対象:会社設立
双極性障害なのですが、起業のための準備を始めています。
家電メーカーで10年ほど製品デザイナーとして勤めております。
資本金は貯金で貯めた1000万円で起業しようとしていますが、その後の銀行や投資家からの融資で、双極性障害がネックになるのか銀行や投資関係の方からアドバイスを頂きたいです。
双極性障害というと、障害者雇用での採用の低さや双極性障害だけ取得を禁止された資格や免許があったりなど、社会的な信用度がもっとも低い障害だと認識しています。
そこで、起業後の銀行や投資先で、双極性障害の申告が必要か否か、もしくは双極性障害への融資自体がタブーとなっているかいなかを知りたいのです。もし、双極性障害への融資が難色であるのならば、起業を断念するか、一緒に起業してくれる健常な方を探そうと考えております。
また、双極性障害への融資がタブーと仮定して副社長や役員への双極性障害及び精神疾患の有無の申告が必要かどうかもお願いします。
起業後の後戻りはききませんので、この質問で白黒はっきりつけたいと考えております。
何卒、回答のほど、よろしくお願いいたします
obataさん ( 大阪府 / 男性 / 29歳 )
回答:1件
意志を貫き、前に進みましょう
obataさん、こんにちは。
障害をお持ちで、創業資金を銀行から融資を受けられない不安があるため、起業を断念するかどうかというご相談ですね?貯金の1,000万円を資本金として起業されるということですので、法人組織の株式会社での起業を計画されているということを前提に回答させていただきます。
1.起業について
ご質問の内容から、若い頃から起業する夢を持って計画されているようです。障害のハンディがあり、起業することが不安とのことですが、obataさんは、そもそも起業する目的や理由は何でしょう? まずは、起業についてご説明いたします。
起業には、夢の実現ややりがいがある反面、起業した以上、取引先、銀行、株主、社員、などに対して責任が生じたりします。起業のメリット・デメリットを考え、今一度、起業する目的を明確にすることが必要だと思います。起業のメリットは、自分の考えや判断で自由に事業に取組むことができること、高い収入が得られる可能性があること、定年がなく働き続けることができることなどです。一方、起業のデメリットは、失敗は、すべて自己責任であること、収入の保証がないこと、信用を一から築くことになることなどです。
obataさんは、早くから製品デザイナーとして、ご自分の強みを活かし起業することを目標=夢とされていると推察いたします。その意志をもう一度しっかり見極めることが重要だと思います。強い意志があれば、様々な壁は乗り越えられると思います。
2.事業計画と資金調達について
(1)事業計画の作成
新規事業は大きな成果が期待される一方で、撤退や失敗のリスクも高くなります。新規事業を成功に導く条件として、「新規事業計画」が必要になります。この計画により様々な関係者に理解や協力を得ることが可能になり、成功をさらに確実なものにしていきます。
事業計画書は、会社の方向性を明確化するとともに事業の進捗状況を確認し、場合によっては軌道修正を行うために必要なものです。また、金融機関や提携先など外部関係者に対しては、計画書を提示することにより、会社の方向性に理解を求めることができ、新たな資金援助やパートナーシップの構築が実現します。
(2)資金調達について
1,000万円を自己資金(資本金)として起業し、開業資金として銀行借入をご検討されているようですが、開業資金としては、事務所費用、PC・CAD・通信機器など備品(設備)費用、広告宣伝費、売上回収までの人件費など固定費の運転資金などが必要と推測します。どの位の規模か分りませんが、事業計画とともに綿密な資金調達計画および返済計画の策定も重要です。一般的な資金調達方法は、以下の通りです。
a 株式発行
株式会社設立時に出資者(投資家)を募り出資を受けます。調達した資金の返還義務はありませんが、配当を迫られる場合があります。また、経営に口出しされることがあります。
b 借入
借入は、返済期日までに元金と利息を返済しなければいけません。この返還義務は、法律上の義務であって、返還を怠れば、法的措置を受けます。借入先は以下の通りです。
(ア) 公的金融機関
日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などです。比較的金利が低く、創業支援の制度融資もあります。
(イ) 民間金融機関
大手金融機関、地方銀行、信用金庫、信用組合がありますが、一般的に地方銀行、信用金庫、信用組合などが、地域密着型で大手金融機関に比べ借入しやすいと言われています。また、地方自治体には創業支援の制度があり、信用保証協会の保証に基づき民間金融機関が融資を行っています。
(ウ) その他借入
親族・知人からの借入です。借入条件など自由に設定できますが、後のトラブルが生じないように条件や返済方法は最初に決めておくなどの注意が必要です。
c リース
PCなど耐用年数が比較的短いものはリース利用が得策と思います。定期的に最新機器への更新が可能となり、また起業当初の資金負担が生じません。
d 補助金
国や地方自治体の中小企業政策に基づく補助金があります。補助金ですので返済義務がありません。公募期間がありますので申込み期間など事前に確認し計画的に準備することが必要です。
e クラウドファンディグ
インターネットを介して不特定多数の⼈から少額ずつ資⾦を調達する仕組みです。「寄付型」、「購入型」、「投資型」などと呼ばれる三つのパターンがあります。
以上のように資金調達方法は様々です。obataさんは、銀行融資が受けられるかどうか悩まれているようですが、資金調達方法は、銀行融資だけがすべてではありません。起業時の資金調達金額にもよりますが、銀行融資を利用しなくても上記のような資金調達方法を組み合わせることにより、起業は十分に可能と思われます。さらに事業の安全性を考えた場合、銀行借入=負債は、極力少ない方がより健全です。借りた資金は、必ず返さなければなりません。負債が少ない方が、対外的な信用力も増します。是非、銀行融資以外の資金調達もご検討ください。
3.銀行融資の可否について
(1)銀行融資の審査基準
銀行は、融資による金利収入で収益を稼いでいます。万が一融資した資金が返済不能となった場合、その元金全額が損失となります。従って、銀行は融資した資金が確実に返済されるかを最重要視しています。つまり、融資先企業の事業の継続性、収益性を審査基準としており、その返済可能性(リスク)に応じて、保証や担保の条件を付けて安全性を確保したり、金利を高く設定したりします。その審査基準の中に、代表者の経営者としての資質はあると思いますが、健康状態という項目が明確にあるかどうかは分りません。もしあるとしても定性評価として、優先順位は低いと思われます。起業時の融資審査において、最も重要なのは、その事業継続性がどうか、その収益から確実に融資した資金と金利が返済されるかを見ます。よって、上記でご説明した資金計画を含めた事業計画が妥当なものであるかが極めて重要です。
(2)銀行融資の可否
また、銀行は、代表者が双極性障害というハンディがあるということを明確な理由として融資を断ることはないと思います。定性的な評価として全く影響がないとは言えませんが、銀行は、その理由だけで断ることはないと思われます。
(3)双極性障害の申告について
obataさんの健康状態を銀行に申告するかどうかですが、申告せずに、後日、銀行が知った場合、銀行からの信用は失われると思います。銀行は、その融資先の信用に基づき融資を行っています。それは、obataさんの健康状態だけではありません。粉飾決算が銀行にバレて、融資が打ち切られ、倒産に追い込まれたなど、しばしばある話です。銀行との取引においては、あまり隠し事はせずに、良好な信頼関係を築くことが肝要だと思います。
また、このことは、銀行だけでなく起業される会社の役員、社員、投資家など利害関係者に対しても同様だと思います。
起業するためには、様々な事前準備や計画が必要です。是非とも、obataさんの夢の実現に向けて、意志を貫き、前に進んでください。
ご成功を心からお祈り申し上げます。
補足
【補足】
公的機関や金融機関など起業に関して様々な支援を行っています。
・中小企業庁
https://www.mirasapo.jp/starting/specialist/chiikimadoguchi.html
・中小機構
http://www.smrj.go.jp/venture/index.html
・大阪府
http://osaka-startupper.jp/
・日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/
・大阪商工会議所
http://www.osaka.cci.or.jp/dssg/
・大阪信用保証協会
http://www.cgc-osaka.jp/business-support/
回答専門家
- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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