藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「中古住宅の解約について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
Q&A回答への評価:
4.6/435件
サービス:6件
Q&A:1,129件
コラム:387件
写真:3件
お気軽にお問い合わせください
03-5773-4111
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

中古住宅 契約後のキャンセル

住宅・不動産 不動産売買 2017/05/12 16:22

中古住宅を購入しました。
手付金を支払い契約も済んでいます。
売主の許可をもらい住宅診断をしたところ、基礎に1点気になるところがありました。
きちんと補修をすれば住むには問題ないとのことです。

しかしやはり不安です。
補修をしたからといって本当に安全なのか(建築士は大丈夫と言っています)

この時点で解約を申し出た場合、手付金は返還してもらえますか?
(手付金を支払ったのは3ヶ月以上前、残金はまだ支払っていません)
また、住むことが出来ないなどの欠陥でない限り、このような理由でキャンセルした場合
違約金など支払わなければいけないのでしょうか。

あまりお金がかかるようであればこのまま進めますがそうでなければキャンセルをしたいと思っています。

mayyamさん ( 栃木県 / 男性 / 35歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

- good

中古住宅の解約について

2017/05/12 18:25

はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。

ご質問いただきました件ですが、居住目的で購入し、建築士が居住に問題ないと

判定している以上は、瑕疵担保責任による契約解除などはできません。


その状況をふまえて、契約後に買主または売主の都合で解約する場合、

まず考えられるのは、買主が支払った手付金を放棄することで出来る契約解除です。

これについては売主側にも同様の権利があり、受領している手付金の返還と、

その手付金と同額を支払うこと(手付け倍返し)で解除が可能です。



但し、この「手付金放棄」「手付け倍返し」での解約ができる期間には限りがあります。

契約日から1ヶ月程度という設定が、よく目にする一般的な期限ではないかと思います。

契約が3ヶ月以上前とのことなので、この期限を経過している可能性がございます。

売買契約書や重要事項説明書に、手付解除期日が記載されていると思いありますので、

確認が必要となります。



この手付け解除期日を過ぎてしまいますと、mayyam様が手付金は放棄すると言っても

契約は解除できませんし、逆に売主が手付けを倍返しすると言っても契約解除は

できません。

買主には売買代金の支払いという義務があり、売主には物件の引渡しをする義務が

あります。

売買代金の支払いをしない場合、その責任を果たさない債務不履行となりますので、

相手方に賠償請求される立場になります。

この損害賠償請求にはどれだけ損害があったのか、その計算の裏付けを立証したり、

相手に納得させるなどの手間もありかなり面倒な作業です。

そのことから、多くの不動産売買では契約時に、請求できる損害賠償額を予め決めて

おくことが殆どです。



これは契約上では、違約金と言われているものです。



違約金の設定により、請求する側は、実際の損害額を立証する負担が軽減されます。

通常は売価の10%~20%が多く、例えば売買価格4千万円の物件であれば、400万円や

800万円といった金額になりますから、多くは手付金よりも大きな金額となります。

金額を決める取決めなので、違約金を超える損害が発生した時でも、違約金を超える

金額については請求することができませんし、また、損害が違約金より少ないときでも、

違約金の減額を求めることはできないことが一般的です。


こちらについても、契約書や重要事項説明書に、パーセンテージ表記などで

説明があると思いますので、確認してみて下さい。






尚、ペナルティの発生なく解約する方法もございます。



例えば、住宅ローン特約があれば、審査による承認をいつまでに取得するという

期日・期限が設けられていると思います。

事前審査が通っている場合、余程のこと(時前審査時には考慮されていなかった否決原因に

値するマイナス要因発覚等)がなければ、本審査も通らないことは稀ですが、万一、

ローンの否決やローン承諾期日までに承認が間に合わなかった場合は、ローン特約で

白紙解約できる条件(手付金も買主に返還)になっていることが多いです。



他にも、売主側の了承が必要になりますが、互いにペナルティなしでの解約で

合意できれば、合意解除が可能です。

万一、mayyam様との契約での金額以上で、その物件を買いたいという購入希望者が

いるようであれば、高く売りたい売主であれば合意解除に乗る可能性はありますが、

これに関してはタイミング的にも難しいと思います。

お願いにあがる振る舞いや、解約したい理由、売主側の人間性で通る場合もある

一つの解約方法というものです。





尚、この契約解除に関しては、手付解除・違約解除・合意解除の、どの解約状況でも、

それが売主・買主どちらの都合の解約だったとしても、仲介手数料については

注意が必要です。

仲介手数料の支払い義務は、別の契約(媒介)で取り決めているということです。

mayyam様が購入を不動産業者に仲介してもらっている場合、媒介契約を結んで

契約業務を進めてきたはずです。

この結果、契約が成立すれば業者に仲介手数料を支払うことになりますが、

この仲介手数料は物件探しや購入契約までの色々なことをお願いする媒介契約で、

通常は、売買契約が締結されたときに支払い義務が生じます。


既に売買の契約は締結されている段階なので、仲介手数料を支払う義務を負っている

可能性が高いですし、支払い済みの場合、売買契約が解除となっても仲介手数料は

戻ってこない可能性が高いということです。





中古住宅につては、建ってからの時間が新築より経過しているからこそ、

出るべき欠点はすでに表面化していることが見込まれます。

これはチェック時のメリットです。

今回は建物診断の結果で、居住に問題ないという判定がされた戸建てとなって

おります。


仮にmayyam様が住まない場合でも、建物診断で大きな問題はない建物という

触れ込みはプラスであると思います。


契約解除以外にも、転売した際の相場・売却可能額を考え、違約金や仲介手数料などより

少ない損失であれば転売も視野に入れてみたり、賃貸相場をみて、借主が直ぐに見付かる

賃料でもローン返済に問題がなければ、他人の支払いで資産をもつという選択もあります。

(エリアや相場状況によっては売却益が出る場合もありますが、売却が困難ですと更に損失が大きくなる可能性も有)




売買でも媒介でも、その契約内容については細部にわたる確認や精査が

必要となりますので、ある程度こちらで仮想した状況での回答となって

おります。 一般的な商慣習や契約条件からの注意点ですので、

実際に取り決められている契約内容と異なる可能性もありますし、

せっかくの契約を解除するのは少し残念な気も致しますのが、

良い選択のお役に立てに、mayyam様の利益となるアドバイスであれば幸いです。


以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真