対象:住宅設計・構造
お世話になっております。困っていることがあり、ネットで検索してこちらを知りました。
盛土の土地(高さ:道路から80cm程度)に新築することになり、その盛土に逆L型の擁壁を
造ることとしました。擁壁と建物基礎の距離は最低30cm程度です。
施工事業者にCP型枠工法(擁壁:CP型枠、底版:RC)で製作してもらったのですが、
施工ミスでハンチ筋が底版内にてしかも垂直方向ではなく水平方向に折り曲げられた状態となってしまいました。
構造計算では、ハンチ筋の情報を入力するところはないようなのですが、そもそもハンチ筋は擁壁と底版の一体化を確約するものであり、このような状況では構造計算が成り立たず、必要な設計強度を担保するには何らかの補強が必要だと思うのですがいかがでしょうか。
また、補強するには、例えばどのような方法が考えられるのでしょうか。
誠に恐れ入りますが、御回答頂けますようよろしくお願い申し上げます。
tokumeiさん ( 神奈川県 / 男性 / 38歳 )
回答:2件
今どこまで進んでいるのでしょうか?
Tokumei様
こんにちは。けんデザインの中谷です。
擁壁の築造は色々と悩ましいですね。
お伝え頂いている事は、専門的には構造事務所の範疇と思いますので、考え方だけ書かせて頂きます。
まず、建物基礎からの補強は可能でしょうか?(その際に平均地盤面等の関係で法的に問題無いでしょうか?)
可能だとすれば、計画変更にはなると思われますが、建物基礎と一体とすることで補強する事は出来ないでしょうか?
さらに安全側で検討するのであれば、建物の基礎を深基礎とし、擁壁に土圧がかからない様にすることも可能かと思います。
現状どこまで作っているのか分かりませんが、底版のRC部分だけで止めている様であれば、何らかの補強でカバー出来る気もしますが・・・
(例えば、もう一段コンクリートで底版を打ち直すとかです。)
すみません。構造専門ではないのでこの程度の事しか浮かびません。
ご参考までに
宜しくお願い致します。
回答専門家
- 運営 事務局
- (東京都 / 編集部)
- 専門家プロファイル
登録している専門家やQ&Aやコラムといったコンテンツをご紹介
専門家プロファイルに登録をしている皆様の記事や、Q&A、まとめ記事など編集部でピックアップしたものを定期的に配信していきます。よろしくお願いいたします。
運営 事務局が提供する商品・サービス
記事制作に関するご相談
森岡 篤
建築家
1
補強は工事の段階によって
こんにちは
パルティータ建築工房の森岡と申します。
CP型枠は一種のコンクリートブロック(CB)ですが、強度が高く、空洞部の形状が、配筋しやすく、コンクリートを充填しやすいよう設計され、鉄筋コンクリート壁と同等の壁体を作るものです。
特に擁壁では、鉄筋コンクリート壁は型枠を作るのが大変なため、CP型枠擁壁は有効です。
ご質問の中のハンチ筋の形状、図がないので、状況がよくわかりませんが、ハンチ筋が有効に配筋されなかったのですね。
ハンチ部は構造計算に入れていない(計算外)というお話ですが、ハンチの目的は、
土圧によってL型を開く方向の力がかかるとき、中の鉄筋が有効に働くようにする配筋(鉄筋の位置)は難しく(特にシングル配筋)、鉄筋がL型の内側に飛び出す力がかかります。
この飛び出しを防ぐためにハンチを付けるのが1点
もう一つは、CP型枠ブロックは、底版と一体になるわけでないので、一体を前提とした構造計算で不利側となるのでハンチで補う。
と考えられます。
ハンチが有効でないCP擁壁が安全かどうかを確認するひとつの方法は、後者のハンチの目的から、CP壁の検討をCP型枠の厚みを無視したコンクリート壁として検討しすることで、これでOKであればほぼ安全と考えられます。
ハンチの不良を補強する方法は、現在工事がどの段階かによります。
擁壁のコンクリート打設状態か、埋戻しした状態か、それ以上か。
いずれの場合でも、擁壁に水抜きを付け、水を貯めないことがとても重要です。
擁壁と建物基礎の距離が最低30cmと、建物が近いと、建物重量も擁壁への土圧に加算されます(杭状の地盤改良は別)。
盛土の敷地とのお話ですが、擁壁近くの建物下部地盤は荒らされています。
盛土、荒らされた地盤の処理(地盤改良)がとても気になりますね。
参考にしていただけましたでしょうか
tokumeiさん
御連絡ありがとうございました。
2007/10/02 00:47中谷 建宏 様
早急に御回答頂きまして誠にありがとうございました。
あのあと、施工事業者が計算依頼等やりとりしていた擁壁メーカーの設計担当者に相談することができまして、補強のやり方を今後検討していただくこととなりました。こちらの担当者は、はっきりと「現状は強度的に問題です。」といっていただき、施工業者にも補強のことを強く言っていただけることとなり、今後は施工事業者を交えて、現実的な補強方法を検討することとなりました。ただ、できてしまった擁壁をきっちりと補強するのは、重量、既存擁壁との一体性、加工方法、コスト等様々な問題があり、これからの交渉も楽ではなさそうですが・・。
ちなみに、基礎工事はもう始まってしまっており、建物基礎との一体化及び深基礎への変更もできない状況です。その代わり、柱状改良を少々追加で実施していただいております。
また何か問題があった場合は、またご相談させて頂くかもしれませんが、その節はよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
tokumeiさん (神奈川県/38歳/男性)
tokumeiさん
御連絡ありがとうございました。
2007/10/02 01:02森岡 篤 様
早急に御回答頂きまして誠にありがとうございました。
中谷様への返答で記載したとおり、メーカー設計担当者とお話しすることができ、問題解決へ向けて前進しているところです。
逆L擁壁は打設で中断しております(裏側は埋め戻されています。)底版上は駐車場にする予定で、家が完成してから再度工事を始める予定でしたが、(擁壁に家の荷重がかかる前に)補強するための何らかの手立てを施すことになりそうです。
tokumeiさん (神奈川県/38歳/男性)
(現在のポイント:2pt)
このQ&Aに類似したQ&A