対象:刑事事件・犯罪
回答:1件

大塚 隆治
弁護士
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いじめ
ご質問の内容からすると、タイツマンさんは教師なのですね。「いじめ」というのは一般的な言葉であり、法的には、法的利益に対する侵害と考え、ケースバイケースでいろいろな法的利益を設定して、それに対する侵害と構成していると思います。「頭髪」「容姿」に関する事項は、人の容貌に関する事項ですが、これについて既存の法的利益をあてはめると、「人格」の価値、すなわち「名誉」ということになるかと思います。「名誉」には、3種類あって、内部的名誉(客観的にその人の内部に備わっている価値そのもの)、外部的名誉(人に対して社会が与える評価)、名誉感情(自分が自分の価値について有している意識・感情)があります。内部的名誉については、他人からの侵害は不可能と考えられていますので、法的保護の対象にはなりません。一般的に「名誉毀損」として、法的保護の対象となるのは、外部的名誉であるとされており、名誉感情は名誉毀損として保護される対象ではないとされていますが、名誉感情については、名誉感情の感情自体が法的保護の対象となる場合があると言われます。
さて、「頭髪」「容貌」に対する悪口ですが、具体的内容が分かりませんので、ケースバイケースになるとは思いますが、通常は、名誉感情に関するものかと思います。一方、悪口は、悪口を言う人の立場に立ってみると、「自分が思っていることを表明したにすぎない」と言うのではないでしょうか。とすると、表現の自由に関わることですので、名誉感情と意見表明の自由との2つの利益が対立することになり、どちらが優越するかと法的には考えるのだと思います。それからは、共同生活を前提とする社会のあり方の問題になるのだと思います。つまり、個々人の気持ちを優先する社会をよしとするのか、意見を自由に言える社会をよしとするのかということです。
補足
「気にするな」「耐えるしかない」という意見は後者の立場になるでしょう。自由にものが言えるということは、社会の基本ですから、個々人の感情は犠牲にすべきだという考え方ですね。しかし、そのような社会でも不必要あるいは必要以上に他人の感情を害することはすべきではないと思います。
「いじめ」であると反論するなら、自由にものが言える社会よりも個々人の感情が優先されるのだという考え方に立つか、「頭髪」「容姿」について悪口を言うのは勝手だが、他人の気持ちも考えてものを言わなければならないという考え方に立つかのどちらかになると思います。
評価・お礼

タイツマンさん
すばやい対応ありがとうございました。教師という立場上、言葉や行動を人前にさらすことが多いです。もしかしたら、自分の言動で誰かが傷ついているかもしれないということに留意して生活すべきだなと改めて痛感いたしました。
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