的手段というより

注意喚起程度の内容ですみません。




また、そういった法的な手続きや動きは、ご主人の改心する機会を逃してしまったり、

今の動きに拍車をかけてしまうことも考えられます。

冷静にと言っても難しい状況と察しますが、法的な権利なども含めた状況、


匿名ちゃん様の出来ることを理解した状態で、もっとも望む結果のお役に

立つアドバイスであれば幸いです。


以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

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