藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「不動産売買について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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不動産売買について

住宅・不動産 不動産売買 2017/01/07 00:04

何かアドバイスがあればよろしくおねがいいまします。
8月に仲介業者、建築業者も立会いのもと売地の測量をしてもらいました。翌月には(2週間後)には契約ができます。契約時には手付金、その後何週間(?)以内に残金を払ってもらいますと言われていました。その直後、その土地を相続する方の一人がお亡くなりなり、このため実際の契約が延期となりました。相続する方がなくなったことに関しては仕方がないと思うのですが、最近になり相続の手続きが完了し、いざ土地売買の契約となった際に手付金の支払い、翌日には全額を払ってもらいますとの連絡をもらいました。早ければ2週間以内に契約をすると言われていたはずですが、売り主の都合で待っていた挙句、契約の翌日には全額を支払うというような一方的な条件に何となく納得がいかないのです。翌月に全額を払わなければならないのであれば手付金の意味はあるのでしょうか?売り主の都合で契約が遅れたことに対するストレス、不都合に対してはなにか保障してもらえるすべはあるのでしょうか。何かアドバイスがあればよろしくお願いいたします。ちなみに相続を請け負っている方は弁護士さんです。どう考えても口では全く歯が立たない相手なのですが・・・

sokkuriさん ( 石川県 / 男性 / 44歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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不動産売買について

2017/01/07 19:51
( 5 .0)

はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。

契約後、翌日には決済という流れはsokkuri様が危惧される通り、通常では

あまりない段取りです。

売主側の都合でこのような契約の運びとなるストレスは大変なものと察します。

ご質問いただきました件ですが、実際に契約が成されていない段階ですと、

残念ながら法的なペナルティを課すことはできないのが現状です。



しかし、法的なペナルティや損害賠償ではなく、別の角度から交渉する余地は

あるかもしれません。


通常では有り得ない段取りで決済を急いでいる理由を、仲介の不動産業者などから

確認してみては如何でしょう。

相続税の支払いや他の理由でも、早急に現金が必要な状況であれば、

売買価格を相場より下げても今すぐ売却できることを優先し、

通常なら通らない値段交渉が可能かもしれません。

法的に強制力のない慰謝料的な請求より、こういった交渉から、実質sokkuri様が

得する方法が実現できる可能性もあるのではないでしょか。




また、質問内容から売主が個人(宅建業者でない)の方と思いますので、

今回の売買は個人間売買として注意点を説明致します。

売主が宅建業者であれば、説明のなかった隠れたる瑕疵に一定期間は責任が生じますが

個人間売買であれば、売主は担保責任を一切負わないとする特約も有効なので、

「現況有姿・後々発見された瑕疵(物件の不具合)担保責任を売主は一切負わない」とした

契約も個人間であればよくあります。

こういった売買の際は買主となるsokkuri様に、注意が必要となります。


まず、「現況有姿・瑕疵担保責任免責」である場合、物件にかかる費用は全て

買主負担とお考え下さい。

建築時に発見された埋設物の撤去費用、軟弱地盤の場合は建替え時の地盤改良費、

隣地との高低差があれば工作物の補修ややり直しの工事費用など、ひとつひとつが

数百万、数千万単位でかかり、建築費用の資金繰りショートしかねない状況になる

ことがあります。 安く買ったつもりが、実際は高くついてしまう失敗です。

こういった契約条件であれば、数ヶ月(通常の個人間では2~3ヶ月が多い)の

瑕疵担保責任を設けてもらえないか確認してみは如何でしょうか。



また、手付金の支払いの意味につきましては、売主が契約の履行に着手する迄であれば、

手付金を放棄することで解約する権利を持つことができます。

売主の履行着手後である場合、多くの契約には違約金・損害賠償金などが設定されていて、

その支払い義務が生じます。

どの程度の設定がされているか契約書などを確認する必要があり、通常は売買価格の

10%~20%が多く、例えば売買価格4千万円の物件であれば、400万円や800万円といった

手付金より多額の金額になりがちです。


売主から解約する場合は、買主側が履行の着手前なら、預かっている手付金と合わせて

同額の支払い(手付け倍返し)をすることで解約できます。


他に迷っている物件があるなど、自ら解約をする可能性がある場合は、違約金・損害賠償金

よりも安く済みがちな手付金を支払っておくことがお勧めとなります。



こういった契約内容のチェックはしっかり行い、値段交渉だけでなく、瑕疵担保責任の

設定など、契約条件がsokkuri様に不利ではないか精査することも、結果的に高い買い物

としない賢明な行動かと思います。



また、契約後翌日の引渡しという期間も、常識的なものに設定し直す要求や、

契約条件に、引渡しまでの間でも建築に伴う調査(埋設物や地盤調査など)を

sokkuri様が行える旨も明記できるよう交渉できたら良いかと思います。


その期間内に瑕疵があるかどうかを調査し、売主に請求できるものであれば

全額決済前に請求したり調整することが可能になります。




法的拘束力をもたせる為に行うのが「契約」ですので、予定するだけの申込みでは、

例え書面等で購入申込み等の授受を行っていても、法的な拘束や慰謝料・損賠などを

生じさせる段階ではなく、売主買主双方とも自由に撤回できます。


逆の立場で言いますと、sokkuri様の都合で契約締結を延期したり、

突然、契約締結及び翌日には決済(売主の退去)を申し出ることも、

契約条件の交渉を行うことも可能です。




但し、今回のsokkuri様の立場でも言えることですが、あくまで申出ですので、

今回の売主側の請求・条件を必ず飲まなければいけないという訳ではありません。


法的な拘束力はなくても、契約条件や値段、期日などについて希望を申し出ることは

互いに同じ立場ですので、売主都合の延期や契約翌日に決済などの非常識な要求に

受身ばかりとらず、相手方の現金化を急ぐ状況をうまく突いた、sokkuri様にとって

有利な契約条件交渉、相場より安い価格への交渉チャンスととらえてみては

如何でしょうか。 

ローンの再度審査する期間や、他に迷っている物件が出てきているので考える期間など、

理由によっては売主の心理にはまるかもしれません。



但し、sokkuri様の地域の中でも人気のエリアであったり、元々相場より安く、

直ぐに次の購入希望者が見付かるような物でがあったら、売主は強気に要望を

押してきたり、売却を拒否されるリスクは駆け引き上ございます。



また、このような要望が出てきている背景には、仲介業者の行う契約の調整が

うまくいっていない、もしくは手数料で成り立っている仲介が両者に契約を

急かしている可能性もあります。


sokkuri様その物件を欲しい気持ちと、売主の経済状況や人間性、仲介の信頼性、

物件自体の魅力などを精査し、それらのバランスを良く考慮して交渉を行うことが

大切です。



・今、その段取りや契約内容で購入することのメリット・デメリット。
・今回は見送ることでのメリット・デメリット。
・こちらの契約条件を了承してもらえなければ購入しないという、提示条件の限度ライン。


それらを比較し、リスクが実際に起こった時のフォローはどの程度出来るか考慮した上で、

このような自身にとって厳しい条件は飲むかどうかを判断することが必要です。



同じ物件でも契約相手の見定めや交渉一つで、値段、契約条件、それらが及ぼす利益、

またはリスクはまったく違ったものになりますから、sokkuri様にとってベストな

購入実現に役立つアドバイスとなれば幸いです。



以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

評価・お礼

sokkuri さん

2017/01/08 23:02

真摯に対応していただきありがとうございました。本日事前に仲介する不動産会社の方から聞いた説明と同様のところがいくつもあることから、(こんな風に言って申し訳ないのですが)信用させていただいていい内容だと思いました。アドバイスの通り、交渉できるところは交渉させていただきたいと思います。また何かありましたらよろしくお願いいたします。

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