去勢手術後の嘔吐

ご質問の内容から想像いたしますと、食道裂孔へルニアや、食道アカラシアなどが推察されます。 特にアカラシアの症状と似て、匂いのない嘔吐物、胸部痛などが当てはまります。 診断は、薄めたバリウムが食道を通過する様子を、透視型レントゲン装置で観察するのが、一番、診断能力が高いと言われています。 胃カメラでは、余程重度でないと、殆んど、発見できません。

発症原因は残念ながら、特定されていません。

アカラシアは手術で治療するのが一般的で、医学領域では、腹腔鏡手術で実施しています。 以前、講師として来日した米国の先生は15分で終了されていました。
動物でも可能ですが、横隔膜を裂いていくために、他の腹腔鏡手術よりも、はるかに高い麻酔技術が必要になります。

去勢手術後のホルモンバランスが原因となり、消化器症状が起きるのはまれです。また、脾臓の血管腫の大きさにより、物理的な圧迫によって嘔吐が見られることはありますが、摘出後は改善すると思われます。

バリウム検査にて異常がないようであれば、異物や通過障害はないと思われます。状況によっては、内視鏡検査や試験開腹を実施しなければ診断がつかないケースもあります。

嘔吐は、長期入院のストレスによる心因性によって起きることもあります。また他の嘔吐が起きる原因としましては、膵炎、内服薬による副作用、別の疾患や腫瘍の存在なども考えられますので、再度、血液検査や超音波検査を行なう事をお勧めします。

甲状腺疾患にはホルモン疾患、腫瘍性疾患があります。今回の嘔吐の原因の可能性は低いですが、確認として、ホルモン測定、内服の確認、腫瘍性疾患であれば、追加検査を行なう必要があるか再度、担当医の先生とご相談ください。