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対象:事業再生と承継・M&A

突然の事業継承にどう対応すればよいか

法人・ビジネス 事業再生と承継・M&A 2006/09/15 03:08

運送会社を営んでいた先代の社長から、長男の私が急きょ跡を継ぐことになりました。あまりにも当然の出来事で、引継ぎがうまくいっていません。何を優先して、事業継承を行っていくべきでしょうか?

※この質問は、ユーザーの方から事前にいただいたものを、専門家プロファイル が編集して掲載しています。

All About ProFileさん

回答:1件

小松 和弘 専門家

小松 和弘
経営コンサルタント

- good

先代社長とよく話し合って事業承継しましょう

2018/04/03 23:49 詳細リンク

今回のご相談について回答します。なお、回答にあたっては、これまでも先代の社長と同じ運送会社に勤務されており、先代はご健在であることを前提に回答します。

1.事業承継とは
まず、事業承継とは何かについて触れます。会社の事業は、経営者や従業員などの人的ネットワーク、会社が培ってきた経営ノウハウ、株式や車両など事業活動を支える資産で成り立っています。事業承継とはこの有形・無形資産を引き継ぐことです。また、事業承継には誰に承継するのかで区分する考えがありますが、今回はお父様から承継されるので親族内承継になります。優先的に取り組むべきことは何かとのことですが、事業承継は多岐にわたり思いのほか時間がかかるものです。まず、取り組むべき全体像を確認しましょう。

(1)現状把握
・経営計画を見直す
・会社の資産額を確認する
・会社の負債額を確認する
・業界動向を知る
・相続時に起こる問題を把握する

(2)承継計画
・親族内承継の長所と短所を把握する
・中期経営計画を立てる
・事業承継計画を立てる

(3)経営体制の整備
・経営理念を明文化する
・人事配置を見直す
・後継者に業務を経験させる
・業務のノウハウを共有する
・情報伝達の仕組みを整える
・会社の形態を検討する

(4)資産の承継
・資産を適正に配分する
・株式に関する定款の規定を確認する
・株式の生前贈与等を検討する
・遺言を作成する
・遺産の分割方法を決める。

以上ですが、理想は記載の順番で検討・手続きを進めることですが、時間的な制約もあると思いますので、ここでは、上記(2)~(3)のなかで特に優先して取り組むべき事項を中心に記載していきます。

2.経営の承継
(1)経営の基盤整備
会社には経営理念や事業を行う上での価値観、信念のようなものがあります。これらは、今後、事業課題に直面した時の判断基準になりますし、会社を統治するうえで極めて重要です。まず、これを承継して下さい。次に、会社の社風や他社にない会社の強み、ノウハウ、ブランドを把握し、それを承継して下さい。この二つは、これからの経営するうえで必要不可欠なものです。なお、これらの承継では是非、先代社長と時間をかけてお話をしながら行って下さい。

(2)経営者としてのスキル継承
ここは御自身のスキルアップのことです。内容的には3つあり、a.経営者としてのリーダーシップを身につけること、b.社内業務の中身を十分に理解すること、c.先代社長の持っていた顧客、取引先、金融機関等の人脈を引き継ぐことです。特にa.やb.は短期間で習得するのはなかなか難しいと思いますので、先代社長がご健在のうちに、定期的に話し合いを行いながら、承継を進めて下さい。


3.組織の承継
(1)組織整備
既に社長を引き継がれているとのことですが、引継ぎに合わせて組織体制の変更は行われましたか? 先代社長と比して後継者と従業員との信頼関係が十分に構築できていないため、事業上の変化に社内から反発が出ることも少なくありません。このため、社長交代時に後継者の経営がやり易くなるようベテラン役員や社員の配置を見直したり、権限の分散や集約を行う組織体制の変更を行うことが望ましいとされています。もし、交代時に未実施ならば、当面は変更しない方がよいかもしれませんが、従業員との信頼関係を築いておくことを念頭に、先代社長とよく相談され、必要ならば、然るべき時期に見直すことをお勧めします。

(2)運営面の整備
事業承継は単なる経営者の交代ではなく、「会社の将来を見据えた戦略の一つ」として行う必要があります。そのためには、会社の現状を正しく把握したうえで、承継後にどのような経営目標を掲げて事業を進めていくのか新しい経営者自身が発信する必要があります。先代社長と相談しながら、5~10年先の中期経営計画を作成してみましょう。

4.資産承継
(1)経営権の確保
会社が株式会社の場合、重要事項は株主総会の決議で決まりますので、株式が分散して株式総数に対する所有割合が低いと議決権の行使力が弱まります。承継後の経営の安定化させ、迅速な意思決定を進めるためには、自社株式を後継者に移転、集中させる必要があります。具体的には、議決権付株式を後継者に集中させて経営権を確保します。そのためには普通株式を後継者が先代社長から買い取るか、相続、贈与によって所有権を移します。

(2)事業用不動産の確保
事業用不動産があればその承継も必要です。中小企業では前経営者の個人名義になっていることが多いため、それらを後継者または会社に移して下さい。また、不要な不動産や含み損をはらんだ不動産は売却しましょう。

(3) 個人(債務)保証・担保の処理
中小企業においては、金融機関からの借入の際に代表者の個人保証を求められたり、経営者自身の個人資産を担保提供するケースが多いのが実情です。事業承継を円滑に進めるためには、a.事前に債務を圧縮する、b.後継者の個人保証等の負担を軽減できるよう、金融機関と粘り強く交渉する、c.後継者に対して、個人保証などの負担に応じた報酬を用意するなど、少しでも後継者の負担を軽減するための準備を進めていくことが必要です。

(4)資金対策
株式や不動産の承継はお済ですか。まだならば、株式や不動産の買収資金や相続税、贈与税の納税資金を用意しておく必要があります。役員報酬の増額で現金を貯めておく、生命保険金の活用する、融資や特例を設けるなどの方法があります。


5.親族内承継での留意点
承継方法は、株式のところで触れたように売却、生前贈与、相続の3つがありますが、それぞれの手法の違いを理解して適切な方法を選ぶ必要があります。画像1をご確認ください。


6.最後に
事業承継でやるべきことは多岐にわたり、時間のかかる取り組みです。承継時期や期間を状況に応じて柔軟に判断できる親族内承継の特徴を活かし、出来ていないことから順に着手して下さい。そして、先代社長とじっくり話し合いながら進めて下さい。また、具体的に進めていくためには、それぞれに専門的知識が必要な場合もあり、経営承継円滑化法などの公的支援制度も活用した方が有利な場合もあるので、専門家のアドバイスを受けながら取り組まれることをお勧めいたします。特に株式・事業用資産の評価や相続税・贈与税の算出など非常に複雑なので、資産承継のより具体的な部分は税理士などに一度相談することをお勧めします。

【参考資料等】
・『知識ゼロからの会社の次ぎ方・事業承継入門』幻冬舎
・事業承継相談センター http://www.jigyoshoukei.jp/index.html
・中小企業基盤整備機構 http://www.smrj.go.jp/sme/succession/index.html
・中小企業庁 http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/

ノウハウ
事業用資産
事業承継
経営理念
スキル

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小松 和弘
小松 和弘
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